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久遠の神話

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第六十話 嵐の前その八

「日本の政治家であるのなら」
「日本、そして日本人の為に働くものですね」
「それを他国の団体からお金を貰い」
 それをやがて首相になる人物が謝礼を発表していたのだ、その他にも選挙に勝ち首相になった男が日本は日本人だけのものではないとも言った。
「そうしたことはです」
「あってはならないですね」
「今立ち直らせているところです」
 日本をというのだ。
「それに権藤さんもまた」
「参加させてもらいます、そして」
 ここから権藤は堂々と言った、不敵な笑みで。
「やがては」
「首相ですか」
「このことを宣言させて頂きます」
「野心家なのですね、貴方は」
「褒め言葉でしょうか」
「はい」
 女は権堂の不敵な笑みに柔和な微笑みで返した、対象的ですらある。
「そうです」
「政治家に野心は必要だからですか」
「そして男にも。無論女にもですが」
「野心は必要ですね」
「野心があるからこそ人は目指し動きます」
 わかっている言葉だった、人間というものを。
「無論能力のない野心家なぞお話にもなりませんが」
「あの市民活動家あがりの自称政策通の男ですか」
「あの男は野心だけでした」 
 もっと言えばエゴと権力欲がその男の全てだった。それを首相になってから天下にこれ程はないまでに披露したのだ。
「その他にあるものはないです」
「私は少なくともあの男ではありません」
「野心とですね」
「能力もあります」
 それもまた、というのだ。
「お任せ下さい」
「では貴方はやがて私の上に立たれるのですね」
「政治家としては」
 権藤はここでも不敵な笑みで返す。見れば箸の動きも堂々としている。しかもその先は一センチ程しか濡れていない。
「そして日本をよりよくしてみせましょう」
「日本をどうされるおつもりでしょうか」
「何、覇権なぞは言わないので」
 そうした考えはないというのだ。
「我が国には似合いません。そして世界の流れでも」
「覇権の時代ではないと」
「融和の時代でしょう。私は戦争を求めません」
「では求めるのは」
「国益です」
 それに尽きるというのだ。
「その他のものはです」
「そういうことですね」
「はい、ですから」
「よく軍国主義と言われますが、我が党は」
「言いたい人には言わせればいいでしょう」
 今度の返答は実に素っ気なかった。
「勝手に」
「動き見せるのですね」
「そして語るのです」
 これが政治家の仕事だというのだ。
「そうしますので」
「では」
「はい、言わせます」
 またこう言う権藤だった。 
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