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エターナルトラベラー

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番外 NARUTO編 その2

ソラの方はどうやら戦闘開始したようだな

俺はソラと別の部隊に組み込まれ、我愛羅を部隊長として戦場を進んでいる。

すると現れたのは五影の前任者達の穢土転生。

まず風影である我愛羅と土影のオオノキが攻める。

砂を操る我愛羅と塵遁を使うオオノキは両者とも広範囲攻撃を得意とする。まずはそれで様子見といくようだ。

「そこのうちはの猫」

突然、我愛羅に声を掛けられた。て言うかうちはの猫って…

「お前も手伝え。火影から聞いている。お前はスサノオを使えるのだろう」

「ほう。万華鏡の開眼者が身内に居るとはな。これでマダラに対してもまだ勝算のある戦いが出来るぜよ」

オオノキも暗に俺に前に出るように言ってくる。

「え?スサノオを使えと…?」

「出し惜しみは無しじゃわい」

「それじゃ、行くとしよう」

おーい…

我愛羅は会話はお終いと砂を集め始める。まずは相手を押し流すほどの砂嵐をお見舞いするらしい。

我愛羅は砂に乗って、オオノキは塵遁を使い飛翔している。

まずは先制と我愛羅の大技が炸裂。巨大な砂の波が五影前任者達を襲うが、寸前で動きが鈍り、止められてしまった。

見えた五影前任者達は丁度よく横一列で此方を警戒している。…丁度良い。

ソラからの念話で穢土転生体は封印も已む無しとの解が出ている。初撃での一撃必殺は卑怯だが俺のもっとも得意とする所。

我愛羅の砂にまぎれて既にスサノオの腕を地中に伸ばし、浸透させていたのだ。

あとはまだ自我のある五影前任者の動きが抑えられている内に横合いからグサリと一突き。あっけなく封印される。

え?卑怯?そんな事は分かっている。

必殺の一撃は初撃でとさっきも言ったとおりだ。

「「……………」」

我愛羅、オオノキの沈黙が痛い。そして後ろに控える忍連合の忍者達からもだ。

「流石はうちはじゃぜ…」

「…………部隊を後退させる」

あ、オオノキはともかく我愛羅が無かった事にしている。…まぁ良いけれどね。

「お主はこのまま部隊を離れて奇襲部隊に合流せい。ここよりもあちらの方が戦力的に危険じゃ」

「了解」

本格的に無かった事にして俺に依存しないように部隊から切り離す事にしたようだ。たしかにそれが正解かもしれない。



「これは……」

暁の基地にて穢土転生の制御に当たっていた薬師カブトは驚愕の声をあげる。

呼んだ穢土転生の半数以上が速くも封印されてしまったからだ。

まず一撃で黄泉へと送り返された事に驚き、次に容易に封印された事に驚いている。

「おかしいですね…うちはの生き残りはあなたとサスケくんだけかと思っていたのですが」

と、ギョロリと視線をマダラと呼ばれている仮面の男へと向ける。

「生き残りが居たのだろう。あれほどまでに精密にスサノオを扱えるとなると相当なレベルの瞳術を秘めているな」

どうでもよさそうにマダラは答えた。

「アイツらはまだ使えん。そっちで何とかしろ。俺も少し動く」

「簡単に言ってくれますね。ここで彼らを使いたくは無かったのですが…まぁ面白い余興になりそうですし良いでしょう。うちはの力を存分に見せ付けてやりましょう」

カブトはニヤリと蛇のように笑う。ソレを見てマダラも姿を戦場へと消した。



「クゥ、ユニゾン・イン」

「なぅっ!」

クゥと融合すると、尻尾が一本から二本へと増えている以外は若干2Pカラーになった程度だ。

バリアジャケットは速度重視で籠手と具足、局部の胸充程度に着込み、ソルを右手に持つとそのまま飛行魔法を使い空を駆ける。

ソラと合流しようと急いで飛んでいると、前方に巨大な鳥に乗った二人に道を遮られた。

俺は油断無く、一撃で仕留めようとスサノオの右手を現し、陰で隠して纏うとそのまま接近。十拳剣を突き刺し、封印しようとした時、何者かの大きな腕で弾かれ体勢を崩した俺は相手諸共地面へと投げ出された。

クルクルと制御を取り戻し着地すると、相手の一人は鳥から降り立ち俺の前へと立ちふさがり、もう一人は後ろに控える。

あれはスサノオっ!?

