FAIRY TAIL 真魂の鼠
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第十話 『囚われの南の神』
前書き
こんにちは~☆07です☆
今回はエルザ&ウェンディ&シャルルがRFGで大活躍ッ!!
途中で目線が変わります。最初はウェンディ目線からですっ!!
それでは、第十話・・・どうぞっ☆
私とシャルルとエルザさんは、空想の世界への入り口、『始まりの門』を潜りました。すると・・・
エ「おぉ。」
ウェ「わぁ~♪」
シャ「すごいわね。」
空が『始まりの門』みたいに虹色に光り輝いていたんです。私達が立っているのは深緑色のペンキで塗られた街灯の下。街灯には『東西南北神の都』と彫られていました。
エ「『東西南北神の都』?」
シャ「どうゆう意味かしら?」
ウェ「あ、もしかして、あそこが『東西南北神の都』じゃないですかか?」
私が指差した方は、ギリシャ神話に出て来るような白い服を着た人たちがいました。
エ「どうやらここが、この『東西南北神の都』のようだな。」
すると、ダダダダダダダダダダ・・・と何かがこっちに向かって来ました。よく見ると、私と同い年くらいの女の子でした。女の子は私たちの前でキキィーと急ブレーキをして止まりました。顔を上げると、太陽のような笑顔で、
カ「RFG『囚われの南の神』の挑戦者の方々ですね?ようこそいらっしゃいましたっ!!私は、RFG『囚われの南の神』の案内役を務めておりますカヤと申します。」
長い黒い髪の毛をサイドアップに束ねて、大きな緑色の瞳。瞳と同じ色の肩出しの服に髪の毛と同じ色のフレアスカート。首に鎖のような銀色のネックレスを付けていました。
ウェ「『囚われの南の神』?」
カ「皆さんが挑戦するRFGのステージ名ですよ。今から出来る限り手短にこのステージ上でのルールと、『東西南北神の都』と、『囚われの南の神』について説明します。」
カヤさんは『東西南北神の都』を指差すと、
カ「あの都は、元々は『死神の都』と呼ばれていたんです。」
エ「『死神』だと・・・!?」
ちょっと不気味な名前ですね・・・カヤは胸の前で両手を組むと、
カ「あの都は大昔から死神が住みついてるとゆう伝説があったんです。」
し、『死神』・・・!
シャ「ただの伝説じゃない。」
カ「それが、ただの伝説じゃないんです。」
カヤの胸の前で組んだ両手が小刻みに震えていました。
カ「『死神』を見た者は、三日後に石化してしまうんです。」
カ以外「!!?」
せ、石化・・・?
カ「実際に石化してしまった者は約五百人程います。」
エルザさんは驚いて目を見開き、シャルルは開いた口が塞がらなくなって、私は恐怖で体が震えていました。
カ「ですが、五十年程前に『死神』は都から姿を消し、四人の新たな神が都に舞い降りたんです。」
ウェ「四人の神?」
カ「『北の神』、『東の神』、『西の神』、『南の神』。この四人の神が都に舞い降りてから、都は『死神の都』から『東西南北神の都』と呼ばれるようになったんです。その為、『東西南北神の都』には毎日のように幸運が次から次へと訪れるようになったんです。」
『東西南北神の都』に住んでいる人たちは、は四人の神の事を信じているんですね。
カ「ですが、十年前、とある旅人が『東西南北神の都』に訪れたんです。そして、その旅人は『南の神』と出会ったんです。」
シャ「それがどうかしたの?」
カヤは一度目を閉じ、またゆっくりと目を開けると、
カ「翌日、その旅人は石化していたんです・・・」
ウェ「え・・・?」
エ「なっ・・・」
シャ「ど、どうして・・・?石化するのは、『死神』を見た者だけでしょっ!?」
カヤはまた目を閉じると、
カ「『東西南北神の都』の科学者によれば、『死神』がいるのは『地獄』。『地獄』は地の下にあり、『死神』は地の下に住んでいるとゆう事になります。そして、四人の神の中で一番『地獄』に近い存在は『南の神』とゆう事になるんです。」
ウェ「ま、まさか・・・」
エ「み、『南の神』に・・死神の、石化させる・・・能力が、み、身に付いて、しまったの、か・・・?」
恐る恐る聞くエルザさんの言葉にカヤが頷きます。私たちは言葉を失いました。
カ「その事で、『南の神』は都を出歩く事を禁じられ、今は牢獄の中で囚われの身になっているんです。『南の神』が牢獄に囚われてからは、石化する者はいなくなったんです。」
とゆう事は、やっぱり『南の神』のせいで・・・
カ「ここで一つ目の試練ですっ!」
いつの間にか、カヤの手の中に白い紙が握られていました。エルザさんが受け取り紙を開くと、茶色い文字が書かれていました。
エ「RFG『囚われの南の神』、一つ目の試練。」
シャ「『東西南北神の都』で『北の神』、『東の神』、『西の神』を見つけろ。」
え、えっとぉ、これは・・・?
