ソードアート・オンライン ~白の剣士~
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進化が問われるとき
前書き
背中を預けられる仲間、愛する人を守りたいと思うとき、彼の本当の覚悟が試される。
今年最初の投稿です!!!ヾ(´▽`*)ゝ
どうぞ!!!
俺たちは黒鉄宮の下のフロアに続く入り口に来ている。
話によると基本フロアにあるにしては難易度が高く、モンスターだけでも六十層クラスのレベルがありキバオウが率いた部隊は、命からがら転移脱出するはめになったとか。
「今は、そのことがシンカーの救出を難しくしています。キバオウが使った回廊結晶はモンスターから逃げ回りながら相当奥まで入り込んだところでマークしたものらしくて・・・、シンカーがいるのはそのマーク地点の先なのです。レベル的には、一対一なら私でもどうにか倒せなくもないモンスターなんですが、連戦はとても無理です。・・・失礼ですが、皆さんは?」
ちなみにここにいる面子のレベルを改めて確認すると、
キリト:レベル92
アスナ:レベル87
エリー:レベル88
俺:レベル92
といった具合である。この層が大体六十層くらいだとすると安全マージンを充分とるとレベルは70ほど。
「まあ、六十層くらいなら」
「全然」
「問題ないですね」
「よゆ~よゆ~」
そんな会話をしながら下へと移動した。
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~
「ぬぉおおおおりゃあああああああ!!!」
久し振りに二刀流を解禁したキリトは休暇中に溜まりにたまったエネルギーをぶつけるかのごとくモンスターを蹴散らしていく。
アスナとエリーと俺は「やれやれ」といった表情でユリエールは目と口を丸くしてキリトを眺めているそしてユイは「パパーがんばれー」と気の抜けた声援を送っている。
「な、なんだかすみません、任せっぱなしで・・・」
「いえ、あれはもう病気ですから。やらせときゃいいんですよ」
「ああなったら止まらないしね・・・」
「そうだな・・・現実世界でバーサク化しないか心配だよ」
などと冗談を言っているとどうやら狩り終わったらしくキリトが戻ってきた。
「いやー、暴れた暴れた!」
「お疲れさん、アイテムかなんか出たか?」
「ああ、ほれ」
そう言ったキリトはウインドウを操作し赤黒い肉を出現させた。
それを見たアスナは顔を引きつらせた。
「な、ナニソレ?」
「《スカベンジトードの肉》だよ!ゲテモノなほど旨いって言うからな、あとで料理してくれよ」
「絶対、嫌!!」
「えぇ!?じゃあシオン!!」
「悪いキリト、俺はダンジョンやクエスト、戦闘などに関しては冒険したい性分だが料理に関してはあまり冒険したくない」
「右に同じく」
キリトは情けない声を上げ、アスナはその肉をストレージから削除した。その数、なんと24。
そんな光景を見たユリエールさんは我慢しきれずお腹を押さえて笑いを漏らした。その時、
「お姉ちゃん、はじめて笑った!」
ユイが嬉しそうに叫ぶ。そういえばここまで笑ったことは無かったと思った。
彼女も満面の笑みを浮かべている。
『笑う門に福が来ればいいが、果たして・・・』
そのまま奥へと進んでいくと、暖かな光の洩れる通路が目に入った。
「あっ、安全地帯よ!」
「奥にプレイヤーが一人いる。グリーンだ」
「シンカー!」
ユリエールさんは明かりの灯った部屋を見つけると走り出した。俺たちも後に続いた。安全地帯手前の十字路に近づいたところでシンカーさんから警告の声が聞こえた。
「ユリエール!!!」
「シンカー!!!」
「来ちゃダメだーーー!!!そこはー!」
「ッ!!!」
その声と同時に俺たちは暗闇の中に“何か”がいることを感じ取った。
「ダメ!ユリエールさん!!!」
「クソッ!シオン!!!」
「わかってる!《ブースター》!!」
俺はオーダースキルを発動し、ユリエールさんに急速接近し後ろから抱き抱える形で後方から飛んできたヤツの“獲物”をかわした。かわした獲物は地面に突き刺さり、そしてえぐった。
その時、俺は初めてその“獲物”を目視で確認した。
『あれは、鎌か!?』
着地してユリエールさんを下ろし、キリトと合流するとすぐさま行動にでた。
「アスナ!エリー!ユイとユリエールさんを安全地帯に!!」
「分かった!」
すぐさま避難させると、俺は索敵をはじめた。
いや、する必要はなかった。何故ならすでに“ソイツ”は目の前にいたからだ。
手には先ほど目視で確認した巨大な鎌、黒いローブの中には骸骨の顔、その姿はまさに“死神”そのものだった。
名前は《The Fatal-scythe》運命の鎌、か・・・。
「・・・キリト」
「分かってる、コイツ俺の識別スキルでも読み取れねーよ。恐らく九十層クラスだ」
「残念ながら俺も読み取れねー。正直、そこら辺のフロアボスとは比べ物になんねーよ。エリー!アスナ!」
俺は安全地帯に避難したエリーとアスナに言った。
「お前たちは先に転移結晶で帰れ!俺とキリトはコイツの足止めだ!」
「シオン!!!」
「キリト君!!!」
「心配すんな、必ず戻る!」
そう言って俺は再び死神を見る、すると隣にはエリーとアスナがいた。
「お前ら・・・」
「まったく、二人でカッコつけちゃって。自分の転移結晶無いくせに」
