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ヘタリア大帝国

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TURN108 トライアスロンその三

「皆が幸せになる為にね」
「そうなの?」
「そうよ。だからね」
 それでだというのだ。
「それまで我慢していてね」
「・・・・・・・・・」
 真希はスカーレットの言葉を聞いても俯くだけだった、真希にとって共有主義なぞどうでもよかったからだ。
 それよりも両親が昔の様に仲良くしてもらいたい、心からそう思って願っているだけだった。だがスカーレットはこのことには気付いていなかった。
 東郷は今も秋山に対してこう言っていた。
「さて、昔の様にな」
「昔の様にですね」
「スカーレットと仲睦まじくなってな」
 そしてだというのだ。
「真希を笑顔にしないとな」
「それが長官の願いですね」 
「そうだ、そうなってくれればな」
 こう秋山に言うのだ。
「いいと思っている」
「そうですか」
「俺は共有主義は間違っていると思っている、だがそれ以上にだ」
「それ以上にですね」
「真希を笑顔にしたい」
 昔の家族に戻ってだというのだ。
「その為にもな」
「頑張って下さい」
「とはいっても俺はスカーレットや利古里ちゃん程身体能力は凄くないがな」 
 二人と比べるとだというのだ。
「やってみるさ」
「いえ、長官もです」
「やれるか」
「確かに格闘技や銃ではお二人程ではありませんが」
 それでもだというのだ。
「トライアスロンの三つの競技は全て」
「確かに得意だ」
 水泳もマラソンもだというのだ、当然自転車も。
「どれもな」
「長官は陸上競技向けの方です」
 そして水泳のだというのだ。
「ですから」
「大丈夫か」
「優勝も夢ではありません」
「御前が言うのなら大丈夫か」
「はい、自信を持って行って下さい」
「それじゃあな」
 こうした話をしてだった、東郷もまた競技に赴く。競技コースの左右にはもう観客が集まっている、そしてだった。 
 その開催を待っていた、それはテントでもだった。
 アナウンサー役のシィルが解説役の帝と柴神に尋ねていた。
「馬は脚や持久力が違うからですね」
「はい、アストロ犬さんや猫さんはいいのですが」
「馬となるとな」
 二人もこう今は馬の姿のシィルに話した。
「身体能力も違うので」
「ハンデがあり過ぎるからだ」
「そうですね、私も実際のところ」
 シィルも馬の口から答える。
「馬は他の動物と違うので」
「そうだ、だから君はアナウンス役に回ってもらった」
 柴神がシィルに言う。
「それで頼む」
「わかりました」
「さて、そろそろだな」
 柴神は話題を変えてきた。
「競技の開始だ」
「はい、そうですね」
「全てがはじまる」 
 柴神は日本とガメリカの戦いがはじまる時の様に緊張している顔だった、その顔で解説をする。
「今からな」
「まずは水泳ですが」
「ただ長い距離を泳ぐだけではない」 
 トライアスロンではというのだ。
「そこからマラソンと自転車があるのだからな」
「体力の配分は考えないといけないですね」
「それが問題だ」
「そうですね、水泳で終われば」
「どうにもならない」
「最後の最後までですね」
 自転車が終わるまでだというのだ。
「この競技は大変ですね」
「とにかく体力とその配分だ」
 あまりにも過酷な競技なのでその二つについてが問題になるというのだ。 
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