「スサノオを使うか…貴様はうちは一族なのか…?」

「誰だ?」

「自己紹介くらいは良いだろう。俺はうちはイタチ、後ろのは長門だ」

どちらも眼を見る限り穢土転生で呼ばれた死者だ。

「そして俺も問おう。誰だ、と」

「俺は…」

と答えようとした時、イタチは操られるように印を組みチャクラを練り上げると火球を吐き出す。

「火遁・豪火球の術」

俺はそれをスサノオの左手を現し、その手に持ったヤタノカバミで受け止めたために無傷だ。…まぁ本当は昔の杵柄で受け止めるまでも無かったのだが。

「俺は神咲アオだった者だ…母親の名前はうちはチカゲと言う」

「なるほど…チカゲさんの息子か。…どうりで強い…」

納得したように話すイタチだが、体は依然操られたままだ。

「気をつけろ…俺の万華鏡写輪眼は…」

その言葉を最後にイタチは完全に操られてしまったようだ。イタチの写輪眼の形が変わり、その右目から血涙が流れ落ちると、俺の体から黒い炎が燃え上がる。

なるほど…これが天照か。…発動が速い。流石に瞳術由来の技はもろもろの工程を二段とばしくらいで完了させる。

それにこれは高威力の技であろう。魔術師基準で測ればおそらくAランクほどの攻撃になるだろう。

…だが、昔取った抗魔力Aの効果でAランク以下はキャンセルされる。防御するまでも無く天照の炎は鎮火した。

クロックマスターで過程を飛ばしてスサノオの封印剣を突き刺しても良いが、どちらにしても長門の能力が未知数すぎる。封印中の一瞬で逆にこっちがやられてしまうとも限らない。長門に関しては確か昔、深板達に何か聞いたような…

どの道、魂を封印するような術のある世界なのだ。影分身も便利だが、相応のリスクが存在する。もし影分身を変質させられたら、影分身を解いて還元された本体まで影響を得てしまう。これは結構おっかない事実であり、殆どの術は無効化されるとは言え二対一の状況下では油断は出来ない。クロックマスターで過程を飛ばして十拳剣の攻撃を当てたとしても、相打ち覚悟で相手の十拳剣を食らってしまうかも知らない。ならば此処は『桜守姫(おうすき)』で慎重に行くべきか…

左目の万華鏡写輪眼が反転すると同時にスサノオが解除される代わりに右目に宿ったタケミカヅチの能力で雷を纏う。

相手にはスサノオが雷化したように見えたかもしれないが、これはスサノオとは別物だ。タケミカヅチを人型でスサノオのように纏って見せてはいるが、攻撃力はともかく防御力では数段劣る。

ならばとイタチの左目の万華鏡写輪眼が煌くが、同じ理由で月読もキャンセルされる為に効果が無い。それと同時に後ろの長門が両手を突き出し何かの術を行使するがやはり効果が無い。

桜守姫(おうすき)で見るとどうやら引力を操り俺を引っ張る瞳術のようだ。

先ず分断の後、片方を行動不能まで追い込んでからもう一人を先に封印するのがベストかな…時間が有れば紋章を発動して輝力を練っておきたかったが…くそ、慢心から来る油断だ。

対峙するイタチのスサノオと俺のタケミカヅチ。

先に動いたのはイタチだ。地面を蹴るとスサノオを纏ったまま此方へと駆けて来る。

さて、反省も済んだ。ここには他の忍も居ない。忍術にこだわる必要も無いではないか。

「ソルっ!」

『リストレクトロック』

バインドを行使してイタチのスサノオの動きを止めると、タケミカヅチの持つフツノミタマを振りかぶる。

しかし、攻撃を当てる事は叶わず。新たに口寄せされた巨大な犬の怪物が俺に襲い掛かり目標をそちらへと変えフツノミタマを振り下ろした。

「ぎゃうっ」

切裂くと同時に刀身に集めたプラズマが開放されその巨体を焼き尽くす。

ドシンと地面に倒れたそれはすでに黒く炭化したなにかだった。

抜けないバインドから抜け出そうと、イタチは一端スサノオを引っ込めるが、それを見逃すヘマはしない…と言いたかったのだが…

「天道・万象天引」

返す刀で切りつけたフツノミタマは長門の引っ張る力、「天道」と言うらしいそれでイタチは引っ張られ剣筋からそれ空振った。

「火遁・豪火球の術」

さらに引っ張られながら眼くらましと豪火球の術で牽制するイタチ。抗魔力Aの前ではガードする必要も無いのかもしれないが、俺はあえてフツノミタマで火球を切裂くと、その奥から大き目の手裏剣が飛んでくるのが見えるが、油断無くそれをタケミカヅチの左手で掴み取ると、その死角にもう一つの手裏剣が現れた。

