ソードアートオンライン~to the unknown world~
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謎の手紙
シルフ領スイルベーンのとある居酒屋。
昼間っから先日クリアしたクエストの打ち上げを堂々とするのはいくらゲームの中でもどうかと思うが、気にせず進める。
「キリト君、これ一緒に食べようよ」
右に座ってるアスナが俺の腕を掴んで美味しそうなパフェをスプーンですくって口に向けてくる。
「お兄ちゃん、こっち食べよっ」
すると、直ぐにリーファがチョコでコーティングされたマカロンを俺に差し出してくる。
・・・・・。
どっちも食べたいし、どちらの機嫌も損ねたくないなぁ・・・。
そう思ってる間に俺の両隣ではまさに戦いが勃発しようとしてるし・・・。
クラインとエギルは酔っ払ってるし・・・。てか、ゲームなのにどんだけ飲んだんだよ。
頼みの綱のシノンに視線を送るといかにも「呪ってやる」と今にでも口に出しそうな顔で睨まれた。シノンにとってそんなに今の俺のこの状況が呪ってやる程のことなのか?
すこし考えている間に二人が差し出してきた食べ物は唇手前にまで迫ってきていた。
あー、もうこの女三人の戦争に巻き込まれるしかないのかなあ・・・。と、半ば諦めて口を開けたその時ーーーーー。
突如メール着信コールが響いた。
「な、なんだあ?」
クラインがふらふらと立って皆に問いかける。
「ん・・・・・俺か!」
てっきりリーファかシノンとかかと思ってたが、まさか自分だったとは。
「悪い、ちょっと外すから」
そう言って席を立とうとすると、後ろからぎゅっと手を握られた。振り返えると、片手にアスナとリーファ、二人に握られていた。
「キリト君、早く戻ってきてね」
「お兄ちゃん、なるべく手短にしてね」
もしかして・・・この二人も酔っ払ってるのか?二人の頬が少しばかり紅潮していたので、察する。
「ああ・・・すぐ帰ってくるから。多分」
後ろから二人のいかにも早く帰ってきてほしいという視線と、シノンの「呪ってやる」強化版みたいなのが背中に突き刺さって痛いが、できるだけそれに気づいていないフリをして、居酒屋の裏路地に出る。
「えっと・・・」
ウィンドウを開いてメールを確認する。しかし、タイトルと差出人は不明と表示されていて誰からかは判らなかった。差出人は判らないが中身を確認すれば誰が送ったのかわかるかもしれないので、とりあえずメールを開く。そこにはまさに意味不明としか言いようのない内容が書いていた。
『<kirito>ニオクル。虹の谷、地下洞窟デ待ツ』
「・・・・・は?」
思わず声に出してしまう。誰なのかもわからないし、内容の意味もわからない。でも、<kirito>と書かれているということは俺を知っている誰かなのだろう。それにこの「オクル」というのは何なのか。よく見ると、「オクル」の部分が青くなっていることに気づいた。
「添付アイテムか?どれどれ・・・・」
青く光っている「オクル」の部分をタッチすると画面が光り、眩しくて咄嗟に目をつぶってしまう。光りが消えたと思って、目を開けるのと、何かがキンッと音を立てて地面に落ちた音が聞こえたのはほぼ同時だった。
「これか・・・?」
疑問を胸に拾ったそれは指輪だった。真ん中にダイヤモンドが埋め込まれていて、周りにも小さいダイヤモンドが埋め込まれている。
見る限りでは相当なレアアイテムだろう。今、シノンにこれをプレゼントしたらさっきとは比べ物にならないくらい綺麗な心になると思うが、メールの内容からさっするにこの「指輪」を持って洞窟に行かないと行けないらしい。
しかも場所は「虹の谷」。ウンディーネ方面はアスナと良く行くので、道はわかる。そこだけ見ればとても好都合だ。
「一体誰なんだ・・・・・」
頭の中で自分が関わったことのある人を片っ端から思い浮かべるが、誰一人として当てはまる人がいなかった。
「まっ、いいか」
とりあえず今は時間違いで酔っ払い多数のあの打ち上げを一分でも早く終わらそう。このメールの件は、打ち上げが終わった後か暇に日にやるとしようーーーーー。
俺は指輪をアイテム欄に閉まって再び、打ち上げという名の戦場へ向かった。
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