DOG DAYS 記憶喪失の異世界人
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第5章 今のレイジと記憶のレイジ。そして金髪の少女との出会い
『そういえばお前、家に居候いるだろ?』
『………何で言ってないのに知ってるんですか?』
『俺に知らないことなんて無いんだよ。可愛い子達じゃないか』
『………盗撮してる?』
『お前は相棒の事をそんな風に見てたのか………』
「相棒………?」
朝、目が覚め、見ていた夢の内容を思い出す。
あれから3日程経ち、生活にもすっかり慣れ始めた。
しかしそれと同時に記憶の戻りが頻繁になってきてそれにより酷い頭痛が多くなった。
「俺ともう一人誰かの会話だよな………相棒?って事は親しい人?それに居候って何だ?」
とても大事な事の様に感じるのだが全く思い出せない。
「くそっ、体がだるいし頭が重い………」
取り敢えず無理やり体を起こし、顔を洗いに行った………
「なあレイジ、顔が青いけど大丈夫か?」
「あ、ああ………」
朝食を食べ終わった後、直ぐに外の空気が吸いたくなり、城の屋上にやって来た。
そんな俺を心配したガウルがわざわざ様子を見に来てくれた。顔には出してないつもりだったが、甘かったかな?
「姉上も心配してたぞ。顔には出さなかったけど妙にそわそわしてたし………」
「レオが?」
気分が悪かったから見れなかったが、ちょっと見てみたかった。
「………」
「そんなに心配そうに見なくても大丈夫だよ。少し風に当たってれば気分も良くなるだろうし、これから勉学じゃなかったか?」
「げっ!?そうだった………じゃ、俺は行くな!!レイジ後で!!」
そう言ってガウルは慌ただしく出ていった。
「全くガウルは………何だか弟が出来たような………うっ!?」
そんな事を思っていると再び頭痛がしてきた。
「弟………?俺に弟が居た………?いや、違う。俺には………うぐっ!?」
俺は頭痛によりその場に倒れ込んだ………
『パーティ?』
『ああ、アイツ、クリスマスもどうやら1人みたいなんだ。だから………』
『あの子も大人びてるわよね………本当ならもっと可愛げがあってもいいのに………』
『アイツも俺達と同じだ。だからこそ楽しい思いをさせてあげたい』
『………分かったわ、そうしましょう。段取りはどうする?』
『そうだな………』
「うっ………ここは………」
目を覚ますとどこかの部屋の中。
外に居た筈なのに部屋の中と言うことは誰かが運んでくれたのだろうか?
しかも既に夕日の光が窓から入り込んでいる。
「俺、1日中寝てたのか………?全く、情けないな………迷惑かけてばかりで………ん?」
布団に重みを感じたので、その原因を見てみるとそこにはベットにうつ伏せになり寝ているレオが。
「全く、何をしてるんだこの国の王は………」
頭を撫でるとくすぐったいのか頭を動かすレオ。
「全く可愛い寝顔………ぐっ!?」
そう思っていると、再び頭痛が。
前にも同じような事を………?
「くそっ、一体なんなんだ!?」
「ん?何だ騒々しい………」
俺の怒鳴り声でレオが起きてしまったらしい。
寝ボケ顔で俺をしばらく見ていたが、その後慌てた様子で俺に迫って来た。
「レイジ!!大丈夫か!?どこも異常は無いか!?」
「顔近っ!?一旦落ち着け、落ち着けレオ!!」
体を揺すられ、正気に戻ったレオ。
この間近の距離感に恥ずかしくなったのか、みるみる顔が赤くなり、顔を合わせられないのか後ろを向いてしまった。
「結構うぶなんだなレオ」
「うるさい!!貴様は平気なのか!?」
「まあな俺には………俺には?」
今、俺は何を言おうとした?