カ「RFG内で、皆さんは『東西南北神の都』に訪れた旅人のふりをして、『南の神』を助け出しに来た勇者の設定です。都では『南の神』が囚われている事は知らないつもりでいて下さい。」
ウェ「だからこうゆう格好してるんですね。」
私たちの服装は、『始まりの門』を潜る前と変わっていました。エルザさんは大胆な肩とへそ出しの青い服に上から白いノースリーブのベストを羽織り、黒いズボンに茶色いサンダル。緋色の髪の毛は低い位置でツインテールに束ねていました。シャルルは薄紫とピンク色の服。尻尾にはピンク色のリボンが結ばれていた。私は青と緑色のラインが入った白いワンピースに緑色のサンダル。藍色の髪の毛は低い位置でポニーテールに束ねて、茶色い革製のショルダーバック。中に何か入ってる。
ウェ「カヤ、バックの中見てもいいかな?」
カ「いいですよ。でも、皆さんには必要ないものです。」
バックの中には木で出来た入れ物に入った水と、林檎が二つ入っていました。
カ「それは『南の神』に食べさせて下さい。もう十年も牢獄に閉じ込められていますからね。」
シャ「ちょっ、ちょっと待ってっ!!『東西南北神の都』の人達は、『南の神』の事を見たら石化しちゃうから恐れているんでしょぉっ!?だったら、どうやって今まで食べ物とかを『南の神』に食べさせていたのよっ!?」
冷静に考えてみたら、シャルルの言うとおりだ。じゃあ、十年間何も口にしていなかったから、『南の神』はもう・・・
カ「それは大丈夫。何らかの方法で離れたところから『南の神』に栄養を与えているから。でも、与えている量はやっとの事で生きれるりょうしかないと思う。」
エ「急がないと、『南の神』の生命が危険とゆう事だな。」
カ「そのとおりです。」
私はバックに水と二つの林檎を大切にバックに仕舞いました。
カ「私は常に皆さんの案内役として傍にいます。後、私の姿は皆さんにしか見えません。何かありましたら何なりと申し付けてください。では、これでRFG『囚われの南の神』の説明を終わりますが、よろしいですか?」
私はエルザさんとシャルルと顔を見合わせました。でも、もう何も聞く事はありません。カヤの説明で十分です。
エ「これで十分だ。」
ウェ「すごく楽しみです!」
シャ「いつでも始めていいわよ。」
カヤは太陽のように笑うと、
カ「それでは、RFG『囚われの南の神』・・・スタートッ!!」
カヤが空に向かって指をパチンッ!と鳴らしました。
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『ここからエルザ目線でいきます。』
私達は今『東西南北神の都』にいる。見慣れない私達の事を見て都の人たちはその場に立ち竦む。私は傍で立ち竦んでいた人に『東西南北の神』の事を聞いてみた。
エ「すいません。私たちは数々の街や村、都を巡って旅をしている者なんですが、この都に『東西南北の神』がいると聞いて、是非会いたいのですが、『東西南北の神』はどこにいますか?」
都1「旅の方達ですか。長旅ご苦労様です。あそこに見える石造りの建物が見えますか?」
都の人が指差した方を見る。確かに、周りの建物より遥かに大きい石造りの建物が見えた。やはり『神』とゆう存在だから、並の人間より偉い存在なんだな。
