ソードアート・オンライン stylish・story
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第四十五話 本当の結末
前書き
日が開いて、申し訳ありません!!ではどうぞ!!
「はっ・・・」
修也はリーファの救出と須郷の悪行を裏付ける証拠をコピーし、リアルに戻ってきた。周りは暗くなっており、時間は夜の8時を迎えようとしていた。
「ん~!んあっ!!これで須郷も終わりだな。念の為に証拠が無事か確かめておくか」
修也は寝そべっていたベットから起きると背伸びをして固まった関節をポキポキならし、自分のパソコン画面に眼を向けそれを確認する。
「被験者の実験報告書・・・これだけで十分だな。日付も内容も詳しく書いてあるし、詳細にやるってのが裏目に出たみてぇだな。後はこいつにロックをかけてっと・・・良し!これOKだ」
パソコンに表示された証拠を確認し、それに外部からのハッキングを防御するシステムロックをかけるため、キーボードでデータを打ち込んで行った。
「後はキリト次第だな。気になるからあいつの家に行って見るか」
修也は外出用の私服に着替えるとヘルメットを被り、駐車場に止めてあったバイクに跨り、和人の家に向かった。
修也は自動車の免許はまだ取っていた居らず、持っているのはバイクの免許だけだった。大学生の内に自動車の免許は取ろうと考えてはいるようだ。
バイクを走らせ十分後、修也は和人の家にやって来た。そしてインターホンをならし、安否を確かめる。すると・・・
「はい?」
「その声は直葉ちゃん?俺だ、修也だ」
「修也さん?待ってて下さい。今、玄関を開けます」
インターホンに出たのは和人ではなく、妹の直葉の方だった。
家の玄関が開くとジャージ姿の直葉が出てきた。
「よっ。悪ぃな、こんな時間に押し掛けてよ?」
「大丈夫ですよ。それで何かご用ですか?」
「おっと、そうだった。キリト・・・じゃなかった、和人はいるか?」
修也は直葉の目の前で和人の事をキリトと呼んでしまい。少し苦虫を噛むような表情を取った。
彼女が幾ら割り切ったは言え、あの事を思い出させるような言動はうっかりでも修也自身が許さなかった。
しかし直葉は・・・
「そんな顔をしないで下さい、修也さん。私はもう大丈夫ですから」
「でもよ・・・」
「私には修也さんが居ます。お兄ちゃんの変わりとかじゃない、心から好きになった結城修也さんがいますから!それともALOでのあの言葉は嘘だったんですか?」
「んな訳ねぇだろ!?俺は君が好きだ。好きになって本当に良かったと本気で思ってる!!」
修也は暗い表情を一変させ、真剣な表情を浮かべると直葉と向き合う。
それを聞いた直葉は顔に軽い笑顔を浮べると一滴の雫が彼女の頬を塗らした。
「私はその言葉で立ち直る事が出来たんです。だからそれを教えてくれた修也さんが暗いままだったら、私まで暗くなっちゃいますよ。それに暗い修也さんなんて似合いませんよ?」
「・・・そうだな。ありがとな?直葉ち・・・いや。スグ」
修也にはネガティブな自分はらしくない事や直葉の想いを無駄にする事を察するといつも通りの修也に戻り、尋ね返す。
「それで和人はいるか?」
「それが先程、明日奈さんの所に行くって言って出て行っちゃいました」
「って事は明日奈は無事に救出できたみてぇだな?」
「はい。お兄ちゃんも『やっと全てが終わった』って言ってましたから」
修也は直葉から和人の経緯を聞くと少し考え込む。そして最悪の事が頭を過ぎり、再び表情を顰めた。
ーーーーーーーーーーーー
「やぁ、また会ったね?キリト君」
「ぐぅ・・・須郷!」
修也の悪い予感は的中していた。
和人は須郷から明日奈をALOで救出した後リアルに戻り、病院で再会しようしていたが須郷が先に待ち伏せをしており、自転車から降りて病院の出入り口に行こうとした和人を持っていたナイフで斬りつけていた。