影手裏剣の術だ。

流石忍者。一つの攻撃に二つも三つもの攻撃を合わせてくる。

俺はその手裏剣を写輪眼の瞳力で見切り、自身の手で掴むとイタチが投げた力も利用して回転しながら投げ返す。

するとイタチはそれは再び現したスサノオの右手で掴み取り、再度投げ返すが、俺もタケミカヅチが掴んだ手裏剣を投げて迎撃、互いにぶつかるとどこか明後日の方向へと飛んでいった。

「ソル、クゥっ、煙幕っ!」

(なうっ)
『ブラックスモーク』

ソルの排気口から黒い煙幕が立ち込め辺りを黒煙が包み込みむ。魔法でできたそれは視界、匂い、存在の全てを隠すが、俺には相手が手に取るように分かる。

クゥの感知能力は元々ずば抜けているし、自分の能力で遮られるようなドジはしない。

この隙に…

「紋章発動っ!さらに、紋章を強化っ!」

背後に紋章が現れ、オーラと魔力を合成する。

この輝力のエネルギーを使い、タケミカヅチを再構成、強化する。


煙が完全に気配を隠すが、敵の能力もさる物だ。

「天道・神羅天征」

長門が天道の力で引力と斥力を操って黒煙を全て吹き飛ばしてしまった。

再び対峙する俺とイタチ、長門の三人。

さらに既にイタチのスサノオは鎧を着込み、十拳剣を持っているようだ。

『リストレクトロック』

再度俺はバインドを行使して今度は長門の口寄せ鳥諸共縛り上げる。今度はスサノオを消そうが本体を捕まえると思っていたのだが…

「神羅天征」

「なっ!?」

斥力をうまく操りイタチのスサノオを捕まえていた俺のバインドを弾き飛ばしてしまった。

堪らず俺のバインドは霞と消える。

今の術、なぜ自分も一緒にバインドを解かなかった?そして、今も再度自分に掛けていない。単発なのか?

地面を蹴りスサノオを纏ったイタチが駆ける。

それを再度バインド。一瞬動きを止めるが再び神羅天征で弾き飛ばされた。

万華鏡写輪眼・桜守姫(おうすき)がその回答を導き出す。…なるほど、術のインターバルに五秒ほど掛かるのか。

十拳剣をフツノミタマで受ける。

再びバインド。スサノオの右手を縛り上げる。今度は神羅天征の援護が遅れている。

しかし、タイムアップ。

フツノミタマではスサノオの持つヤタノカガミを貫けない。輝く銀の腕なら貫けるかもしれないが、少し遅いか。

バインドを弾き飛ばされ自由になるスサノオの右手を警戒し一端距離を開ける。

封印剣を持つイタチのスサノオは最も恐怖する所だが、後ろの長門の援護が優秀すぎて打倒できず、長門を何とかしようにもイタチが邪魔をする。

『ブラックスモーク』

再度暗転。

今の内に螺旋丸を作り風の性質変化を加えていく。

「神羅天征」

再び煙幕が吹き飛ばされるが、既に風遁・螺旋手裏剣は作り上げている。

「はっ!」

タケミカヅチでスサノオを攻撃、崩した体勢の隙を逃さずに螺旋手裏剣を投を長門目掛けて投げつけた。

狙いは完璧。外しはしない。

が、しかし…

「餓鬼道」

再び上げられた両手が螺旋手裏剣を着弾前に跡形も無く吸収しつくしてしまった。

「なっ!?」

吸収無効系の能力まで持っているのか!?

