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久遠の神話

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第六十二話 十二時の決戦その三

「ギリシア神話的にはな」
「僕達も十三人ですから」
「だろ?だからな」
「そういうことなんですね」
「日本なのにギリシア的だよな」
 中田は自分の右隣にいる上城に語る。夜道を歩きつつ。
「どうもな」
「言われてみれば」
「しかもほら、銀月さんな」
「あの人ギリシア人のハーフですね」
「だろ?ギリシアから来たって言ってるよな」
「本当にギリシアと縁がありますね」
「何かあるのかもな」 
 首を傾げさせて言う。
「本当にな」
「そうかも知れないですね」
「まあなあ。ギリシアな」
「何か知ってますか?ギリシアについて」
「いや、神話位しかな」
 それ位しか知らないというのだ。
「後はオリーブか」
「それですか」
「オリーブはギリシアからなんだよ」
「あっ、そうでしたね」
「イタリアとかスペインでもよく使うけれどな」
 南欧において非常によく使われるものだ、その油がいいうのだ。
「ギリシアからなんだよ」
「つまりパスタもギリシアがないと」
「昔はオリーブも日本じゃ高かったんだよ」
 理由は簡単でなかったからだ、ないものは高い。
「それでバターとかを絡めてたんだけれどな」
「何か味が全然違うっぽいですね」
「パスタにはオリーブだよ」
 中田のこだわりだがこれは彼だけが思っていることではない。
「あと大蒜な」
「その組み合わせは絶対ですよね」
「その二つがないパスタはパスタじゃないよ」
 全くだというのだ。
「それはな」
「そうですよね、普通に」
「ギリシアでもパスタは食べるだろうしな」
「イタリアと同じ南欧だからですね」
「そうだよ、確か仲もよかったか」
「昔戦争しませんでした?」
 第二次世界大戦のことだ。あの時はイタリアからギリシアに攻め込んだ、だがここで見事な返り討ちに遭っている。
「確か」
「したよ、ローマの頃は征服したしな」
「そうですよね」
「ローマは強かったからな」
 今のイタリアと違って、 中田の言葉にはこの意味も含まれている。
「まあとにかくギリシアはな」
「その国と剣士の戦いですね」
「大体あの銀月さんもギリシアから文献見つけたって言ってたよな」
「ギリシアからはじまった戦いでしょうか」
「かもな。ギリシアなあ」
「僕ギリシアについてはあまり知りませんでした」
 ここで首を捻って言う上城だった。
「特に」
「俺もだよ」
「本当に神話とか位しか知らなかったです」
「その神話と何か縁があったりしてな」
「戦いがですか」
「ああ、そうかもな」
 こうも言ったのである、そうして。
 二人で総合グラウンドに来た、そこには既に。
 大石がいた、そして工藤と高橋も。
 三人はまずは上城に顔を向けてそのうえでこう言った。
「では、今日にです」
「この戦いを終わらせる目処をつけようか」
「俺達四人でね」
「はい、絶対に」
 上城も強い声で答える。 
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