鉄槌と清風
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22部分:21:夜天の真実
21:夜天の真実
はやてのお見舞いから数日、ユーノから闇の書、夜天の書についての連絡が入る。
無限書庫の凄さとか、手伝ってくれたリーゼ姉妹という使い魔の話もあったが此処では除外。
結果から言えばやはり夜天の書…より正確には夜天の魔導書…は、改竄による改竄により修復不可能なほど壊れてしまっているらしい。
管制人格を無視し起動する防衛プログラム、近くにある生物、無機物関係なく取り込み無限に増殖を続ける、コアは強力な魔力の固まりで、コアがある限り無限再生する。
無限転生プログラム、書の主が死んだ段階で発動し、次の主をランダム…ある程度以上の魔力を持つ者…に選び出す。
書自体は完成と共に主を飲み込み、蒐集で得た魔力と魔法で破壊をまきちらし、防御プログラムにのまれ、魔力が尽きるまで暴走、転生する。
完成の段階で基本的に主に意識はなく、一切の制御のない防衛プログラムとその影響で破壊衝動に飲み込まれた管制人格の中に存在するため、外部からの手出しもできない。
蒐集完了から、管制人格の起動、防衛プログラム起動までは、それぞれ少しずつの時間があることも判明。
これらの事は、管理局関係者、なのはやフェイト、良彦にも伝えられた。
「でもこれだと守護騎士の人達はなんで蒐集を続けてるのかな、一生懸命に…自分の主人をその、殺しちゃうんだよね、完成したら?」
「そう、だね…彼らは凄く一生懸命だ、完成することで何かをしたいのだろうけど、これじゃ破壊しか生まない」
「……ないんだよ、記憶が」
なのはとフェイトの疑問に、悔しそうに答えるのは良彦。
「良彦、どういうことだ」
「守護騎士は、転生するたびに記憶をリセットされる、全ての記憶を持つのは管制人格だけだ」
「それが、本当だとしてどうして知ってるんだ?」
何かを抑えるようになかおで聞いてくるクロノ。
「順番に話すよ、ユーノ…リヒトヴェッテル・ベシュテンバーグについては?」
ディスプレイ越しに尋ねる。
『一応判ったよ、あまり多くは残ってなかったけど』
リヒトヴェッテル・ベシュテンバーグ…古代ベルカ戦乱期に辺境にて【風王】と呼ばれた武王が修めたベシュテンバーグ公国の第三王子。
上二人の王子は知に優れており、政をつかさどっていた、3人兄弟の末っ子で、一番父王の武を受け継いだ人間。
清風の騎士の名を持ち、戦に出るようになってからは常に最前線にたち、鉄槌の騎士とともに敵陣を切り裂いたという。
ベシュテンバーグ公国自体は、突如城より発生した謎の現象により壊滅、その生き残りの証言では、王子が最後まで戦場に残っていた事が判っている。
その後謎の現象は公国のあった惑星事態を壊滅させ、多大な犠牲…大規模な魔法による現象の殲滅…により収まる。
この結果、ベシュテンバーグの家系は完全に絶えた事になっている。
『一応これくらい、かな…古代ベルカ語は難しくて』
「まぁ、大体あってるな…んじゃ、正確な話をしよう」
胸元から待機状態のゼピュロスを取り出す。
「このゼピュロスは、リヒトヴェッテル第三王子のデバイスだ…俺のご先祖様でもあるらしいけど」
「まて、第三王子も公国壊滅の時に死んだんじゃないのか?」
「いや、転送魔法を使って、ぎりぎりだが星をはなれてるんだ、けど」
「「けど?」」
なのはとフェイトが首を傾げる。
「転送の瞬間、次元震が小規模ながら起きた、転送事故で見知らぬ場所にとばされたんだ」
「見知らぬって…何処?」
「あのな、俺がこうしているんだぞ、地球に決まってんだろ」
「でもなぜ、彼は戻らなかったの?」
「あー、第三王子な、リトでいいと思うぞ呼び方長ったらしいし、本人もその呼び名をきにいってたしな…んで、戻らなかった理由な、まず地球の座標を知らなかった」