まさか輝力まで吸収されるとは…これは実体を伴わない遠距離攻撃は吸収されると見て良いかもしれない。しかもなんか今までガリガリだったのに若干肉付きが良くなってる。この系統の攻略法として良くあるセオリーとしては吸いきれなくなるまで吸わせるという物だが、それは限界が此方の要領よりも小さい場合だ。ある種の賭けだが、これはまだ賭ける場面では無い。

余力を残す為に影分身は控えてきたが、ある意味これは正解だったかもしれない。半分の力をつぎ込んだ分身が吸収されたなんて言ったらゾッとする。

これはいよいよ目の前のイタチから…いや、スサノオから何とかしなければならないかっ…

裏・万華鏡を閉じ、万華鏡写輪眼に戻すと同時に、タケミカヅチをスサノオへと変化させると同時にバインドを行使。これは長門の牽制だ。

相手も十拳剣の能力は分かっているだろうし、怖いはず。ならば長門はバインドへの対処に追われるはずだ。今も長門に掛けたバインドが解かれていないのが援護に集中している証拠だろう。

突っ込んでくるイタチをバインドで拘束し、そのつど神羅天征で援護。とても面倒くさい。

イタチのスサノオの十拳剣をヤタノカガミで受ける。俺の十拳剣も当然相手のヤタノカガミで受け止められるが、そこで俺のスサノオからもう一本腕が生え、イタチのスサノオの右腕を切裂いた。

そう、部分顕現させたタケミカヅチの腕とフツノミタマである。

切裂き、投げ飛ばされた十拳剣を更に現したタケミカヅチの左手で掴みとり、一閃。俺の十拳剣により押さえ込まれているヤタノカガミを持った左腕を切り離し、弾き飛ばしたヤタノカガミをフツノミタマを消したタケミカヅチの右手で掴み取り隔離。

無防備になった本体に俺は十拳剣を突きたてる。

よし、このままスサノオと二枚のヤタノカガミでの絶対防御で長門を警戒しながら先ずはイタチを封印…とは行かなかった。

「万象天引」

長門が引力をを操り、十拳剣に串刺しにされているイタチの体を引っ張り、封印術から逃れようと援護する。

ちぃっ…ならばせめて…

「天照、月読」

貫いた十拳剣を媒介に能力の解析を終えている天照と月読をまつろわぬ須佐之男命から奪った権能、偸盗(タレントイーター)により奪い取る。

相手のスサノオを無効化、いやこの場合奪う為には左右の万華鏡に宿る能力の先に有るスサノオは、先ずこの二つから奪わなければならない。

くそっ!スサノオまでは奪えないかっ…

時間が足りず、イタチの体は十拳剣の刀身から抜け出してしまった。

まったく、一筋縄では行かない連中だな…

だが、どうやら天照と月読の二つを失い、イタチもスサノオを十全に使いこなせなくなっているようで、その姿が肋骨による防御にまで減退していた。

だが、あの天道と言われる術の五秒のインターバル。この隙を逃す訳には行かない。

イタチのスサノオからは剣と盾を奪った今、このタイミングならば行ける筈。

地面を蹴ると、俺はクロックマスターで長門との距離を詰め、十拳剣で刺し貫いた。

「がっ…」

貫かれながらもその剣を掴み、吸収無効を狙ったのだろうけれどそう簡単に吸収されてたまるものか。

ここであのセオリー。ほつれる術を搾り出したオーラで強引に繋ぎとめ、吸い取る量以上を供給し、剣の維持をする。

それを邪魔しようとイタチが再び構成したスサノオの右手に現した八坂ノ勾玉を、手裏剣のように長門を巻き込むのも構わずに投げる。なるほど、死なないからだと言う事は封印されなければ蘇るからか。

俺はそれをヤタノカガミを前面に押し出して受け、弾き飛ばす。

さて、今俺が持っている剣が何本あるか。俺は二本目の十拳剣をスサノオの腕を操って長門の背後から突き刺すと、その衝撃により均衡が崩れ、ついに長門を封印する事に成功した。あの天道の力は余裕が無くて奪えなかったが、仕方の無い事だろう。封印が成功したのだから良しとしなければならない。