都1「あの石造りの建物が『東西南北の神』が住んでいる所です。今日はまだ外に出られていないみたいですから、まだ建物の中にいると思いますよ。」
エ「ありがとうございます。」
都1「長旅、頑張って下さいね。」
私達はお礼を言うと、教えてくれた石造りの建物に向かった。
ウェ「この都の人たちは優しいですね。」
シャ「そうね。でも、これから私たちがする事は、この都にとって不味い事なんだから。」
シャルルが言ってる事は正論だが、これは今の私達にとって『任務』なんだ。今更止める訳にはいかない。そんな事を思っていると、いつの間にか私達は『東西南北の神』が住んでいる石造りの建物の前にいた。さっき見た時には気づかなかったが、建物の石の壁に、「N E W S」と彫られていた。が、「S」の文字だけ上から「×」を彫られていた。私は一つ深呼吸をすると、石造りの建物の扉を叩いた。扉だけ木で出来ている。すると、
?「は~い♪どうぞ~♪」
中から可愛らしい声が聞こえた。私は扉を開けて中に入る。私に続いてウェンディとシャルルも中に入る。中には二人の男と一人の女がいた。
?「あら?この都では見かけない顔ね。」
さっきの声の主はこの女だな。お尻がすっぽり隠れるくらいのピンク色の髪の毛に紫色の瞳、ピンク色のノースリーブのワンピースに白いレースの半袖パーカーを羽織り、ピンク色の網状のサンダル。頭にはピンクと白の花の髪飾りを付けている。
?2「貴様等、ここに何の用だ?」
ウェ「ひぃっ!」
エ「!!?」
シャ「ちょっとっ!いきなり何ッ!?」
カ「WOW!!」
青い短髪に右が少しくすんだ黄色い吊り目。だが、左目に傷があって左目だけ常に閉じている。青いTシャツに黒いズボンに青いスニーカーブーツ、腰に白いパーカーを巻き付けている男がどこから取り出したのか分からないが、黒く光る拳銃の銃口を私達に向ける。ウェンディは小さく悲鳴を上げ、シャルルと姿が私達にしか見えないはずのカヤは驚嘆の声を上げる。すると、男が持っていた拳銃の先をまた別の男が摑む。
?3「アホッ!初対面の人に拳銃向けたらあかんって、いつも言ってるやないか。何度言えば分かるんやお前は。脅かしてスマンのぉ~。でも、あいつも悪気があってやったんじゃないから許してーな。」
拳銃を私達に向けた男を関西弁で叱ってからウェンディの背丈に合わせてしゃがむ。青い瞳に男にしては長い金髪の髪の毛を低い位置で後ろで束ねている。黄色いTシャツに白い半ズボン、黄色いスニーカーとゆうラフな格好で額に十字の傷跡がある。
?2「おいウェスト。少しは警戒心を持ったらどうだ。」
ウェス「そう言うイーストこそ、少しは人を信頼しーや。さっきノースもゆうてはったやん。この人たち、『東西南北神の都』では見かけない顔やって。きっと旅の人や。そうやろ?」
ウェストと呼ばれた関西弁の男が私達に問う。私たちは正直に頷いた。それを見たイースト呼ばれた男がチッと小さく舌打ちしたのは余談だ。
イ「旅の連中だから余計に警戒しろよっ!!」
ウェス「相手は女の子二人と猫ちゃん一匹やんかっ!!」
イ「女だろーが猫だろーが関係ねぇっ!!!」
ウェス「関係あるんやっ!!!」
イーストとウェストの目から火花が飛び散る。私達はその場で立ち竦む事しか出来なかった。すると、今までずっと黙っていたノースと呼ばれた女が火花を散らしてるイーストとウェストの肩を強引に引き離すと、
パァンッ!!
