ヘタリア大帝国
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TURN108 トライアスロンその七
「だからだよ」
「自らを律する考えはないか」
「柄じゃねえな」
そうしたことはしないというのだ。
「しかしな、メイド喫茶の為にはな」
「勝つか、わたしに」
「あんただけじゃなくてあの二人にもな」
前を見た、そこには東郷とスカーレットがいる。
「絶対に勝つからな」
「ならそうしてみろ」
「ああ、そうしてやるさ」
ランスは山下と競っていた、そのうえで東郷とスカーレットも抜こうとしていた。その東郷とスカーレットはというと。
無言でただひたすら走る、二人は完全に並行になっている。そのうえでただひたすら走りながらであった。
マラソンを進めていく、そしてだった。
「凄い速さでマラソンも終えようとしています」
「では次はですね」
「はい、自転車です」
シィルはこう帝に答える。
「自転車競技です」
「これが最後ですが」
トライアスロンの最後の競技である。
「どうなるでしょうか」
「本当に予断を許しませんね」
「そうですね、最後の最後までわかりません」
帝も固唾を飲んでいる。
「ゴールまで」
「ここまで凄い大会になるとは思いませんでした」
シィルもここまで言う。
「素晴らしいものです」
「私もそう思う」
柴神も同じ考えだった。
「最後はどうなるか」
「それまで目が離せません」
彼等も解説席で何とか興奮を抑えている感じだった、それは観客達も同じだ。
皆コースを囲んで目を凝らしている、そしてだった。
「長官さん頑張れ!」
「奥さんもな!」
「山下長官そのままだ!」
「ランスさんもやれよ!」
最早四人の誰が優勝してもという感じだった、応援も白熱していた。
その中東郷は自転車を進めていた、当然スカーレットも。最後の競技も凄まじい勢いで進んでいっていた。
ゴールが見えて来た、帝はその様子を見てまた言った。
「では」
「はい、いよいよですね」
「どちらが勝つかですね」
こうシィルに言うのだ。
「優勝は」
「もうすぐわかる」
柴神も固唾を飲む感じだ。
「それはな」
「ですね、後一キロです」
その距離を切ったところだ。
「まさにラストスパートです」
「四人共勢いを上げてこられました」
帝も言う。
「まさにいよいよです」
「そうですね、では」
シィルもごくり、と唾を飲み込んだ。ゴールは競技場のトラックにある。
四人はそこを流星の様に進んでいる、そしてその中で。
東郷は前に出た、スカーレットも。
二人は前を見たまま無言で突き進む、そのうえでテープを突っ切った。
競技場の観戦者達もネットやテレビで観ている者達もだった、判定の結果を待った。
「どっちだ?」
「どっちが勝ったんだ?」
「東郷さんかスカーレットさんか」
「どちらだ?」
「判定はどうなんだ?」
一瞬でわかるものだった、だが。
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