トライアングラー+α
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五話
「わざわざ来なくてもよかったのに…」
シェリルのリベンジライブの当日、バリーは、シェリルの楽屋にいた。
「こういうのやってみたくてよ!俺はずっとされる方だったから…」
「される方?」
「俺さ…高校生の時プロのキックボクサーだったからよ…」
あまり昔のことを語りたがらないバリーには珍しく、話し始めた。短く刈り込んだ髪をかきながら、恥ずかしそうにではあるが…
「こういうときによ…なんか勇気づけてやろうかと思ってよ‥」
不意に、シェリルが笑い始めた。
「なんで笑うんだよ!」
「ハハハハ…いやなんかね…ただ助けてもらってからここまでしてくれるなんてお人好しだし、バカだなぁって思ったから…」
中々笑いが収まらなかったが、バリーの不機嫌そうな顔で、やっと収まった。
「…バカね…私はシェリルよ?緊張なんかしないわ!」
そうだ…このまっすぐな瞳こそ、シェリルたる所以だ。
「でもありがとう。最高のライブにしてみせるから!」
そうすると、唇を近づけ…
「おまっ!」
「なによ、キスぐらいで」
そっと頬にキスをした。
「見られちゃマズい奴がいるんじゃねーのか?」
「アルトのこと?あれはね、遊びだから。まぁだからってあなたに本気ってことじゃないけど…」
「お前なぁ…」
「さぁ、メイクしてくるから!またね。」
そう言うと、颯爽と奥に下がっていった。
まだ口紅もなにも塗ってなかったが、柔らかく、それでいていつまでも感覚の残るような…
「遊びか…」
このライブが終われば、シェリルはギャラクシーに帰る…
こんなんでいいのか?俺…
席に着き、さっきの感覚を思い出しながら、今か今かとシェリルの登場を待っていたが、ポケットの端末が鳴った。
SMSの緊急回線だ。
「バリーか!?オズマだ!たった今、ギャラクシー船団より、救難信号が出た!救出にむかう!雇い主はな…シェリルノームだ!作戦名は!銀河の妖精!至急クォーターまで戻れ!」
「ギャラクシーが!?」
ギャラクシー…シェリルが来た船団だ。
「…わかりました!今向かいます。」
一応、シェリル…基、雇い主には、メールをいれておこう。
(すまないシェリル…)
そうすると、愛車を駆り、マクロスクォーターへ向かった。
「遅いぞバリー!」
「またその件じゃないっすか旦那!」
愛機のVF24に乗り込み、各種点検を始めた。
良好だ。
「ミシェル!今回のは俺とアルトのアタッカーだけでなんとかするのは無理だ!スナイプ頼むぞ!」
「了解!」
「よし!出るぞ!スカル小隊出撃!」
5機のバルキリーは、カタパルトから、勢いよく射出された。
「スカルリーダーより各機!バジュラは多数!母艦も控えている!気を抜くな、一体ずついくぞ!」
「いつもの一番槍は俺かな…スカル5!先に出るぞ!」
そういうと、ブースターをふかして、先に出た。
「こちらスカル2!スカル5の援護に向かいます!」
「スカル4!あいつらの戦いをよく見ておけ。あれがスナイパーと、アタッカーだ。」
「うぉぉぉ!!!!」
バリーが宙域にはいると、ガトリングを連射した。
しかし、牽制程度にしかならない…バリーは射撃が苦手なのだ。
「そう思ったよ!」
そうすると、バトロイド形態になり、白鞘を抜いた。
「ミシェル!援護よろしく!」
「おう!」
スーパーパックをつけただけではない速度で、バジュラに突っ込み、一気に2体を斬った。
「スカル5!出過ぎるなよ!」
「旦那ー!そいつは無茶な相談だ!」
マイクロミサイルをカモフラージュに、さらに奥へと進んでいった。
「あのバカ!スカル4!追うぞ!」
アーマードパックをつけてるとは思えない速度で、追う。正直言って、アルトもついて行くのが精一杯だ。
「なんなんだよこの人たち!化け物かよ!」
「聞こえてんぞーアルトーおっと…こちらスカル5、交戦中のギャラクシー船団を発見。どうする?旦那。」
「どうするもこうするもあるか!救助に向かう!全機!planet dance!!」
オズマが得意のミサイル攻撃で、蹴散らせば、バリーは白鞘とナックルで、バッタバッタと斬っていく。
さすがはSMSの猛者二人だ。息もぴったりである。
しかし、多数のバジュラに囲まれて、バリーが背後を取られてしまった。
「マズい!」
気づいたときには、すでに爪が目の前に来ていた。
が…一瞬でバジュラが視界から消えた。
「忘れてもらっちゃ困るんだよ!」
ミシェルが遠くからスナイプしてくれた。これほど頼りになる援護はない。
しかし、つかの間…何度でも湧いてくる。
「キリがねぇよこれじゃ!」
ふとみると、バリーの視界に、一体の大バジュラと、数体の小バジュラが入った。
「そっちは…フロンティアじゃねーか!」
そっちには…フロンティアには!
「デルタ1より各機!バジュラが数体フロンティアに張り付きました!至急援護を!」
ライブ中の…シェリルがいるんだ!
「やらせてたまるかぁぁ!!!!!」
すぐさまファイターに変形して、追った。
バリーのVFー24には、けたたましく警報が鳴っていたが、お構いなしに、突っ込む。が…しかし…
SMS並びに、スカル小隊は、フロンティアに二度、バジュラの進入を許してしまった…
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