エ&ウェ&シャ&カ「!!!?」
イ「いっ!」
ウェス「ってぇ~~~~~・・・!!」
ノースがイーストとウェストの頬を平手打ちをした。イーストは平手打ちされた右頬を片手で押さえ顔を顰め、ウェストは平手打ちされた左頬を両手で押さえ涙を薄っすら浮かべている。
ノ「イーストもウェストもいい加減にしなさいっ!!お客様目のの前で喧嘩をするなんて、無礼ではありませんかっ!!!」
ノースの声が建物内に響き渡る。イーストとウェストもノースの迫力に何も言えなくなっていた。ノースは小さく息を吐くと、私たちの方を振り返って頭を下げると、
ノ「大変見っとも無い所をお見せしてしまいました。後で二人にはきつく言っておきますので、どうか許してくれませんか。」
ウェ「そ、そんな、謝る事じゃありませんよ。」
シャ「まぁ、拳銃を向けられたのは驚いたけど。」
ウェ「シャルル!」
私は頭を下げているノースの前にしゃがみ込むと、
エ「私達は誰にも怒ってなどいない。よかったら少し話をさせてくれないか?」
ノースは顔を上げて紫色の瞳を見開く。が、すぐに笑顔になって、
ノ「ありがとうございます。私はノース。『北の神』です。こっちは・・・」
イ「『東の神』のイーストだ。」
ウェス「俺はウェストや。『西の神』やで。」
さっきの怒り狂った雰囲気はどこへやら。
エ「私はエルザだ。」
ウェ「ウェンディです。こっちは・・・」
シャ「シャルルよ。もう拳銃は向けないでよ。」
どうやらシャルルはよっぽど拳銃が怖かったようだ。後ろで姿が私達にしか見えないカヤも自己紹介しているのは余談だ。すると、ノースたちには姿が見えないカヤが私の耳元で、
カ「一つ目の試練、達成ですっ!!」
残る試練は後二つ・・・
ノ「こちらに座ってお話でもしましょう。」
私たちはノースに勧められた椅子に座って話すことにした。
ノ「皆さんはどうしてここに来たのですか?」
エ「旅の途中で『東西南北の神』がいるとゆう噂を聞いたんです。それで是非会ってみたくて。」
ノ「そうだったんですか。よくいるんですよ。是非私たちに会いたいとゆう旅人が。」
楽しそうにしゃべるノースの右隣でイーストが黙って話を聞いていて、ノースの左隣ではウェストが落ち着かないのか手を動かしている。そんな空気の中で私は本題を言う事にした。ウェンディとシャルルに目で合図を送ると、
エ「ところで、『南の神』はいないんですか?」
ノ&イ&ウェス「!!!」
ノースの眉毛がピクッと上がり、イーストは右目だけを見開き、ウェストは動かしていた手を止めた。
ノ「み、『南の神』は今買い物に行っているんですよ。」
口調は丁寧だが、焦っているのはすぐに分かる。
ウェ「でも、ここに来る為に都の人たちにここの場所を聞いた時、『東西南北の神』たちは今日はまだ一度も外に出ていないと言ってました。」
ノースとウェストの頬に冷や汗が流れ落ちる。だが、イーストは、
イ「貴様等、やっぱり・・・!!」
ウェ「ひぃっ!」
シャ「ちょっとっ!拳銃向けないでってさっき言ったでしょっ!?」
カ「WOW!!」
どこから取り出したのか分からないが、椅子から立ち上がったイーストが拳銃の銃口を私達に向けた。が、今度はノースが銃口の先を摑んだ。
イ「!?ノース、何を・・・」
ノ「イースト、人の話は最後まで聞くべきですよ。」
今度は喧嘩にならなかった。イーストは黙って拳銃を仕舞い、再び椅子に座る。
シャ「『南の神』は十年前から都の牢獄にいるのよね?」
ノ「そこまで知ってましたか・・・」
ノースは悲しそうに笑うと、
ノ「『南の神』のサウスは五十年程前にこの都にいた『死神』の力が乗り移ってしまったんです。そのせいで、十年前にこの都に訪れた一人の旅人を石化させてしまったんです。その罪で、サウスは真っ暗な牢獄の中で過ごしています。」
ウェス「あれからもう十年になるんやな・・・」
独り言のように呟くウェストの表情はさっきまでのウェストとは別人のようだ。
イ「俺たちは何度もサウスを助けようとした。でも、何一つ手掛かりを摑む事が出来なかった。」
ノ「も、もし・・サウスが、もう・・・」
ノースの言葉を最後まで聞かなくても、その先ノースが言いたい事は分かった。震えるノースの体をイーストとウェストが優しく摩る。すると、私の隣に座っていたカヤが私の肩をちょんちょんと突いてきた。いつの間にか、カヤの手には白い紙が握られていた。ノースたちはこっちに気づいていない。私はカヤから紙を受け取り、ウェンディとシャルルに見えるように紙を開くと、茶色い文字が書かれていた。
「RFG『囚われの南の神』、二つ目の試練。
『南の神』が囚われている牢獄を見つけ出せ。」