後はイタチのみだ。

そう思い、イタチへと向き直ると既に口寄せ印は完成していたようで、地面に着いた右手から時空間忍術が広がり、地面から棺桶が一つ現れ、中から新たな穢土転生体が現れる。

ちっ…止められなかったか。だが、ならば召喚直後の隙を付いて今すぐに封印するべき。

そう思い向けられた十拳剣は捨て駒のように前に現れたイタチ、彼の現したスサノオの右腕によって止められてしまった。

まだもう一本あると向ける二本目も現れた左手によって受け止められ、残りのタケミカヅチでは封印は叶わない。

ならばせめて…

「須佐能乎…」

俺のスサノオと触れ合った事で偸盗(タレントイーター)を発動。イタチのスサノオを強奪し、無力化するが、とき既に遅く、後ろの穢土転生は解き放たれてしまっていた。

現れるのは鎧を着込んだ黒目黒髪の長髪の男。

「これは…穢土転生か…?輪廻天生では無いのか?」

まだ意識が残っていて、状況が飲み込めていないなら、今の内に封印してしまうしかない。

そう思って向けた十拳剣。しかしそれは現れた男を突き飛ばし、その軌道に現れたイタチによって阻まれた。

「くっ…」

そのままイタチを十拳剣に封印すると、現れた男と再び対峙する。

「この俺の前にうちはが…それも万華鏡を開眼し得た者が立ちはだかるか…これもこの世の業か…誰がこの俺を穢土転生で呼んだのかはわからんが、まずはお前を倒してから聞き出すとしよう」

そう言った彼の眼は赤く染まり万華鏡写輪眼へと変貌する。

なっ!?万華鏡写輪眼だとっ!?

更に俺がスサノオを纏っているのを見て直ぐに相手も両面の腕が四本あるスサノオを顕現させる。

スサノオまで…

ようやくイタチを封印したと言うのに…だが、長門の援護が無ければバインドを抜ける奴はそうそう居まい。

俺は現れた男(後になってマダラと知った)、マダラに向かってバインドを掛け、スサノオの動きを封じ込めると、地面を蹴った。

「む?抜けんか…なら」

そう言ったマダラの眼が万華鏡写輪眼から更に変わる。眼球は紫に染まり、波紋模様が浮かび上がる。

これは長門の瞳と一緒のっ…!?

すると斥力を操ったのか俺のバインドがことごとく弾き飛ばされ、消失する。

そのままスサノオの四本の腕の二本に剣を現すと、俺の十拳剣の二本を受け止め、三本目のフツノミタマは白刃取ると、完全に受け止められてしまった。

「ふむ…この体、中々に弄られているな。ならば…」

そう言ったマダラは印を組み、駆け寄る俺より一歩速く術を行使する。

「木遁・樹界降誕」

俺も写輪眼で見切り、真似るがどうにも俺では発動できない。

マダラの足元から現れる幾つもの巨木がうねり、俺を襲う。

俺はスサノオを消し相手の拘束を振り払うとクロックマスターを使って距離を開けたが、発見した俺を追尾するかのごとく巨木が迫る。

俺は再度スサノオを使用。その右腕だけを現し、シルバーアーム・ザ・リッパーを纏わせると、横一文字に十拳剣を薙ぐ。

その一撃はことごとく迫り来る樹木を切裂き、更にその能力で八つ裂きにされて行き、ようやくその木遁を相殺した。

木遁か…あの目の能力か…それとも血継限界系の能力だろか…どの道すぐに真似できる術ではないようだ。

写輪眼から変化させてもスサノオが消えていない所を見ると、あの目は万華鏡写輪眼の上位能力か…ようやく思い出した。深板たちから聞いた写輪眼の最終到達、輪廻眼かっ!

だがそれには柱間細胞が~とか言われていたし万華鏡の進化は諦めていたのだが、穢土転生とは言え二人も普通に出てくるとは、結構簡単なのか?

それはさておき…一人でイタチ、長門の両方の能力を使えるとなると…最悪じゃないか。

「ほう、中々やるものだな」

恐らく、長門が使った吸収技も使えるはずだから、遠距離からの性質変換やオーラそのものを飛ばす技は効果が薄い。

隠で見えにくくしての奇襲も相手は写輪眼、隠す労力だけ無駄であろう。

更に死なない体、無限のチャクラを持っているのだから性質が悪い。

先ほど長門を封印するさいに輝力を大盤振る舞いしてしまって既にガス欠。今は距離を取れた事が幸いしている。今の内に再度輝力を練っておこう。

「紋章発動っ!」

「む?俺の輪廻眼を持ってしても見切れない技か…血継限界か?いや、この感じ…仙術か」

魔力とオーラを結合させて輝力を練り上げると、スサノオからタケミカヅチを切り離すように現し、イタチから奪った十拳剣とヤタノカガミをかまえる。

あの吸い取る術には効果は薄いかもしれないが、牽制には使える。…このタケミカヅチが牽制にしか使えないとは、中々にこの世界の人間はケタが違う。いや、彼は死人なのだけれども…

「なかなか良い気迫だな。どれ、少し本気で行くか」

そう言うとマダラは火遁の印を組み上げる。

「火遁・豪火滅却」

ゴウッと噴出される火球を前に出したタケミカヅチがヤタノカガミを突き出して耐える。

しまった、視界を塞がれたっ!

