気まぐれな吹雪
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第一章 平凡な日常
37、いつの間にか2年生
ちーっす。
てんやわんやなんやかんややってたらいつの間にか進級してた要だぜ。
約一年前に心決めた傍観LIFEはどこへやら。
だってオレ、風紀委員なんだもん。
恭と一緒にいる限り、傍観なんてimpossibleだもん。
それにさ、いつだか銀が言ってたように、原作、なにそれ食えんの? って事態に陥ってるし。
もうこれさ、原作知識もクソ食らえじゃん。
だからね、捨てた。
紙に包んでそこら辺にポイした。
で、なんだが
「ロンシャン君、進級おめでとう!」
後ろのトマゾファミリーどうにかしてくれ。
†‡†‡†‡†‡†‡
オレのクラスは2―A。
1―Aメンバーと言うか原作メンバー勢揃い。
沢田に獄寺に武に笹川に黒川にトマゾファミリー。
て言うか黒川!
去年全く絡んでなくねぇか!?
「お前ら席につけ。出席とるぞ」
音を立てて入ってきたのは、先公……ではなくてリボ山ことチビ介。
いっつも思うんだが、何で誰も違和感に気づかねぇんだよ。
「んじゃ、早速だが、学級委員長を決めるぞ。立候補でも推薦でも、誰かいねーか?」
「はいはーい、ロンシャン君がいいです!」
「ふざけんな、ここは10代目だろ」
いきなり推薦するマングスタと、それに張り合う獄寺。
二人のバカなバトルが始まるわけで。
あー、嘆き弾見れんのかな?
じみに楽しみだったりするわけで。
「はーい、ウチは霜月さんがええと思いまーす」
「…………はい!?」
誰だ、オレの名前を出した関西人は!?
完全に油断してたじゃねぇか!
声の主を探してみると、いた。
オレの方を見てニコニコと手を振ってくるセミロングのブロンド女子。
あ・い・つ・か。
「霜月さんて風紀委員なんやろ? なら、人纏めんの得意なんとちゃう?」
「なるほどな。どうだ霜月」
「却下だ」
なにが嫌で学級委員なんかやんなきゃなんねぇんだよ。
つかそれ以前に見ず知らずの人間に推薦されたかねぇし。
つかマジでお前誰だよ。
この世界には原作メンバー以外に知り合いはいねぇぞ。
「つか、委員の掛け持ちは原則禁止だろうが。教師なら確認しておけ」
「そう怒んなって要。オレもお前が適任だと思うぜ」
「おい山本! 10代目を裏切るのか!?」
はぁ、うるさいって言うか騒がしいと言うか。
つか武にまで推薦なんてされたらどうすりゃいいんだよ。
逃げ場なんて……あった。
よし、窓だ!
「決めた。もしオレが学級委員長になったら窓から飛び降りる」
因みにここは誤解です……五階です。
「ちょっ霜月さん!?」
「文句あんならお前がなればいいだろ沢田」
そう言ったとたん、引っ込んでしまった。
ちっ、意気地無しが。
「要、マジで死んじまうぜ?」
「勘違いすんなよ。オレが飛び降りるのは、オレが選ばれたときだけだ。とどのつまり、推薦を取り消せばいい話だぜ」
「それは……」
「よっしゃ、飛び降りる」
窓の枠に手をかけて身を乗り出す。
さすがに、やっぱ五階って高いよな。
確か一階分が3㍍だから、3×5で15㍍。
すっげぇ。
「ちょい待ちぃな。自分が何しとんのかわかってるん?」
「は?」
と、何故かここで出てきたのはあの関西少女。
てか本気でこいつ誰だよ。
「悪いが、オレは有言実行タイプなんだよ。じゃあな!」
窓枠を飛び越えると、一瞬オレの体が浮いた。
フリーフォールってこんな感じなんだろうな……。
って言うか、どうやって着地しようか考えてなかった。
とりあえずテキトーにブレスを弄くる。
減速と力の分配と猫の原理とetc.
「よっこら……せっ」
スタッ
「よし、完璧」
『霜月さん! 大丈夫ですか!?』
上の方から沢田の声が降ってくる。
見上げると、クラスの連中がほとんど顔を出していた。
何て答えるか考えた挙げ句、沢田の隣に長谷川((あの女))の顔が見えたからウザいほどのドヤ顔を送ることにした。
「もし恭が来たらバックレたって言っておいてくれ」
『ちょっ霜月さん!』
『要! 忘れ物だぜ!』
武の声と共に、オレのスクールバックが落ちてくる。
どうせ中身は霜天氷龍しか入ってねぇから軽いんだけどな。
「サンキュ」
軽く手をあげると、オレは家へと帰った。
後ほど、メールでロンシャンが学級委員長になったことを知らされた。
家に襲撃に来た恭によってこってり絞られたのは言うまでもなく。
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