この世界はヒーローが大勢いる!
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We never meet without a parting(別れのない出会いはなし)
時が経つのは早いもので、俺がヒーローアカデミーに入学してから三年が経った。
ヒーローアカデミーの卒業生は自動的にヒーロー協会にヒーローとして登録され、今年から俺やキャスター達もヒーローだ。
「はぁ……」
イワンが一人暗い顔をしてため息をつく。最近はあまり暗い顔を見せなかったが今日は初めて会った時より暗い顔をしているな?
「む? イワンよ、どうしたのだ? ため息などついて」
「そうですよ。イワンさんは今年の卒業生で唯一『契約ヒーロー』に選ばれた出世頭なんですから、ため息なんて似合いませんよ?」
セイバーとキャスターがイワンに話しかける。
そうなのだ。イワンは今年から「TIGER&BUNNY」の原作通りにシュテルンビルドにある大企業の一つ「ヘリペリデスファイナンス」の契約ヒーローとなってデビューすることが決まっているのだ。
まあ、イワンは去年サイタマと出会ってから、それこそ死に物狂いでトレーニングに励んでいたからな。あのトレーニング風景を見れば、原作を知らなくてもイワンが契約ヒーローに選ばれたことに疑問は抱かないだろう。
「でも……契約ヒーローに選ばれたのは僕だけで、皆は『地域ヒーロー』となって別の所に行くんだよね?」
地域ヒーロー。
それはヒーロー協会が決めたエリアに限定してヒーロー活動を行うヒーローのことだ。
前にも言ったことがあると思うが、ヒーローは基本的にどこでヒーロー活動を行おうとも自由である。しかし中にはヒーロー協会からの依頼で犯罪発生率が高い地域を限定に活動することもある。
そして俺、キャスター、セイバー、アーチャー、エドワードの五人は卒業したらすぐに地域ヒーローとなって活動するようにとヒーロー協会から通達がきているのだ。地域ヒーローに選ばれるのはヒーロー協会にも実力を認められたヒーローだけで、卒業したばかりの学生がいきなり地域ヒーローに選ばれたのは、ヒーローアカデミーでも初めての快挙であるらしい。
「皆が地域ヒーローに選ばれたのは僕も嬉しいよ? でも皆とは別に僕一人だけでやっていけるのか不安で……」
「そんなことを言うなよ、イワン。お前が死に物狂いで努力してヒーローにふさわしい実力を身につけたのは俺が保証する。俺達も頑張って活躍するからお前も頑張れよ。確かイワンが行くシュテルンビルドって、ヒーローTVの放送が一番多いんだったよな? テレビでお前の活躍をチェックしとくから覚悟しておけよ?」
一人でヒーローとなることに不安を感じていたイワンにエドワードが話しかける。やっぱりイワンを元気付けるのはエドワードが一番上手いな。
「皆、そろそろ学園長の所に行かないか? 学園長が私達の行く地域について説明すると言っていたはずだ」
おお、もうそんな時間か。
俺達五人はイワンに別れを言うと学園長室に向かうことにした。
さて、俺達が行くのは一体どんな場所なんだろうか?
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