やおよろずっ!!
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過去の清算編
人形狂(ひとがた くるい)
前書き
遅くなりました。すみません!!
何話か書き溜めておりました。
過去の清算編、スタートです!!
目を覚ますと知らない天井があった。でも見るからに病院なんかではない。まるでどっかのボロアパートの天井だ。と言うかボロアパートそのものだった。
「う、うー……」
あくびをして起き上がる。ここはどこだ? 適当に歩いていると机の上にいろいろ置いてあった。
戸籍表、お金、このアパートの説明書き、ゲーム機、色々あった。
「あん? 保険証?」
その中に保険証が混じってあった。
それを見る。人形狂《ひとがた くるい》十六歳、
「ルシフェルか? 随分と手の込んだことを……」
そしてルシフェルのネーミングセンスに心配しながら家を出る。
俺は街を歩きながら思う。昨日の出来事は本当にあったのかと、しかし、懐のナイフが夢じゃない、と語っているような気がした。
って言うかなぜナイフがある? ルシフェルの奴回収し忘れたのか?
まあいい、護身用に持っておくか。
しかし退屈だなぁ……こういう時は……
何かを思い出した気がする。俺は手持ちを確認する。千円一枚か……こういう退屈な時はマクドとかいう店でなんか食ってた記憶が少し見える。まさか、俺の記憶か……?
先が見えたような気がする。前の俺の記憶と今ある状況で同一の物を探し出す。それでいまの俺はその状況を打破でき前の俺の記憶を少しづつ取り戻す。
「ま、それは少しづつやっていけばいいか……」
俺はマクドに入りハンバーガーを注文する。
普通にうまい……これで百円とか天国か……
食い終わった俺は一度アパートに帰る。すると、
「あん? 手紙かぁ?」
手紙が置いてあった。
『狂った人形君へ、おひさー、元気してる? 今気づいたんだけど君の冷蔵庫何も入ってないんだよね。五万円置いておくからそれで何か買いなよ。』
「ほんとに余計な手を回すな、あいつ、」
他にも色々置いてある。その中に黒いバッグがあった。そこには護身用と書いてある。
中身は黒い物体だった。何だこれは……
人間時のデータと照合する。あった、どれどれ……
十四年式拳銃、1920年代に大日本帝国陸軍によって開発された拳銃、おいおい、随分と年代物だな、……っておい! たしか今拳銃とか持ってたらしょっぴかれるんじゃ……
ケースがあった為それに入れておく。
そして黒くて薄い物があった。
データと照合する。あった。スマートフォンだ。しかし、俺の記憶ではもっと厚くて小さかったような……
時代か……
昔を思い出して妙に慣れた手つきでスマートフォンを操作する。俺は何故かメアドを確認する。何も登録してないことは知っているのに、しかし、
「あ? ルシフェルだあ? なぜあいつのアドレスが登録してあるんだ。」
本当に友達感覚だなぁ……
まあいい、それより眠たくなってきた。寝よう……
目が覚める。今は午後の七時、もうメシの時間だ。俺は人形なのに何故か飯は食いたくなる。ていうわけで近くにコンビニがあった筈なので買いに行った。
『いらっしゃっせー。』
店員のいかにもやる気の無いとえを聞き店内に入る。
昔の記憶をたどりカップ麺を購入する。昔の俺、随分と手抜きだな……
コンビニを出る際に時計を確認する。七時半、少し長くなったかもしれない。俺は出来るだけ早足で帰る。しかし、
『や、やだ、離してください!!』
『そうよ! 嫌がってるじゃない!』
女性二人の声が路地裏から聞こえる。あー、そういえばこの国も何かと物騒だった気がする。
俺はなんとなく路地裏を覗く。すると、一人の女性が二人の男に羽交い締めにされてる。もう一人の女性は男に抗議をしている。
なんてチンケな野郎たちだ、女一人を男二人で抑えるなんてな、マンツーマンていうもんを知らないのかよ。しかし、腹が減った。その一心で俺は帰路に付こうとする。女には気の毒だが俺もいい加減疲れた。
そう思った時だった。
『償いはしっかりするんだな』
「ッ!?」
俺はすぐさま後ろを振り向く。でもそこには誰もいない。確かにあの男の声が聞こえた。幻聴、なのだろうか……
「ク、クカカカ……」
思わず乾いた笑い声を出してしまう。
「よほど疲れてんだなァ、俺」
呟きながらナイフを取り出し歩き出した。
「おい、」
俺は二人の男に声をかける。男は俺を見て気だるそうに返事を返す。
「ああ?」
やっぱ日本人だな、適当とはいえ挨拶を返してくれる。
「俺、ここ通りたいんだけどよぉ、さっきからゴミが邪魔なんだぁ……退けてくれねぇか?」
もちろん嘘だ。さっきまで家に帰ろうとしていたからな。
「なんだ兄ちゃん? 女の子助けてカッコつけようってか?」
その女の子は恐怖と期待が混じったような目で俺を見ている。
「だから、ここ通りたいつってるだろ、殺すぞ低脳が、」
「ハハハ! お前みたいなひょろひょろ野郎がか? 舐めるな!殺るぞ!」
「キャハハハハァ!! 墓穴を掘ったな!!」
俺の体重は十五キロ、その上俺を作ったやつは俺にすごい脚力を残した。見かけはひょろひょろだが、運動能力が著しく向上する。
その自慢の脚力で瞬時に相手の懐に入る。
「何ぃ!!」
俺は男の首にナイフを構える。
「少しでも動いてみろ、死ぬぞ……」
そのまま男の腹にパンチを入れる。
そして男は動かなくなった。
「こっちに来てみろ!」
後ろから声が聞こえる。多分さっきの男の仲間だろう。
「んああ……?」
後ろを見ると男が女の首にナイフを構えている。
「コイツの頭が転がるぞ!」
これはひょっとして、脅迫ってやつか?
「……ハァ、」
「な、何だよ!」
「あ〜あ、やっちまったなおめぇ、御冥福をお祈りするわ……」
「な、何言ってんだよ!!」
「俺がこの事態を予測しないで首突っ込むとでも思ったか……?」
「ッ!?」
男は戸惑うがもう時は既に遅し、
俺は猛スピードで男に急接近していた。
「ギャハハハハァ!! おまえも悪人を演じるならよォ、もっとせこい手ぐらい使ってきやがれェ!!」
「ぶるふぁ!!」
男の顔面に鉄拳をお見舞いする。前の戦いで殴り方を知ったからうまく殴れたと思う。
俺は特別腕力は強いわけではない。むしろ一般の人間より弱いまである。しかし、どんなに腕の力のないものだって、障害レベルじゃない限り本気で殴られれば痛い。その上俺は何か硬いもので作られている。ウールでもなければ金属でもない。不思議なもので。
(少し、やり過ぎたか……?)
女のほうを見ると怖がっているような、それでも何か安心しているような顔をしていた。
(まぁいいか、)
そう思ってこの場から去ろうとした。
後書き
どうでしたか?
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