ヘタリア大帝国
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TURN108 トライアスロンその五
「完走だけはしたいけれどね」
「ふむ、大変そうだな」
山本がその彼女に言う。
「格闘能力は高いが」
「実は歳なのよ」
だからだというのだ。
「これでもね」
「幾つじゃ、それで」
「あんたよりはずっと若いけれどね」
六十九歳の山本よりはだ、だがそれでもだった。
「人は外見によらないのよ」
「そうか、大変だのう」
「持久力が落ちてるのよ」
年齢のせいだ、全ては。
「昔はこんなの全然平気だったのに」
「まあ完走はせねばな」
「意地があるからね」
こう話してそしてだった。
「これでも」
「だからじゃな」
「ええ、完走はするわよ」
絶対にだというのだ。
「それはするから」
「そういえばあんたは特殊部隊出身だしのう」
「ええ、そうよ」
「基礎体力はあるか」
「確かに色仕掛け担当だけれどね」
このことは同じ特殊部隊出身のキャヌホークも同じである、違うといえば性別ということ位であろう。
「それでもよ」
「訓練は受けてきとるな」
「だからソビエトの戦闘員もやっつけられたのよ」
このこともキャヌホークと同じだ。
「今も運動能力には自信があるわ」
「しかし持久力か」
「そっちはね」
泳ぎながら目を顰めさせて答える。
「結構以上にね」
「今話している通りか」
「毎日トレーニングはしてるけれど」
それでもだというのだ。
「歳っを取ると体力はどうしても落ちるから」
「だからじゃな」
「完走がやっとよ」
それがだというのだ。
「今のあたしの体力だとね」
「ふむ、では順位ではなく完走を目指すか」
「そういう爺さんこそどうなのよ」
ハニートラップは共に進む山本に対して彼はどうかと問うた。
「正直もう」
「まあ大丈夫じゃ」
「本当に?その歳もあるのに」
身体だけではないというのだ、山本の場合は。
「完走どころか一キロ泳げるの?」
「自分のペースでいけばそれ位の体力はある」
今でもだというのだ。
「だから安心するのじゃよ」
「だといいけれどね」
「心配せんでええ、わしはトライアスロンでは死なぬ」
「そう言う根拠は?」
「しんどくなったらリタイアするからじゃ」
右目を悪戯っぽく瞑ってみせてハニートラップにこう言った。
「だからじゃよ」
「そういうことね」
「そうじゃ、まあ完走は目指す」
「完走出来る位だったら当分は大丈夫そうね」
歳や病に対してだというのだ。
「じゃあ頑張ってね」
「そうさせてもらうわ」
「私も完走目指してね」
ハニートラップもそれを目指すことにした、人それぞれで目指すものが違っていた。
先頭集団はどんどん進む、シィルはアナウンス席からその様子を見て帝と柴神に対して驚きの声で話した。
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