つまりこれは、『南の神』サウスを助け出すとゆう事だな。私はまたウェンディとシャルルに目で合図を送る。
エ「ノース、イースト、ウェスト。」
三人が顔を上げる。ノースの紫色の瞳には大粒の涙が溜まっている。
エ「私達が、『南の神』サウスを助け出す。」
ノ「え・・・」
イ「はぁっ!?」
ウェス「んなっ!?」
三人とも驚きのあまり目を見開く。
ウェ「実は私達、サウスさんを助ける為にこの都に遥々来たんです。」
ウェンディの言葉に三人は更に目を見開く。
シャ「大丈夫よ。私達全員女だけど、とっても強いのよ。私は強くないけど。」
エ「必ず、『南の神』を、サウスを連れて帰って来る。」
ウェ「約束ですよ。」
私たちはノースの答えを待った。『東西南北の神』の中のリーダーは『北の神』のノースだ。一番上だからな。
シャ「そんな単純でいいのかしら・・・?」
ウェ「アハハハ・・・」
ノースは涙を拭い、目を閉じてしばらく考えていたが、ゆっくり目を開けて、椅子から立ち上がると、
ノ「皆さんに、サウスの命を託します!!」
私たちに向かって頭を下げた。
エ「あぁ。ウェンディ、シャルル、カヤ、行くぞっ!!」
ウェ「はいっ!」
シャ「責任重大ね。」
カ「楽しくなってきましたね☆」
私たちは石造りの建物を飛び出した。
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『ここから少しだけノース目線でいきます。』
エルザさん達は勢いよく建物を飛び出して行った。
イ「本当に託していいのか?ノース。」
ウェス「女の子二人と猫ちゃん一匹やで。いくら何でも危険すぎるとちゃうの?」
イーストはエルザさんたちから目を離さずに、ウェストは不安そうに尋ねる。私は椅子に座ると、
ノ「大丈夫。あの方たちの瞳は輝いていました。それに・・・」
私は天井を見上げて、
ノ「あの方たちは、伝説の『二人の女戦士と使いの白猫』に似ています。」
天井には、鎧を身に纏い、剣を持った朝焼けのような緋色の髪の毛の女戦士と、口から空気の渦を起こしている藍色の髪の毛の女戦士と、二人の女戦士を支える羽の生えた白猫が、十字架に括り付けられた紫色の髪の毛の少女を助け出している絵が彫られていた。
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『ここからまたエルザ目線でいきます。』
私達は今、とある神殿の前に来ていた。『東西南北の神』が住んでいる石造りの建物よりも遥かに大きい。
ウェ「まるで本物のギリシャ神話みたいです。」
ここは神殿だ。サウスも『南の神』だからここに囚われているかもと思ったのだ。
シャ「でも、神殿に牢獄なんてあるのかしら?」
エ「細かい事は気にするな。」
シャ「気にするわよっ!!」
そんな事より、さすが神殿だな。見張りが多すぎる。
ウェ「これじゃあ神殿の中に入れませんね。」
すると、
見1「おい、そこで何をしている。」
エ&ウェ&シャ「!!!」
恐る恐る振り返ると、鎧を身に纏い、兜を被った二人の見張りがいた。
見2「女二人と・・・ね、猫?」
シャ「何で間があるのよっ!!」
見1「しゃ、しゃべったぁ~・・・」
見2「し、しかも、二足歩行~・・・」
シャルルに驚いて二人の見張りはその場に倒れて気を失ってしまった。その時、私の頭の中の豆電球が光った。
エ「ウェンディ、シャルル、神殿に潜入する方法を思いついたぞ。」
****************************************************************************************
私たちは神殿の入り口に続く階段を上る。さっき気絶した二人の見張りから鎧と兜を奪い、それを着て見張りの変装し、中に潜入するとゆう作戦だ。シャルルはウェンディが持っていた茶色い革製のショルダーバックの中に、カヤは私たち以外姿が見えない為、すんなり内部に入れると思ったのだが、神殿の入り口の手前で見張っていた二人の見張りが手に持っていた槍をクロスさせる。
見3「何の用だ。」
エ「中にいる者と交代しに来ました。」
見4「そうか。ん?」
ウェ「!」
一人の見張りがウェンディに顔を近づける。
見4「お前、女みてぇ~な顔だな。」
しまった!神殿の見張りは男しかいない。一応私もウェンディも髪の毛を兜の中に入れて隠している。私は口調も男っぽいからバレにくいが、ウェンディはまだ十二歳で声も高いし顔も女の子らしい。ここまでか・・・諦めかけたその時、
ウェ「じ、実は僕、男だけど背が小さいし童顔なんです。よく女に間違えられて苦労してるんですよ。」
出来るだけ声を低くし口調を変えて、男になりきったウェンディ!!