急いで「円」を広げると、既にマダラはタケミカヅチを飛び越え、俺目掛けてスサノオの持った剣を振り下ろしていた。

「くっ!」

それをヤタノカガミで弾き、背後からタケミカヅチを操って十拳剣で刺し貫こうとするが、向けられた手に一瞬で吸収され霞と消えてしまった。

しかし、シルバーアーム・ザ・リッパーを纏った俺のスサノオの十拳剣はマダラのスサノオの防御を突き抜けて貫通し、完全に封印…

「っ!?」

刺し貫いたそれはいつの間にか木偶の坊へと変化していた。

変わり身とかそう言ったものじゃなく、写輪眼でも見抜けなかったもっと別の何かだ。

「ほう、木分身とは言え、俺を倒すか。なかなかだな…しかし、今度は二人同時に行くぞ」

背後に現れたマダラは分身を使ったのか、二人に増えていて、それぞれにスサノオを纏っている。

吸収する術がある以上、影分身や本体から切り離したタケミカヅチは効果が薄い…しかも、あの分身俺の万華鏡写輪眼でも見抜けないほどどちらがニセモノか分からない。

ならば…と再び裏写輪眼・桜守姫(おうすき)を使用。消え去るスサノオはタケミカヅチへと変換し、そのタケミカヅチに先ほどイタチから奪ったために別枠となった十拳剣とヤタノカガミを装備し、纏うように顕現させる。

桜守姫を通してみればなるほど、あの二人すら木分身のようだ。

襲ってくる二人のマダラをシルバーアーム・ザ・リッパーを宿した十拳剣で横薙ぎ一閃。スサノオの守りは紙切れのように突き破り木偶へと返す。

また背後から今度は三人、グニャリと木が生えるように地面から現れる。

あれも全て木分身…しかし戦闘能力は本体と同等…本体を見つけなければ勝ち目は無い。

分身なんて相手にしてられないと視線を巡らせながらマダラ三体からクロックマスターを使い過程を省いて距離を取りながら戦うと、先ほど潰した樹界降誕の残骸に同化するように本体を見つけた。

「ほう、本体を見破るとは、良い目を持っているな…奪っておくか?」

物騒な事を言ってくれる。

本体に向かって一直線にクロックマスターで過程を飛ばして距離を詰めようとした所でマダラに先手を打たれてしまった。

「木遁・花樹界降臨」

俺が破壊した樹界降誕を苗床に利用するかのように新たな巨木が乱立し、津波のように襲い掛かってくる。

またこれかっ!

「紋章発動っ!」

一瞬、紋章を発動し、輝力を少量練りこんでその全てを十拳剣の刀身に集める。

「この一撃にて草を薙ぐ」

次の行動を表す言葉で自ら次の攻撃の威力を上げると、横一文字に薙ぎ払い、巨木を切り刻んだ。

しかし、身に迫る巨木をどうにかするだけではこの術は駄目だったのだ。

三方向からスサノオを身に纏った木分身のマダラが襲い掛かる。

タケミカヅチが十拳剣を振るって二体を葬り去り、三人目はヤタノカガミで受け流したが、そこで俺はグラリと意識が揺さぶられ、膝を着く。

「これ…は?」

すでに花粉は広範囲に広がり、睡眠、麻痺の効果をもつ花粉を吸い込んだ俺は内側から侵食されていた。

まずい…いし…き…が…

ドサリ、とアオは地面に倒れこみ、維持する気力が無くなった為にタケミカヅチは消失してしまった。

「なかなかてこずらせたが、これで終いだな…む?」

俺はオーラで体内を活性化、すぐに活性された肉体は体内に入った毒素を分解すると同時に桜守姫から普通の万華鏡へと戻し、再びスサノオを顕現させると、二枚のヤタノカガミを前面に押し出して防御を固めた。

「そんなにスサノオが好きか…ならば本当のスサノオで貴様に絶望を与えてやろう」

本当の…だと?

