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ヘタリア大帝国

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TURN110 法治その三

「戦後はあの国をどうするかだよ」
「戦後もエイリスの苦難は続きますか」
「間違いなくな、植民地を奪い返してもな」
 エイリスからはそうなる、ガメリカと中帝国が枢軸側に回った今彼等の承認も無効としている。
「ドクツをどうにかしないといけないからな」
「そうですね、ですがまずは勝たなければ」
 セーラは戦後のことも考えながらも今の戦いのことも考える。
「なりませんね」
「我々も反撃作戦の計画を進めています」
 ロレンスがこのことを語る。
「ですがこれまでのダメージが大きく国力の消耗が予想以上でして」
「今はですか」
「こちらも動けません」
 これがエイリスの現状だった、先の南アフリカ方面からの反撃作戦の失敗も大きかった。
「今は戦力の回復と再編成を進めましょう」
「わかりました、それでは」
 セーラは項垂れようとする頭を何とか上げてそのうえで言うのだった。
「今は戦いに備え剣を磨きましょう」
「その様に」
 エイリス軍はモスクワ陥落に驚きながらもそれでもだった、彼等は今の彼等の為すべきことを進めていた。何度も敗れながらも退く訳にはいかなかった。
 モスクワ陥落の報はヒムラーも聞いた、だが彼はそのことに驚くことなく報告したハンガリーにこう言っただけだった。
「わかった、それならだ」
「それならとは」
「若しあの国がロシア平原で負けたらね」
 その時はどうするかというのだ。
「ドクツ軍はソビエトから撤退させるよ」
「それは何故ですか?」
「もうロシア平原で負けたらソビエト軍の敗北は決定的だからだよ」
 それが撤退させる理由だというのだ。
「助ける意味はないよ」
「そうですか」
「どちらにしてもこの戦争の後で倒すつもりだしね」
 あくまで一時的な同盟だというのだ、ヒムラーもこの辺りはレーティアと変わらない。
「だからね」
「若しロシア平原で敗れたなら」
「ドクツ軍はソビエト領より撤退、枢軸軍を迎え撃とう」
「ではその用意をですね」
「今からしておこう、ベルギーやオランダも呼んでね」
 つまり今ドクツを構成している全ての国家をだというのだ。
「作戦会議をはじめよう」
「了解です」
 ハンガリーは今は事務的に応えた、感情はあえて消していた。そのうえでドクツの国家達はヒムラーを議長として作戦会議を行った。
 だがそれが終わってからだ、ロシア平原に戻ったドイツ妹とプロイセン妹は複雑な顔だった。
 そしてその顔でだ、プロイセン妹はドイツ妹に言うのだった。
「戦略的には正しいけれどね、総統さんの考え」
「ええ、そうね」
「けれどね、何かね」
「綺麗なやり方ではないわね」
「レーティアさんと違ってね」
 彼女のことを考えて言うのだ。
「あの人は絶対に勝つ様に考えるしね」
「そしてこの状況でも」
「最後の最後まで戦ってるよ」
 そう彼女達に命じているというのだ。
「だからロンメルさんだってイタリンに残ったんだよ」
「その通りよ、ヒムラーさんの考えは」
「好きになれないね」
「何をしても綺麗なところがないのよね」
「結構小狡いよな」
「ええ」
 本当に何をしてもだ、ヒムラーがするとそうなるというのだ。 
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