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ヘタリア大帝国

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TURN109 モスクワ攻防戦その三

「首都に多くの軍に名声もなくしてね」
「そうなるのね」
「首都を取られたらまずいよ」
 これはソビエトだけのことではない、どの国についてもだ。
「ソビエトは手段を選んでいられないわよ」
「だから集められるだけの艦を集めた」
「そういうことだね、そしてあたし達もね」
「援軍として」
「戦うんだよね」
「総統はどう考えておられるのかしら」
 ドイツ妹はここでヒムラーのことを考えた。
「あの方は」
「適当なところで逃げろって言ってるからね」
 ドクツ軍を率いる二人だけに言っていることだ。
「だから枢軸軍とソビエト軍を戦わせて」
「双方を疲弊させてそのうえで」
 漁夫の利を得る、二人はそれがヒムラーの狙いだと察した。
「そういうことね」
「多分ね、そうだよ」
「レーティア総統とそこがかなり違うわね」
「あの人は正攻法好みだったからね」
 レーティアは生真面目な性格だ、だから戦うにしても自分がまず動いて手に入れる主義なのでそうした漁夫の利的なことは考えないのだ。
 それでだ、プロイセン妹も言うのだ。
「そうしたことはしなかったね」
「そうだったわね」
「今の総統さんはそういう人だよ」
 悪く言うとずるいというのだ。
「だからそのことは踏まえてね」
「私達も動くべきなのね」
「そうなるよ。まあとにかく適当に戦ってね」
 ヒムラーの指示通りにすればそうなることだった。
「後はね」
「撤退するのね」
「総統さんが言うには目に見える外交的な恩さえ売ればいいから」
 これがヒムラーの考えだった、やはり悪く言うとずるい。
「そういうことだからね」
「わかったわ、ではね」
「ああ、適当に戦おうね」
 ドクツ側はあくまで援軍でしかなかった、ヒムラーは彼等に積極的に戦わせようとはしていなかった、そしてそのことはジューコフもわかっていた。
 そのドクツ軍を見ながらだ、こうモニターのベラルーシに言った。
「彼等はあてにしないようにしましょう」
「動かないからですね」
「はい」
 こう言うのだ。
「ですから」
「私が督戦隊になりましょうか」
 ベラルーシはその目を怒らせてジューコフに提案した。
「そして前に行かせましょうか」
「いえ、それは出来ません」
「同盟国の軍だからですか」
「はい、彼等がソビエト軍ならともかく」
「同盟国の軍隊となると」
「それは出来ません」
 仮にも同格の他国の軍だ、それではだというのだ。
「彼等の指揮権も彼等にありますし」
「それでは」
「はい、我々は我々で戦いましょう」
「わかりました」
 ベラルーシもジューコフの言葉に頷くしかなかった、彼女も同盟国に対しては手出しが出来なかった。そしてだった。
 ベラルーシは話題を変えて来た、今度言うことはというと。
「ただ、閣下は」
「私のことですか」
「はい、今は三十九歳ですね」
「はい」
 その通りだとだ、ジューコフもベラルーシに答える。
「そうです」
「では間も無くですね」
「定年ですか」
「今はラーゲリは占領されていますが」
 ソビエトは四十歳で定年となり後はラーゲリの老人ホームに送られる、そこで静かで落ち着いているがそれだけの余生を送るのだ。 
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