そして和人の左腕から赤い液体が流れていた。傷口は深くないもののかなりの量が出ていた。
「君も酷い事するよねぇ?お陰で身体の半分が思う様に動かないよ」
どうやらALOでの決戦の時にペインアブオーバーを最低にしていたようだった。
本来ゲームで受けたダメージは脳を通して、神経に来るがその痛みを抑えてくれるのがこの【ペインアブソーバー】と言うシステムだ。このシステムは普通のプレイヤーには操作出来ず、管理者権限にのみ操る事が出来る。
話を戻すがペインアブソーバーを完全に切った状態で剣で斬られる様な事になれば神経系が壊れても可笑しくはない。
「終わりだ、須郷。大人しく法の裁きを受けろ」
「終わり?何が?ああ、そうか。君の人生がここで終わりってて言うんだね。何せここで君を殺してあげるんだから」
そう言うと須郷は小走りで和人に駆け寄り、ナイフを突き刺そうとしたが和人はそれを避ける。しかし腕の痛みと足のもつれで倒れ付してしまった。
「ぐぅ・・・」
「どうした?こんなもんじゃないだろう?えっ?英雄さん」
須郷は倒れた和人に蹴りを入れ込む。そして痛みで動けない事を察した須郷はナイフを振り上げる。
「お前さえ、お前さえ居なければ僕は明日奈君も・・・この世界も・・・僕のものだったのにぃぃぃ!!!」
須郷は狂気に満ちた声と顔を上げるとナイフを振り下ろした。しかしそのナイフは和人の頬を掠めて地面に刺さった。
「あれ?可笑しいな。よく見えなくて、外しちゃった。今度はしっかりと狙わないと」
そして須郷は再びナイフを振り上げ、和人に向かって振り下ろすが和人も両手でナイフを持っている須郷の手を押さえ、ナイフの刃が自分に届かないように抵抗した。
「何抵抗してんだよ?早く死ねよ。お前なんか・・・本当の力もないくせにぃぃぃ」
ナイフが和人に届く瞬間バイクの音が聞え、バイクが駐車場に入ってきた。和人はバイクに気を取られた須郷を蹴り飛ばし、傷口を抑えながら距離をとった。
エンジンを止めバイクから降り、ヘルメットを外した二人組みは和人の良く知っている人だった。
「修也!スグ!!」
「お兄ちゃん!!」
「大丈夫か?和人」
修也と竹刀を持っている直葉は急いで和人の元に駆け寄った。
「二人ともどうしてここに!?」
「それはな・・・」
ーーー回想ーーー
(和人は須郷を倒した。しかしそれはあくまでALOでの話・・・当然和人の次の行動は須郷には丸分かり・・・っ!やべぇ!!)
最悪の事態を予想した修也は急いでバイクに跨り、エンジンをかけた。
「修也さん!?いきなりどうしたんですか!?」
直葉は慌てて、修也の元に駆け寄った。
「このままじゃ和人と明日奈が拙い!!俺は二人を助けに行く!!」
「えっ!?お兄ちゃんが!?」
「俺の予想が正しければ、奴・・・須郷が二人を殺しにいくだろうな。【ALOの須郷】を倒したとしても、【リアルの須郷】は倒してねぇ!!だから須郷は恨みのある和人を消しに来るだろう。そして場所は明日奈のいる病院だ!!」
修也は直葉に軽く説明をするとバイクを出そうとしたが・・・
「待って下さい!修也さん!私も行きます!!」
直葉が自分も連れて行って欲しいと言う。しかし修也は危険すぎると察しそれを拒む。
「何!?スグ、これはゲームじゃねぇんだぞ!?下手すりゃ返り討ちにあう可能性だってあるんだぞ!?」
「私には剣道があります!!私が剣道を続けて来た理由があります!!それは大切な人を・・・家族を守るためです!!だからお願いします!!」
修也は直葉の真剣な表情を見るとフゥと軽い溜め息をついて・・・
「30秒待ってやる。急いで支度をして来い!!」
「はい!!」
修也はスペアのヘルメットを直葉にかぶらせ、スピード制限ギリギリの速度でバイクを飛ばした。
