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久遠の神話

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第五十九話 三人の戦いその十

「お話したんだ」
「それでだったの」
「うん、僕達四人のうちの誰かが生き残ったらいいってことでね」
「二人だったら?」
「残る一人はその場で選んで他の人は降りることになったよ」
 そう決まったというのだ。
「そしてその最後の一人がね」
「十三人目の剣士の人と」
「戦うことになったよ」
「じゃあその人になるのね」
「十三人目の人がどういった人かわからないけれど」
 だがそれでもだというのだ。
「僕は戦ってね」
「勝ってね」
「うん」
 また樹里の言葉に頷いた。
「絶対にね」
「そうしてね。それじゃあ」
 二人でこうした話をした、そしてその時。
 聡美は大阪の新国際空港にいた、そこである者と会っていた。
 背の高い男だ、白い服の彼と会ってだった。
 その彼を見上げてこう言ったのである。
「では日曜に」
「はい、日曜の十二時にですね」
「あの場所にいらして下さい」
 こう告げたのである。
「是非共」
「では」
「貴方が来てくれたなら」
 聡美は男を切実な顔で見上げている、見れば男の背は一八〇程ある。それで女性としては長身の彼女も見上げているのだ。
「有り難いです」
「お待たせしました」
「いえ、来られるのもです」
「運命ですね」
「それになりますから」
 だからいいというのだ。
「それで来られたならば」
「この一連の無益な戦いを」
「あの方は戦いを一気に進められるつもりです」
「剣士達を戦わせそのうえで」
「力を、命を出させてです」
「あの願いを果たされようとしていますか」
「他の人達を犠牲にして」
 聡美はここで俯いた。無意識のうちに男から顔を背ける形に顔をやった。
「そうされようとしています」
「この戦いは気の遠くなる程行われてきました」
「神話の頃から」
「そして力は徐々に蓄積されていきましたね」
「あの方が願われることの為の」
「間違っています」
 男は言った。
「最初からですが」
「人が神になることはあります」
 聡美はここでこうも言った。顔は正面に戻しているが今は男の顔を見上げずに語っている。
「しかしその為には」
「神に、不死の存在になるだけのですね」
「力が必要です」
「そしてそれだけの力が」
「あの方にとってはようやくです」
 集まってきているというのだ。
「それは間も無くです。ですが」
「貴女はもうですね」
「我慢できません、あの方を何とか止めて」
 そしてだというのだ。
「過ちを犯し続けてもらいたくないのです」
「そうですね。では」
「日曜の十二時に」
「八条学園の総合グラウンドに行きましょう」
「戦いを止めて下さい」
 聡美は再び顔を上げて男に言った。 
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