「くそっ、俺は一体誰なんだ………!!」
「レイジ………」
俺の怒声を聞いて心配そうな顔で見てくるレオ。
「ご、ごめん………最初は自分が誰なのか分かっていくごとに嬉しかったんだけど、思い出す記憶がちぐはくで、俺が本当にレイジなのか、それとも別の誰かなのか分からなくなっていってるんだ。そして俺はそのうち………今の自分も消えるんじゃないかって………」
「レイジ!!」
「俺は一体誰なんだ………くそっ………」
不意に思い出すちぐはぐな記憶。
様々な記憶に翻弄され、レイジは精神的に参っていた。
「なあレイジ、お前にとって記憶とはとても大事なのだと思う。だが、そんなに苦しむのならもう求めなくてもいいのでは無いか?」
「そういう訳にはいかない。記憶を取り戻すことによって俺も本来の力を取り戻す事が出来る。じゃないとレオの力になれないからな」
レイジの言う通り、レイジに記憶が戻り始めてからは、レイジの実力も格段と上がっていた。
今ではゴドウィンとも本気で渡り合える程で、誰もがその実力を認めていた。
「だが………」
「俺はお前達の役に立ちたいんだ。記憶喪失の俺を受け入れてくれたこの国に恩返しがしたい。俺もこの国が好きだから………」
「レイジ………」
「だが、もし記憶が完全に戻った俺がこの国を破壊しようとしたら迷わず殺してくれ」
「レイジ!?」
「あの星詠み、最後の言葉が無かったろ?あの後の俺が何をするのかが不安なんだ。記憶の戻った俺が実は悪人でこの世界を破壊するかもしれない」
「そんなこと………」
「無いとは言えないだろ?」
「………」
俺にそう言われ、返す言葉が無いのか、しゅんとするレオ。
「そんな顔するな。必ずしもそうなるって訳じゃないんだから」
「ワシは………」
「レオ、君にお願いしたい。例えどんな結果になってもレオだったら悔いはない。だから最後はレオが………」
そう言うと暫く黙っているレオ。
やはりすぐには決められないよな………
「………ワシは最後まで諦めんぞ」
「ん?」
そう思った矢先、レオが何かを呟いた。
「諦めんと言ったのだ!!ミルヒも勇者もレイジもワシが守ってやる!!例え記憶が元に戻り、悪人だったとしてもワシが改心させる!!貴様もこの国の民なのだ、絶対に見殺しにせん!!」
「………」
レオの予想外の言葉に開いた口が塞がらなかった。
予想よりも真逆の答えで、全てを救うという答えだった。
「レオ………」
「ワシはやるぞ。伊達に王を名乗っているわけではない」
そんなレオの優しさが見に染みる。だからこそ、国民からも信頼が厚いのだ。
「全く、レオには敵わないよ………」
「レイ!?」
抱きつかれ、何も言えなくなるレオ。
「ありがとう、本当にレオに出会えて良かった………」
「レイジ………」
暫く2人はそのままでいたのだった………
「入りづらいな………」
「入りづらいですね………」
そんな2人の様子を扉越しに見ているビオレとガウル。
2人共自分のすることを終え、レイジの見舞いに来たのだが………
「まさか2人がこんな関係になっていたなんて………」
「確かに、姉上のあんな姿なんて見たことねえよ………どうする?」
「見なかったことにしましょう。でないと姫様、あの時みたいに我を忘れて暴れるかもしれませんし………」
「確かに………」
ビオレが言ったあの時とは、まだ星詠みの予言が無かった時の話だ。
レオの部屋からビスコッティのミルヒオーレの歌っていた歌声が聞こえてきたのでおかしいと思い、そっと覗いてみた時だった。
………鏡の前で歌ってる。
「あの後、うっかり見たジョーヌが皆に言いふらして、それを聞いた姉上の暴走をゴドウィンとバナードとビオレで何とか止めたんだよな………」
「ええ、それも何とか。姫様、恥ずかしさのあまり止まるに止まれなくなって多くの怪我人を出しましたから………」
「じゃあ少し時間経ったら来るか」
「そうですね」
2人でそう話合い、静かにその場を去ったのだった………
「よし、少し休憩するかな………」
城で借りたセルクルから降り、ゆったりと流れる川に近づく。
「冷たい………」
靴を脱ぎ、足を突っ込むと水の冷たさが体全体に広がってきた様な気がした。
「お前も流石に喉乾いたか」
そんな俺の横に着て川の水を飲むセルクル。
よく見ると可愛らし顔しているよな………
「何か記憶が無いのに、1人でいるのが随分懐かしい気がする………」
誰もいない森の中で風で揺れる葉っぱの音と川のせせらぎ、そしてメルクルの水を飲む音だけが聞こえてくる。
「最後のが無ければ風情があっていいんだけどな………」
「メェ?」
くりくりしたつぶらな目で俺を見つめてくる。
「本当に可愛い奴め!!」
そんなメルクルを見るとナデナデが止まらない!