「はにゃ、それは関係ないんじゃないの?」
「まぁ、ちゃんときけ…んで、公国の合った座標は飛ぼうとしても失敗した、星がなくなったからだろうな…で、此処で最初にいった地球の座標だ」
「そうか…自分のいる場所がわからないから、どの次元界へ行けば良いかも判らない、そういう事だな良彦」
「概ねそうかな、適当に近くへ飛んで探しても良かったんだろうけど…国が滅んだ事がわかったから、其処まで行く気にならなかったって言うのもあるらしい」
『それでヨシヒコが守護騎士を知ってるのはなんで?』
ユーノが映していた報告書の一文を指し示す。
「此処、【鉄槌の騎士とともに敵陣を切り裂いた】、判るか?」
「鉄槌の騎士って、ヴィータちゃん?!」
「そう、公国が滅んだ謎の現象は、防衛プログラムの暴走だ…細かくは今度話すけど、その前までリトは守護騎士や管制人格と前線に何度もでてるんだ」
「というか、その言い方だとやはり良彦は、記憶継承をしてるのか?」
「クロノの言うのと同じかはしらないけどリトの記憶と知識はあるな…でもこれ、リトが地球に来て作った最後の魔法だぞ?」
少し納得するように頷くクロノ。
「なるほど…それで何故守護騎士の記憶の事をしってるんだ?」
「公国の滅んだ時まず防衛プログラムが城を覆った、同時に守護騎士は消え、管制人格…リトたちは夜天の守護者っていってた、がな…状況の説明とか時間ある限りしてくれたんだ」
「と、いうことは、ある程度のことは既にしっていたのか?」
「黙ってたのは悪いと思うけど、俺の記憶にしかない事を言っても何処まで信用されるか判らなかったからな」
『確かにヨシヒコが普通知ってる事じゃないしね、実際僕も調べるの大変だったよ』
うんうんと頷くユーノ。
「なら、そのことを守護騎士さんたちに言った方がいいんじゃ?」
「言ってある…ただ、それでもとまらないってことはよほどの事情だろうな」
「はぁ、君は何時彼らと接触したんだ?」
「いや、戦闘中に、近距離念話で…ヴィータは昔から頭固いんだよな」
「まぁいい、とりあえずこの件については、守護騎士とあったら皆も伝えてくれ」
それぞれ頷く、なのは、フェイト、良彦。
「それじゃ僕は調べる事があるからいくよ、何かあるときはエイミィから連絡が行くと思う」
「あいよ、おつかれさん」
「うん、了解なの」
「ん、わかった」
もう一度頷く三人
『もしかしたら、なんだけど…防衛プログラム暴走前に書の主の意識がもどれば、書をコントロールできるかもってのを覚えておいてくれないかな』
「どういう意味だ?」
『これまでは、書が完成した段階で主の意識が飲み込まれて、そのまま暴走してるんだ、だから逆に暴走までのその数分の間に意識を戻せれば、って思ったんだけど』
「ふむ…たしかに可能性はあるかもしれない」
「まぁ、一応おぼえとくよ」
頷くクロノと良彦、
「えーと…おきろーっていってあげればいいのかな?」
「…ダメージで起こす?」
何処かずれてるなのはとフェイト。
「書の完成時近くにいさえすれば、何かできるだろ…多分」
苦笑しつつ、なのはとフェイトの意見を賛成はしないが、反対もしない…そもそも取り込まれた主…はやて…を起こせるかどうか。
此処の所悩んでばっかりだな、と思う良彦であったりします。
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くりすます前に、夜天の書についてと、良彦の記憶について一寸説明いれました、ある程度事情を知らせておかないと、ご都合を起こしにくいので(まて
で、次回こそクリスマスイブの予定です。
5/22【拳王】を【風王】に訂正。
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