ーー回想終了ーー
「・・・って訳なんだ。和人、お前は明日奈の元に行って安否を確認してその腕の傷を治して貰え」
「でもお前とスグだけじゃ!」
「怪我人は黙って言う通りにしろ。それにお前の妹は」
「あはは。これはこれは・・・」
修也の説得を遮り、須郷がナイフを持って修也と向き合った。
「修也君じゃないか。どうしたんだい?」
「簡単な話さ。アンタを止めに来ただけだ・・・行け、和人!」
修也と直葉の事は心配だったが傷を負っている自分が居れば足手まといになる事を察すると明日奈の元に踵を返して、急いだ。
「キリト君?何処に行くつもりだい?」
須郷が後を追おうとするが修也と直葉がそれを許さない。
「Wait(待ちな)。アンタは俺とスグで止めさせて貰う!それにアンタはもう人生でも終了してるがな」
「どう言う・・・事かな?」
「冥土の土産として聞くんだな。和人だけが世界樹の上に辿り着いたと思っちゃ大間違いだ。俺は和人と一緒に世界樹の上に行ったんだよ。そこで見たのはSAO未帰還者の頭脳のデータホログラムだった。これで俺が何が言いたいか分かるよな?」
それを聞いた須郷は汗をダラダラと流し始めた。
「ま、まさか」
「そのまさかだ。研究員を切り刻んだ後、大切に保管してあった報告書のコピーを俺のPCに移させて貰ったぜ?これでアンタの悪行は晒し首同然って訳だ」
「こ、この糞ガキがぁぁぁ!!!何でだよ!?何で貴様等は僕のモノを奪っていくんだよぉぉぉ!!!奪ってやる・・・お前からも奪ってやるーーー!!!」
そう言うと須郷は直葉に向かってナイフを掲げ、突進してきた。
「その娘は君の彼女さんなんだろう?奪ってやるよ・・・僕のナイフでぇぇぇ!!!」
須郷の突進に直葉はサッと剣道の中段の構えを取った。そして修也が説明を始める。
「ああ、一つ言うの忘れたが。その娘・・・剣道全国レベルの実力の持ち主だぞ?」
「えっ・・・」
修也の説明が須郷の耳に届いた時にはもう遅かった。
「小手!!」
須郷の持っていたナイフは直葉の剣術【払い小手】によって、地面に叩き落された。
身体の半分の自由を失いかけている事と勢いに身を任せて突進してくる事を合わせるとスピードも位置も丸分かりの状態だった。そこに全国レベルの直葉が剣を合わせることなど、造作もない事だった。
そして得物もなくなった須郷に修也はさっと懐に飛び込み。
「イヤァッ!!」
「ぐげっ!?」
右のアッパーカットを須郷の顎に打ち込んだ。そしてすぐに身体を一回転させ、いきおいを付け・・・
「うおおお!!!」
身体のバネと回転の勢いを付けた正拳付きを鳩尾に叩き込んだ。
「Jack pot!!!」
修也の叫び声と共に須郷の身体は吹き飛び、地面に倒れ付した。
「なんで・・・なんでなんだよぉ。お前等・・・なんか・・・何の力も・・・ない・・・くせに・・・ごふっ」
須郷はアッパーカットの脳震盪を起こしたのか、そのままボヤキながら気絶してしまった。
「確かに俺達の力は小せぇ。けどなその小さな力が合わされば、大きな壁だってブチ壊せるだって出来るんだよ。所詮テメェは一人だったて訳だ、須郷」
修也が言い返すことのない気を失った須郷に言い返し、隣を見てみると車の窓ガラス越しにSAOの時の自分が写っているように見えた。
修也はフッと軽い笑みを零すとそれに向かって左の拳を当てると影も同じ様に拳を突き出し、身体と影の拳が重なり合った。
「「これで・・・Happy endだ」」
その後、警察に須郷を引き取ってもらい修也と直葉は二人の再会を邪魔しないように家に戻った。
後書き
閑話のネタはまだ受け付けています!!よろしくお願いします!!
感想と指摘。よろしくお願いします!!
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