みるみるマダラのスサノオが巨大化して行き、布を被った修験者のような姿が現れる。

くそっ!まさか完成体かっ!…まだ体は動かないっ…このまま受けるしかないのかっ!?

「まだだ…」

マダラがそう呟くと、揺れていたチャクラが安定し、天狗のようないでたちの巨人が現れる。

身体は…解毒はまだ…

「絶望を与えてやろう」

山をも越える巨体に四本の腕、武者のような肩宛てを着込み、顔は天狗のような仮面をつけている。

その完成体スサノオの左右に一振りずつ持っている刀。右手で左の二つ目の腕で持っている刀の柄に手を当てると居合いのように鞘から出す動きのままに俺を切りつけてきた。

「くっ…」

ありったけの輝力でスサノオを強化。山をも斬り飛ばす斬撃を二枚のヤタノカガミで受けるが…

「やばい…ソル、クゥ、転移任せた」

『トランスポーター形成』
『なうっ!』

一瞬後、転移魔法陣が発動し、俺達はギリギリの所でその場から転移で逃げる事に成功した。

「塵も残さず消えたか…案外もろいものだな」

そう言ったマダラの興味はすで移り、次の戦場へと駆けて行った。








意識が覚醒する。

「ここ…は?」

「アオ、起きた?」

気が付けば連合本部のベッドの上に寝かされていて、周りにはソラをはじめ、久遠、クゥが心配そうに控えていた。

「負けた…か。ソル、クゥ助けてくれてありがとう」

『問題ありません』
「なーう」

「何があったの?アオが負けるほどの相手が居たって事?」

「ああ。参ったよ、まつろわぬ神やカンピオーネもかくやと言うほどの相手だった」

「それほどなの?」

「性質変化や形態変化の攻撃を吸収してしまうんだ。さらにスサノオを使う上に木を操る忍術を使う」

「木遁って事?」

「だろうね、さらにその木遁で出来た分身は桜守姫でないと分身か本体かの餞別が出来ないほどに巧妙な上に本体と同じ術を使う」

「耐久値は?」

「影分身とは比べ物にならないだろうね。更に穢土転生の特性で死なない上に無限のチャクラで襲ってくる」

と、俺の言葉を聞いてソラも難しい顔をする。

「勝てるの?」

「スサノオを抜けそうに無かったからシューター、バスターは使わなかったが、バインドを吸収しなかったのが引っかかる。輝力で出来たスサノオは吸収されたんだけどね」

単純にやらなかっただけで吸収できるのかもしれないが。

「さらに厄介なのが完成体スサノオだ」

「ああ、それは私も見えた。余波で山を斬り飛ばしていたからね…あれはやっぱり次元が違う能力だよ」

「だな。あれに対抗するにはこっちも完成体を使うしかないが…まぁ、一度バラバラになるまで殺した上で、蘇る前にエターナルコフィンで氷付けにするか、ミストルティンで石化させればどうにかなるかもしれない。アテナねえさんの魔眼なら楽だっただろうに…」

「喚ぶ?」

「最後の手段で」

「そうだね」

「ソラの方は?」

どうだったと問いかける。

「化物みたいに強い敵は居なかったよ。ただ、アオが倒れたってソルから聞いて後退中に抜けてきちゃったけれど」

大丈夫かなぁとソラが言う。

「俺が倒せなかった奴に出くわしていたらかなりまずいだろうね。綱手さま達は?」

「少し前に厳しい顔で出て行ったよ」

「そうか…」

時間を教えてもらえば俺が倒れてから結構な時間が経っていた。 
 

 
後書き
まつろわぬスサノオから奪った権能。作者的にはあまり使いたくない能力なのですが…まぁ、使わないと言うのもおかしな話ですよね。なのであんな感じになりました。
マダラ降臨。きっとあのキャラは色々インフレしても問題ない…はず。木遁はきっとチート能力ですよね。カンピオーネの唯一の弱点。内側からの効果には対応が難しいと言う面で呼吸器官からの進入する花粉はマダラの攻撃の中でアオの唯一の弱点なのかもしれませんね。 
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