コイツは他のメルクルと比べても珍しいくりくりした目を持つメルクルだ。
もう可愛くて可愛くて………
「………って何してんだ俺。早く目的の場所に向かって帰らないとレオにどやされる」
俺が倒れ、レオと話した次の日。
今までの体調が嘘のようにすこぶる快調になった。やはり精神的にも参っていた事もあったみたいだ。
そんな俺を見てレオも喜んでくれたし、みんなも安心したみたいで本当に心配をかけたんだなと感じた。
「俺がこの世界で目覚めた場所、そこに根本的な何かがあるのかも………」
そう思い俺は目覚めたあの森にやって来ていた。
記憶が戻るのに不安が無いわけでは無いが、どんな結果であれレオやあの城のみんなが受け入れてくれる。
そう思うと昨日までの気持ちが全て吹っ飛んだ。
「この辺りだよな………」
俺が目を覚ました場所。
何も無い普通の森の中。
「メリクル、あっちへ行ってみよう」
俺は取り敢えず周囲を見て回る事にした………
暫く歩いていると大きな湖に出た。
とても綺麗で、日に当たってきらきら光って見える。
「綺麗だ………」
メリクルから降り、暫く湖を眺めていた。
「こんにちは」
「えっ!?」
後ろから不意に声をかけられつい驚いてしまった。
振り替えるとそこには青白い長髪で肌が褐色の美しい女性がいた。
踊り子のような白いドレスを来ていて、どう見ても異様だ。仮にも魔物が出た森でそんな格好をしている奴がまともな訳と思う。
それにこの女性は危険だと体全体で警鐘を鳴らしているような気がした。
「あんたは………?」
「アンネローゼ、よろしくね異世界人さん」
その女性は不気味な笑みを見せながらそう答えた………
「何故異世界人だと?」
「見たことあるからよ。その人達はガレッドやビスコッティの人達の様な特徴が無かったから」
俺はアンネローゼと2人で湖の回りを歩いていた。メリクルはアンネローゼに会ってから怯えているのか、その場から動けないでいたので待っているようにいって置いてきた。
取り敢えず彼女の存在が気になるのでついてきているのだが………
「その人達は森でひっそりと暮らしていた私の家の近くにいきなり現れたわ。見たことがない門の様な物が現れてそこから」
門………?
「その門は1人の女性と、箱の様な物に入った少女とその2人を囲むように9つの青い宝石が現れたわ」
2人の人と9つの石………?
「彼女達が何故この世界に来たかは分からないわ。だけど彼女達が残してくれた物のお陰であの方の封印を解く事が出来る。フロニャルドの加護なんて消し去って、この世界を………」
「あんた………」
もしかしてこいつが星詠みの原因………?
