ヘタリア大帝国
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TURN112 独裁者の名その六
「やはり悪事は行っていません」
「そうだな」
「では、ですね」
「総統さんも彼が特に逆らわないとな」
「元の鞘に収めるだけですか」
「親衛隊長にな」
それに戻るだけだというのだ、ヒムラーも。
「むしろ彼女がいない間にドクツを守った功労者としてだ」
「以前より厚遇されますか」
「そうではないだろうか」
こう秋山に語る。
「まあそれは全部総統さんが決めることだ」
「そうなりますか」
「それではだ」
ここまで話してだ、東郷は主力の全てをカテーリングラードに進ませた。
カテーリングラードはソビエト軍の艦隊がいた、だがだった。
「ドクツ軍とイタリン軍はいねえな」
「もうどちらもそれぞれの領土に撤退したわよ」
キャシーにクリスが答える。
「祖国の防衛を固めるという名目でね」
「そりゃ嘘だろ」
「ええ、実際のところはソビエトを見捨てたのよ」
そうしたとだ、クリスはキャシーに説明する。
「要するにね」
「世知辛いねえ、そりゃまた」
「そういうものよ、ましてや連合国はそれぞれ同床異夢だから」
同盟を結んでいるが思惑はそれぞれ違うというのだ。
「見捨てる時は簡単に見捨てるわ」
「あたし達とエイリスもそうだったな」
「あの時と同じよ」
旧連合国と変わらないというのだ、その辺りは。
「私達が抜けてドクツとイタリンが入ったけれどね」
「何で連合国ってお互い仲悪いんだろうな」
「それが政治よ」
「手を結んでいてもだね」
「ええ、裏では色々となのよ」
思惑がありそれぞれで動いているというのだ。
「だから今はドクツ軍とイタリン軍はね」
「いないんだな」
「ソビエト軍だけよ、それではね」
「ああ、やってやるかい」
クリスは楽しげな笑みを浮かべた、そして右手に持っているハンバーガーを豪快にかじりながらモニターのクリスに言った。
「あの邪魔な人工衛星は頼んだよ」
「艦載機で、よね」
「ああ、そうしてくれよ」
こうクリスに言うのだ。
「あたい達は艦隊を潰すけれどな」
「そちらは頼んだわよ」
「ああ、じゃあな」
「行くよ、キャシー」
アメリカ妹もモニターに出て来てキャシーに言って来た。
「派手に攻めるよ」
「ああ、それじゃあね」
こう笑顔で話してだ、そしてだった。
カテーリングラードでの戦いがはじまった、カテーリンは自ら前線に立ちソビエト軍の将兵達に大きな声で告げた。
「全軍攻撃開始!」
「攻撃開始ですか?」
「そう、前に出て!」
こうリトアニアに言う。
「そして敵をやっつけて!」
「いえ、それは」
リトアニアは戸惑いながらカテーリンに返す。
「防衛戦ですから、我々は」
「何もするなっていうの?」
「違います、人工衛星の陣の中に入って」
「戦えっていうの?」
「その方がいいです」
こうカテーリンに言う。
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