『ポケスペの世界へ』
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第九話
「ジョウト……四人目の図鑑所有者?」
「そうやで」
クリスタルの問い掛けに俺は答える。
「オーキド博士からアサギシティにおっといてと、電話が来てな。待ってたんやけど俺を置いていこうとしてたから追い掛けてきたんや」
「あ……………」
……イエロー、忘れてたなお前。
「ま、まぁこれで揃ったな。じゃあ俺が説明するぞ」
釣り人のヤスヒロが話しを変えたな。
ピリリッピリリ!!
「オーキド博士からメールだわ」
クリスタルがポケギアを見た。
「と、年上ッ!?」
イエローを見てクリスタルが驚く。
まぁそりゃあそうなるわな。
「ハッハッハ。お嬢ちゃん、心配しなくてもいいよ。俺達は怪しい者じゃない」
ヤスヒロさんが笑う。
「イエローの事だからどうせキチンと説明もせずに連れて来たんだろうが、今、この船はジョウト西側の海域をタンバ方面に向かっている。お嬢ちゃんがこの先のルートに考えていると聞いたんで、船を用意しといたんだよ」
ヤスヒロさんがクリスタルに説明する。
「勿論、本当の目的はお嬢ちゃんが追っている伝説の三匹について、俺達が知っている情報を伝える事だ」
「じゃあ、本当の事だったんですね」
「あぁ、本当だ。このイエローこそ伝説の三匹を眠りから目覚めさせた張本人さ。いや、もっと正確に言うと偶然、その瞬間に立ち会ったというべきか………」
確かイエローの麦藁帽子には銀色の羽と虹色の羽があったな。
「元々、俺達がジョウトへ来たのは四天王騒動の時、ジョウト方面へ消えたという大きな鳥ポケモンについて調べるためだった。しか し………」
バババババッ!!
あ。
「伏せろッ!! テッポウオの大群やッ!!」
テッポウオが現れて、漁船に次々とぶつかっていく。
「ちぃ、船体にも激突してくるでッ!!」
「しかし、何故だッ!! これでは船を進ませる事が出来んッ!!」
………なら手は一つや。
「クリスタルッ!! テッポウオを全部捕獲するんやッ!!」
「は、はいッ!! パラぴょんッ!!」
クリスタルがパラセクトを出す。
「パラぴょん、”キノコのほうし”の散布範囲を広げてッ!!三人共、少しの間は息を止め てッ!!」
はいはい。
パフンッ!!
パラセクトから発射された胞子がテッポウオに降り懸かる。
「よォしッ!!」
クリスタルがモンスターボールを並べる。
「はッ!!」
クリスタルがモンスターボールを打ち上げ る。
ボボボボボボボンッ!!
大量のテッポウオが次々と捕まっていった。
「……捕獲、完了しました」
「凄い凄いッ!!」
「専門家とは聞いていたがこれ程とはな」
イエローとヤスヒロさんが感心する。
「ボクなんか捕獲が苦手で、野生のポケモンを捕まえた事なんて数えるくらいしかないか ら……尊敬しますッ!!」
「えッ!?」
イエローの言葉にクリスタルが驚く。
まぁそうなるわな。
「あれ? クリスタルさん、貴女のパラセクト、怪我していますよ」
「ホントッ!! あ、僅かだけど、切り傷 が……」
「あれだけの数や。捕獲される間際に反撃したヤツもいたんやろな」
「急いで傷薬を……」
クリスタルがリュックから傷薬を探すけど、イエローが癒しの力でパラセクトの傷を治した。
「えッ!?」
「驚く事はない。癒しの力……イエローの持つ特別な才能なんだ」
驚くクリスタルにヤスヒロさんが説明をす る。
「うふふ」
「えへ」
「よろしくイエローさん。私の事はクリスと呼んで下さい。あ、ショウさんもいいです」
「ハイ。分かりました」
「あぁ」
「け、敬語はなしですよイエローさん。私が年下なのに………」
「ハッハッハ」
クリスの慌てぶりにヤスヒロさんが笑う。
「……そういえば、ポケモンの大移動は……前にも同じ事があった。去年のふたご島……」
イエローが何かを思い出す。
「オーキド博士はあの時、野生の生物が大きな危機の前ぶれを察知したからと言っていました。今回ももしかして………」
ゴゴゴゴゴゴゴッ!!
その時、何か響いた。
「イエローやばいぜッ!! お前のイヤな予感が当たっちまったッ!! 舵が効かんッ!! この船は既に………」
「既にッ!?」
「あれを見ろッ!!」
漁船は巨大な渦の中にいた。
「きょ、巨大な渦の中にいるッ!! この辺りはうずしおの発生する海域と言われているが、これ程とは聞いた事がないッ!! 何とか抜け出さないとッ!!」
「ッ!?」
その時、クリスが何かを見つけた。
「見て、渦の下に……渦の下に何かいま すッ!!」
『あれはッ!?』
渦の下には、ジョウトに飛び去ったと思う鳥ポケモンらしいのがいた。
後書き
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