「あなたも迷いこんだ異世界人なんでしょ?あの勇者になるべく呼ばれたガキとは違って」
「………ああ、そうだが?」
「なら私に協力してくれない?この世界を破壊して新たな世界を作る私に」
そう言って手を差し出してくるアンネローゼ。
「………その前に1つ聞きたい。門から出てきた2人は今何処に居るんだ?」
「1人は死んでいて、もう1人は箱のような物に入っていたせいか、生きているけど何も覚えていない赤ん坊のような子よ」
「そうか………」
「ほら、今もあそこに」
そう言ってアンネローゼが指差した方向には、誰かの墓と金髪の少女が墓の前に座り込んでいた。
「また勝手に抜け出して来たのねアリシア」
「………アンネ」
「勝手に略すな。全く服も泥々になっているじゃない………」
そう言ってアンネローゼはアリシアと言う少女の服の土を優しく払ってあげる。
こう見ると完全に姉と妹だ。
「………お母さんと離れたくないの?」
「?………分かんない。だけどここは良い匂いがするから」
「そう………」
「この人誰?」
「ああ、あなたと同じ異世界から迷い混んだ人間よ。名前は………」
「レイジだ………恐らくな」
「レイ………よろしく………」
「また勝手に略して………」
そんなアリシアに大きくため息を吐くアンネローゼ。
「1文字だけだけどな。まあ良いや、よろしくアリシア」
「うん」
頭を撫でてあげると少しニコッと笑った様な気がした。
気のせいかもしれないけど………
「………まあ取り敢えず昼食にしましょうか。あなたもどう?」
「何故だ?」
「だってその子があなたの事を気に入ったみたいだしね」
アンネローゼに言われてふと下を見るといつも間にかアリシアが俺のロングコートを握っていた。
「一緒」
「俺、懐かれるような事したか?」
「さあ?」
アリシアの誘いを断ることが出来ず俺はアンネローゼとアリシアについて行った………
「こらアリシア、頬についてるわよ」
「ん」
頬に付いていたシチューを拭いてもらうアリシア。
「………」
「何よ………?」
「いや、さっきとは印象が違うなと思ってな」
「………そんな事無いわよ」
そう言うアンネローゼだったが、言葉を濁らせながらの答えだった。
「最初はさ、お前の雰囲気が不気味に思えてたんだが、アリシアのおかげで世話焼きのお姉さんにしか見えなくなったよ」
「何を………!!」
「お前はさ、この世界は破壊したいとか言ってたけど本当にそれがお前のしたい事なのか?そもそもお前は誰なんだ?何故この世界の破壊を望むんだ?」
そう言うとスプーンを机に置き、暫く黙るアンネローゼ。
そして………
「レイジ、あなたは今の戦争のやり方になった原因を知っているかしら?」
「ああ。大昔にあった本当の戦争や魔物との戦いがあり、時間が経つにつれて今の戦争になったとか」
「そう、大まかに言えば間違い無いわ。………私はね、この時代の住人じゃないのよ」
「この時代の住人じゃない………?」
「ええ、私はその魔物の戦いで魔族として戦っていた者よ」
「………」
まさかの答えに驚きが止まらなかった。
「その当時、魔王ヴァレリーは私の王、その側近だった私は彼の勇姿が大好きだったわ。でも………」
そう言って昔を思い出すように話出すアンネローゼ。
しかしその顔は先ほどアリシアに向けていた顔とは違い、怒りが湧き出る様だった。
「ヴァレリー様がその時代の勇者と戦い封印されてからは魔王軍は敗北が続き、ついには………」
そう言って空気が重くなる。まあアリシアはマイペースにシチューを飲んでいるが………
「あの時、ヴァレリー様の変化に気がついていれば………あの時、勇者との一騎打ちを認めなければ………」
それは全てIFの話。
今更どうにでも出来る話ではない。
「あなたの言いたい事分かるわ。だけどね、それを変える方法があるとしたら………?」
「変える方法………?」
そう言ってアンリローゼは立ち上がり、近くの棚から古びた手帳を持ち出した。
「これは………?」
「アリシアの母が持っていた手帳よ。これにはこう書かれているわ。『ジュエルシードの力は願いを叶える石、アリシアを生き返らせる為にはもっと………』この先はまだ解読途中と古すぎて分からないけど………」
「まさか………!!」