見4「そうか。童顔も大変なんだな。」
見3「交代しに来たんだったな。入れ。」
クロスされていた槍が真っ直ぐになり神殿に入れるようになった。私たちは早足で神殿に入った。
エ「ふぅ~。」
人気のない所で私たちは鎧と兜を脱いだ。シャルルもショルダーバックから這い出る。
シャ「ウェンディったら、あんなに演技が上手だったなんてね。」
ウェ「前に『トーヤさん』に教えてもらったの。役に立ててよかったぁ~。」
あいつ、いつの間にウェンディに演技を・・・今回は感謝しないとな。
エ「さて、神殿に潜入出来たのはいいが・・・」
ウェ「どっちに行けばいいんでしょうか?」
前にも後ろにも、右にも左にも道がある。まるで迷宮のようだ。
シャ「もう、こんなところで迷ったら二度と出られなくなっちゃいそうね。」
シャルルが辺りを見回しながら数歩歩くと、ポシュッと音がした。
シャ「えっ?」
見ると、シャルルの足元の地面だけが引っ込んでいる。すると、ガタンッ!!と音を立てて地面が内側に開いた。もちろん、足場の無くなった私たちは・・・
ウェ「キャアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!」
シャ「何なのよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」
エ「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
そのまま口を開けた真っ暗な闇の底に真っ逆さまに落ちていった。私たちを飲み込んだ後、地面はゆっくりと元に戻った。
****************************************************************************************
エ「・・・ん・・・いっ!」
気がつくと、私は真っ暗な闇の中にいた。上を見上げても何も見えないが、かなり深い所まで落ちたのが分かる。そのせいで頭を強く打ち付けたみたいだ。
ウェ「エ、エルザさん・・・痛ッ!」
シャ「な、何で神殿の地面に罠があるのよ~・・・」
すぐ傍でウェンディとシャルルの声が聞こえた。二人も頭を打ち付けたみたいだ。
エ「無事か?」
ウェ「はい。私は大丈夫です。」
シャ「私も平気よ。でも、私のせいでこんな所に落ちちゃったもんね・・・」
ウェ「そんな、シャルルのせいじゃないよ。あそこに罠が仕掛けてあったなんて知らなかったんだ
し・・・」
ウェンディが必死にシャルルを励ます。その間にだんだん目が暗闇に慣れてきた。
エ「!」
ウェ「エルザさん?」
シャ「ど、どうしたの?」
微かだが、人の気配を感じた。私達の他に誰かがいる。暗闇に目を凝らす。どうやら私達が落ちたのは神殿の地下のようだ。更に目を凝らして見ると、
エ「じゅ、十字架ッ!?」
ウェ「ひぃぃぃっ!!」
シャ「な、何で、こんなところに・・・」
奥に木で作られた十字架が地面に突き刺さっていた。その十字架に何かが括り付けられている。更に目を凝らして見ると、雪のような真っ白な肌に痩せ細った体、ボロボロになり色褪せた紫色のワンピース、ボサボサの長い紫色の髪の毛の少女が鎖で手足を十字架に固定されていた。
エ&ウェ&シャ「!!!」
私たちは言葉を失い、しばらくその場から動く事が出来なかった。
