とある英雄の学園生活
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第7話 再会
白馬に乗るセシリアさんを先頭アリス姫が乗る馬車が続きその後ろに馬に乗る騎士が続く
その後ろに両脇に騎士がいる状態の俺……完全に捕獲されてますよね。
逃げ出したら弓矢か魔術で攻撃されるだろうな。
自分の力に過信するつもりはないけどセシリアさんに騎士4名なら戦いにも勝てるし、逃げることもできる。
もちろんイフリートとシヴァの力を借りてですが。
俺自身の剣術は中の中で魔術に関しては下の中ぐらいですから。
2人の力がなかったら……なんとか勝てるかな。
とりあえず状況が状況なので少しでも情報がほしい。
なので俺はおとなしく彼女らについて行くことにした。
ロンドンの町はかなり賑わっていた。
お祭り中なのかもしれない。
「お祭りですか?」
「・・・・・・」
右側にいる騎士に話しかけたが返事をしてくれない。
「あの~」
今度は左にいる騎士に話しかけたが
「…………」
返事をしてくれない……ただの屍のようだ。
じゃないよね・・・・・・屍じゃないよね。
返事ぐらいしてくださいよ。
「ふう~」
会話をしてくれない2人の騎士を横目で見てため息が出た。
賑やかな町の風景をみながらヴァッキンガム宮殿に連れて行かれた。
「こちらでおまちくださいませ」
ヴァッキンガム宮殿についた俺は6畳ぐらいの部屋に通された。
部屋の真ん中に机と椅子が2席あるだけだ。
この部屋・・・・・・取調室だよな
ま~冷静に考えれば俺の言動や強敵のゴールドオークを1人で倒したら、普通あやしむよな。
殺されることはないと思うが、もしかして拷問とかされる可能性は0ではないので逃げる準備もしておこう。
俺は背負っている炎の大剣イフリートをドアの横に立てかけ、氷の突剣シヴァを俺が座る椅子の後ろに立てかけた。
(2人とも万が一の時は頼むぞ)
(はいはい)
(わかりました)
コンコン
がちゃ
「失礼します」
セシリアさんと騎士2人が入ってきた。
セシリアさんは白の軍服に着替えている。
騎士2人は仮面こそ外しているが鎧は着用したままだ。
「少しお話をさせていただきたいのですがよろしいでしょうか」
「いいですが、喉が渇いているので水を1杯いただけませんか」
「これは失礼いたしました」
セシリアさんは入口にいる騎士の1人に合図を送りその騎士は部屋から出ていった。
「お聞きしたいことがいくつかあるのですが、お答えいただけるでしょうか」
「俺で答えれる範囲でよければなんでも答えますが」
「貴方の名前ですが、キラ・イチジョウで間違いありませんね」
「ああ」
「生年月日を」
「平成●●年12月21日」
「平成?」
「出身国はどこですか」
「日本だが」
「日本?」
「この世界にはないけどね」
「平成、日本でこの世界にはない……ふざけているのですか」
バッキ!
紙に俺の回答を記入していた羽ペンが折れた。
セシリアさんは怒ってますね。
「いやふざけてないが」
俺は本気で答えているのだが。
「姫を助けていただいたご恩があるので、手荒なまねはしたくありません。ですので本当の事を言っていただけないでしょうか」
「いやだから……」
コンコン
「お茶をお持ちしました」
お茶を持ってきた女性は年齢は30代後半かな、肩まであるブラウン色の髪。胸が大きく腰周りもクビレがありお尻も大きくもなく小さくもなくでなかなかのスタイルだ。なにより目元がセシリアさんに似ていて美人だ。
セシリアさんと同じ白の軍服を着ているが2点だけちがうところがあった。
1つは軍服の衿元の階級章が少将なのと
2つめは白いマントを着用している。
お茶を持ってきた女性を見て呆然としていたセシリアさんだったが、俺と目が合い正気に戻った。
「閣下何をなさっているんですか」
「お茶を持ってくるように言われたので」
「だからなぜ閣下が持ってこられるんですか」
「セシリアちゃんこわい……」
少将さんは部屋の隅にいた騎士の人の後ろに隠れた。
なんだこのコントみたいな会話。
「とにかく閣下申し訳ございませんが今は取り込み中ですので……」
少将閣下さんが俺を見ている。
……美人に見つめられるとなんだか照れるな。
「あの~俺の顔に何かついていますか」
「うっ・・・うう」
え……少将閣下さんが涙し流し始めたよ。
「閣下どうかいたしましたか」
「ううっ・・・・・」
「あなた、閣下に何をしたの」
目が合っただけですが。
泣いている少将閣下にハンカチで涙を拭くセシリアさん。
年の離れた姉妹に見える。
(キラ・・・・・・気づいてないの?)
(なにが?)
(キラ様本当に気ずいていらっしゃらないのですか?)
(2人も言いたいことがあるなら言ってくれ。)
(だからあんたはいつまでもDTなのよ)
(それ関係ないだろ!)
(DTはともかく私も、イフリートも気づいてますよ)
だったら教えてくれよ
(自分で思い出してください)
「あの~どこかでお会いしたことありますか?」
恐る恐る俺は泣いている少将閣下に問いかけた。
「ううっ……忘れられてるなんて」
さらに泣き出した。
「でも生きていてくれて嬉しいですお兄ちゃん」
「お兄ちゃん?」
俺より10歳以上の人にお兄ちゃんなんて言われたことないぞ。
あ、そうか、今は30年後の世界だった。
俺をお兄ちゃんと言ってくれる子は1人しかいない。
「まさか・・・・・・」
「私です、セリア・ガーネットです」
俺は数時間ぶりの再開だが、セリアは30年ぶりの再会だった。
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