「そう、彼女は死んだアリシアを生き返らせようとしていたのよ。そしてその願いはかなった。そして幸運にもジュエルシードは9つ残っていた。私もこうすれば………だけどね、足りないのよ9つだけじゃ。」
「なら無理じゃないか」
「いいえ、方法はあるわ。………だけどここから先は貴方がこっちの味方になってくれたらね。とにかく私はこの世界を破壊するわ、過去を変える事によって………」
そんなやり方が………
「しかしだったらあの襲ってきた魔物にあった青い宝石は何だ?そのジュエルシードを使ったのか?」
「いいえ、ジュエルシードに似せて作った鉱石よ。メタライトと言って輝力を吸収し蓄える事が出来る。それを加工して輝力を暴走させるようにしたのがあの青い宝石」
「………だが何故その石があんな化物に変化させられるんだ?」
「それは私にも分からないわ、やってみたらそうなったのだから。しかも作り手の命令を忠実に聞いてくれる。これは本当に使えるわ………」
「お前………!!」
「今私を殺す?その腰に付いている刀で。そうすればあなたは英雄になれわよ?」
立ち上がり刀に手を添えても物怖じしないアンネローゼ。
そんなアンネローゼを見て、そっと手を下ろした。
「殺さないの?」
「アリシアの前でそんな事出来ないからな」
「………」
流石のアリシアも食事の手を止め、俺達の事を見ていた。
特に俺を凝視している。
「悪いな、そんなつもりは無かった。許してくれ………」
頭を撫でると再び食事に集中するアリシア。
「良いの?こんなチャンス、二度と無いかもしれないわよ?」
「………それでも俺はお前を殺せない。俺は本当はお前が優しい奴だと思うからさ」
「優しい………?私が?」
「だってアリシアに向けてた顔は姉の様に優しさに満ち溢れていた。そんな奴が世界の破壊なんて出来ると思えない」
「いいえ、やるわ。今回やっと巡って来た機会なのよ。私だけこの時代に来たのはきっとこの為なの。だから………」
「違う、そんな事………」
「それはあなたには分からないわ」
「だが、お前は記憶を無くしてこの世界に迷い込んでいる俺やアリシアと同じだ。だからこそ、そんな使命の為にやって来たなんてとても思えない。頼む!!この世界にだってお前の思う人達がいるはずだ!」
「本当にそう思ってるの?私は貴方と違って待ってくれる人も居ないわ。私は魔族。この世界では生きづらいのよ………」
「だがレオ達なら………」
「もうこれ以上はお互い譲らないでしょうし、ここで話は終わりね」
そう言って残念そうに言うアンネローゼ。再びスプーンを手に取り、シチューを飲み始めた。
「アンネローゼ!!」
「………覚えておきなさい。近い内に必ず行動に移すわ。その時私は過去に行き、本当の未来を手にする」
「その為に、今隣にいるアリシアさえも犠牲にしてか?」
「………覚悟は出来てるわ」
「だったら何でアリシアのめんどうを見ていた?見捨てるなら最初からそうすれば良かったんだろ?」
「………」
その問いの答えが出ないアンネローゼ。
コイツ自身まだ迷いがあるのだ。
今ならまだ………
「アンネ」
「アリシア?」
そんな中、アンネローゼに話しかけるアリシア。全く話を聞いてなかったような気がしたが、どうやら聞いていたようだ。
「アンネは1人じゃないよ?」
「!!」
そんな言葉に驚きを隠せないアンネローゼ。
そして………
「………あんた達に何が分かるのよ!!」
そんな叫び声と共に、アリシアの頬を叩いた。
「アンネローゼ!!」
「もう2人共出てって………出てって!!」
そんなアンネローゼに無理やり追い出されたのだった………
「大丈夫かアリシア?」
「大丈夫………」
俺の前に座るアリシアに聞いてみる。
アリシアは静かにメリクルの上で俺の寄りかかって前を見ている。
叩かれたアリシアだったが、特に泣くことも無く、無表情のままだった。
「これからどうする?よければ俺の所に来るか?」
「………うんレイと一緒に行く」
アリシアは少し考えたが、しっかりと縦に頷いた。
「お母さんの墓参りも頻繁に行けなくなるけどそれでいいか?」
「構わない、それよりもレイと一緒」
「………何でこんなに懐かれてんのかな?」
そんな疑問を抱きながら俺達は城へと戻っていった………
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