「二人だけで戦わせないよ、私たちもいる」
エリーとアスナは呆れながら言った。俺はため息をつきながら言った。
「はぁ・・・ったく、好きにしな。キリト、アスナ、エリー」
「なんだ?」
「約束してくれ・・・絶対に“死ぬな”」
その時、俺はどんな顔をしていただろうか。圧倒的な強者を前にしてもいつもの俺なら常にどことなく何とかなるような気がした。
しかし、今回は何かが違った。胸のなかで何かがざわめいている、とても一言では言えない何かが。だが、俺はこの感覚を知っている。この感覚はあの時、《ハーモニー》が消えたあの時と似ている。
それを感じ取ったエリーは俺の右手をそっと掴んだ。
「大丈夫」
「ッ!!!」
「私たちがいるよ・・・」
俺はこのエリーの微笑みに幾度となく救われた。その時、俺の内から何かが聞こえた。
『守りたいかい?』
『・・・ああ』
『約束を覚えでいるかい?』
『たりめーだろうが、だから力を貸してくれ《アルモニー》』
『いいだろう、君に“アレ”を使わせるときが来たようだ』
俺は会話を終えると、
「キリト、アスナ、エリー。今からちょっと無茶苦茶なお願いがあるこっちを見なくてもいいから聞いてくれ」
それを聞いたキリトは口元に笑みを浮かべた。
「今さらなんだ?」
「俺に・・・時間をくれ。できるだけ長く」
それを聞いた瞬間、キリトとアスナの顔には一瞬曇りがかかった。しかし、すぐにもとに戻すと
「・・・ほんと、無茶苦茶ね」
「ああ、だが・・・やってやろーじゃねーか」
そう言ってキリトは三本指を立てた。
「三十秒だ、恐らくそれが限界だ」
「・・・充分過ぎる!」
しかし、俺は悟っていた。このいかに精鋭揃いでも持って十五秒、良くて二十秒だと。それでも彼らは命をはって俺に時間をくれた、希望となり得るかもしれない時間を。
「よし、いくぞ!!!」
「「「おお!!!」」」
それを合図に俺とキリトたちは別れた。
キリトたちは死神へ、俺はすぐさまユリエールさんたちのいる安全地帯へと急いだ。
しかし、俺の目的はユリエールさんなどではなかった。俺の本当の目的は、
「ユイ!!!」
「にぃに!!!」
そう、俺の目的はユイにあった。俺はユイの肩を掴み問う。
「ユイ、パパやママ、ねぇねを守りたいか?」
「パパやママ、ねぇねを」
「ああ、お前の力を貸してくれ」
「何を言ってるんですか!ユイちゃんは・・・」
「アンタは少し黙ってろ!俺には、“俺たち”には時間が無いんだ!!!」
そう、こうしている今でも彼らは俺のために戦っている。俺を信じて待っている。
ユリエールさんは後退り、俺はユイの肩を強く掴んだ。
「俺は守りたい、いつまでもアイツらの笑顔を守ってやりたい。頼むユイ、俺に、俺たちに、力を貸してくれ!!!」
そう言って俺は頭を下げた。その時、ユイは言った。
「顔を上げてくださいにぃに。いえ、“シオンさん”」
「ユイ、お前・・・」
ユイは小さく頷いた。そして小さな手を差し出した。
「全部、思い出しました」
「ああ、分かってる・・・」
そう言って俺はユイの手を掴んだ。
「助けるぞ、みんなを!!」
「はい、にぃに!!!」
その声には決意がこもっていた。
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~
「グアッ!!!」
「キリト君!!きゃあッ!!!」
キリトとアスナ、エリーシャは死神の攻撃に弾き飛ばされ宙を舞い地面に叩きつけられた。
「グッ、ガバッ!!」
「キリト、君・・・」
「なんて、強さなの・・・」
死神はユラユラとキリトたちに迫って来る、そんな中三人は立ち上がれずにいた。
「クソッ、こんな、ところで・・・」
「ここまで、なの・・・」
「そんな・・・」
死神は巨大な鎌を振り上げた。その時、エリーシャは思った。
『ごめんなさい、シオン。約束、守れなかった・・・』
彼女の頬に涙が流れた。それと同時に鎌が降り下ろされた。
「シオーーーン!!!」
直後、刃同士がぶつかる大きな音が響いた。
エリーシャが目を開けると目の前には死神の刃を止める“影”があった。肩まで垂れた長い黒髪、特徴的な白いロングコート、しかしそのコートにはわずかにオレンジ色に染まっていた。
「まさか、一分持たせてくれるとはな。本当によくやった」
片手には一本の刀その片手一本で死神の刃を止めているその男の声には聞き覚えがあった。
「まさか・・・」
「キリト、アスナ、エリー。あとは俺が、いや、“俺たち”がやる!!!」
刀は橙色の火をふき、死神の刃を弾き飛ばすその勢いで死神は後ろへと後退する。
振り返ったその顔は、エリーシャが、彼女が愛した人の顔だった。
「シオン・・・」
彼女は嬉しさのあまり涙を流した。その顔を見て呆れた顔でシオンは言った。
「おいおい、こんなとこで泣くなよ」
「本当にシオンなのか?」
「ああ」
「その姿は一体・・・」
「それに関してはあとで話す、さて・・・」
シオンは再び死神へと視線を移し、刀を構える。
「久々にいっちょ、派手にいこうか!!!」
後書き
今年最初の投稿です!!!ヾ(´▽`*)ゝ
いかがだったでしょうか?
2014年も彼らと共に突っ走っていきたいと思いますので応援よろしくお願いいたします!!!( ̄∇ ̄*)ゞ
シオン「コメント待ってます♪」
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