ウェ「!エルザさん!シャルル!もしかして、この女の子が・・・」
『南の神』サウス・・・
シャ「って、何突っ立ってんのよっ!!」
私たちは我に返り、急いでサウスを十字架から放した。そっと首筋を触ると、脈は動いていた。サウスの口には病院で使われる酸素マスクのようなマスクが付けられていて、そのマスクから伸びる管は地下の天井に続いていた。
エ「どうやらこの管を通って離れたところからサウスに栄養を与えていたんだな。」
ウェ「でも、かなり弱っています。」
ウェンディが治癒魔法をサウスにかける。サウスが着ているボロボロの紫色のワンピースは服かどうか分からないくらいボロボロになっており、普通はワンピースで隠れて見えないはずの太股の付け根や胸が露出していた。
シャ「かなり酷い目に合ったみたいね・・・」
エ「・・・あぁ。」
私は楽園の塔の奴隷だった頃を思い出す。自分もこのような状態になりながらも、殺されたくない一心で、涙を流しながら働いていた。奴隷として・・・その時、サウスの右手の人差し指と中指が微かに動いた。
ウェ「よ、よかったぁ~・・・」
シャ「ウェンディ!!」
治癒魔法を使った為、かなり魔力を消費したウェンディが気を失う。すると、今までずっと黙っていたカヤが、
カ「二つ目の試練、達成ですっ!!」
すると、サウスが薄っすらと目を開けた。ピンク色の瞳はとても虚ろだった。そして目だけを動かして私の方を見ると、
サ「・・・・だ・・・れ・・・・・?」
口を開いた。
エ「もう大丈夫だ。私たちは君を助けに来た。」
私はウェンディが持っていた茶色い革製のショルダーバックの中から水が入った木の容器を取り出した。私は容器をサウスの口元に近づける。
エ「ただの水だ。毒なんか入っていない。」
それを聞いて安心したのか、少しだけ首を動かして容器に口をつけて水を一口だけ飲んだ。
サ「・・お・・・・・ぃ・・しぃ・・・」
少しサウスが微笑んだ。
エ「サウス、お前の事をノースとイーストとウェストが待っている。私たちと一緒に、ここから出よう。」
ノースたちの名前を聞くと、サウスは更に微笑むと、
サ「・・ノー・・・ス・・イー・・・スト・・・・・ウェ・・・ス・・・・・皆・・・・・」
そう呟くと再び気を失った。サウスの瞳から涙が一筋流れ落ちた。
カ「それでは、いよいよ最後の試練ですっ!!」
いつの間にか、カヤの手の中に白い紙が握られていた。私は紙を受け取り開くと、茶色い文字が書かれていた。
シャ「RFG『囚われの南の神』、三つ目の試練。」
エ「神殿から脱出し、『南の神』を『北の神』、『東の神』、『西の神』の元へ」
やはり最後は難関だな。だが、この試練を達成すれば、サウスは安全なんだ。
シャ「問題は、ここからどうやって脱出するかよね。」
落ちてきた所の地面はもう塞がっている。
エ「そういえば、さっきシャルルが地面にあった罠に引っかかったからここに来れたんだ。もしかしたら、ここから出られる罠もあるかもしれないっ!!」
シャ「手当たり次第、探してみるしかないわね。」
私とシャルルは地下の床や壁を念入りに調べた。
調べたのだが、罠らしき物は一切見つからなかった。
シャ「いったい、どうやったら出られるの?」
私は天井を見上げた。もう、何も出来ないのか・・・その時、天井で何かが光った。目を凝らして見ると、天井から短い鎖が垂れ下がっている。もしかして・・・!
エ「シャルル!あそこにある鎖を思いっきり引っ張ってくれっ!!」
シャ「鎖?・・・あっ!あれね!」
シャルルは翼を出すと、天井まで飛び、鎖を思いっきり引っ張った。
シャ「うぅ・・・!」
すると、ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・と地鳴りが聞こえた。次の瞬間、
エ「うわぁっ!!」
シャ「じ、地面が・・・!!」
地下の地面がエレベーターのように下に動いている。このまま行けば、神殿から出られるかもしれない。
ウェ「うぅ・・・」
シャ「ウェンディ!!」
ウェ「あ、あれ?ど、どうなってるの・・・?」
気がついたウェンディが地面が動いている事に戸惑っている。
エ「地下の地面が動いているんだ。」
ウェ「えっ!?」
エ「このまま行けば、神殿から出る事が出来るかもしれないんだ。」
すると、
サ「・・・ん・・・・・?」
ウェ「サウスさん!!」
今度はサウスが気がついた。
サ「あ、あれ?私・・・」
シャ「あんた、神殿から出られるのよ。」
エ「十年間、囚われていた牢獄からな。」
ウェ「ノースさんやイーストさん、ウェストさんにも会えますよ。」
ウェンディが茶色い革製のショルダーバックから林檎を一つ取り出してサウスに渡す。サウスは真っ赤な林檎を受け取ると、
サ「やっと、解放されるんだ。よかった。」
シャリと林檎を食べた。すると、ガゴォォォォォンと地面が止まった。私たちの背後に光が見えた。
エ「出口だっ!!」
ウェ「わぁ~!!」
シャ「これでやっと出られるわね。」
シャルルが林檎を胸に抱きながら涙を流しているサウスに言う。
サ「うん・・・!嬉しい。」
私たちは光へ向かって走り出した。
****************************************************************************************
外に出ると、私たちは神殿の裏側に出た。こんな所に繋がっていたんだな。すると、
ノ&イ&ウェス「サウス!!!」
振り向くと、ノースとイーストとウェストが目を見開いていた。神殿の裏側のすぐ傍に、ノースたちが住んでいる石造りの建物があった。サウスは持っていた林檎を過って落とした。
サ「ヒッ・・・ノー・・ス・・・・ヒック・・イー・・スト・・ウッ・・・・・ウェス・・ト・・・」
サウスはノース達に向かって走り出した。ノースが両手を広げ、飛び込んできたサウスをしっかり抱き締めた。
サ「うわぁぁぁん!!あーーーーーん!!」
ノ「よかった・・無事で・・・本当に・・・・」
泣きじゃくるサウスをノースが抱き締め、その両側からイーストとウェストがサウスの背中を摩る。私達はその光景を黙って見ていた。すると、私達の背後に人が三人横に並んで通れるくらいの夜空のように光り輝く大きな門が姿を現した。
カ「空想の世界の出口、『終わりの門』です。」
エ「これが、『終わりの門』・・・」
カ「三つの試練を全て達成したから現れたんです。」
ノースたちは突然現れた大きな門に驚いて言葉を失い、その美しさに見惚れていた。
カ「RFG『囚われの南の神』はこれにて終了です。『終わりの門』を潜って元の世界にお戻り下さい。本日はRFG『囚われの南の神』に挑戦していただきありがとうございましたっ!!」
カヤが私達に向かって頭を下げる。
ウェ「ノースさん、イーストさん、ウェストさん、サウスさん、お元気で。」
ノ「皆さんこそ。」
イ「最初は疑ってすまなかった。」
ウェス「サウスを助けてくれて、おおきに。」
サ「皆、ありがと~!!」
サウスが笑顔で手を振る。
シャ「カヤも元気でね。」
カ「皆さんこそ。」
エ「それじゃあな。」
私達は『終わりの門』を潜った。
カ「See you again!!!」
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『終わりの門』を潜り抜けると、私たちは空想の館に戻って来ていた。
ナ「エルザ!」
グ「ウェンディ!」
ハ「シャルル~♪」
すでにナツとグレイとハッピーが駆け寄って来た。私達より一足先にRFGを達成していたみたいだ。
ウェ「あれ?ルーシィさんとシンさんは?」
ハ「まだ戻って来てないよ。」
グ「たぶん、まだRFGをしていると思うぜ。」
シャ「苦戦してるのかしらね?」
ナ「それより、お前等が挑戦したRFGはどんなのだったんだ。」
エ「あぁ、それはだな・・・」
私達はお互い達成したRFGについて話し始めた。
後書き
第十話終了致しました~☆
つ、疲れたぁ~・・・まさかの10000文字越えっ!!過去最高ですっ!!午後十二時四十六分に書き始めたのに、今は午後八時二十六分です。
次回はルーシィ&シンがRFGでロマンチック~♪
お楽しみに~☆今回みたいになりませんようにっ!!
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