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ハイスクールD×D―魔法使いのキセキ―

作者:Nation
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月光校庭のエクスカリバー
  第32話

 
前書き
二週間以内に間に合ってよかったです。
今話から本格的に三章開始します。

是非見ていってください。 

 
 私は誰にも愛されてない

 親に愛されていない

 望まれて生まれたわけじゃないから

 友達に愛されていない

 姿が皆と違っているから

 誰も助けてくれなかった

 でも、神様には祈ったことが無い

 どれだけ祈ったって伝わらないことを知ってる

 ―――神様は居ないのだから祈りは届かない


 ◇◆◇


 今日のオカルト研究部の活動は兵藤宅で行っている。
 理由は旧校舎の掃除、表向きは業者が、本当は部長たちの使い魔がしている。
 そのため旧校舎が使えないので、場所を変更して兵藤宅で会議をしている。
 しているはずだったのだが
「こっちは小学校の時の写真よ!」
「あらあら、全裸で海に向かってますわね」
「母さんも見せるな!朱乃さんも見ないで!」
 イッセーの母さんが持ってきたアルバムでそれどころじゃ無くなった。
 いの一番に食いついた部長を皮切りに他のメンバーが乗り、アルバム鑑賞会に変わってしまった。
「・・・イッセー先輩の赤裸々な過去」
「うわぁぁぁぁぁ!!」
 母親からの精神攻撃に大ダメージを受けているイッセーだが、さりげなく俺にもダメージがある。
 イッセーのアルバムだが、付き合いの長い俺も一緒に写っている写真も有るので恥ずかしい。
「僕たち朔夜君の家に住まわしてもらってるけどこういうの見せてもらったことないからね」
「・・・朔夜先輩を探せ」
 この二人もノリノリで見てくる。小猫にいたっては俺を見つけ出すゲームをしている。
「自分の昔の写真なんて見せたくない」
「みんなで見ると面白いと思うけどね」
「・・・あんな状態になってる人物がいるが?」
 俺の目線の先にはアルバムを見つめている部長が居る。
「・・・小さいイッセー小さいイッセー小さいイッセー」
 とさっきから目を輝かせながら呟いている。
 もしあの目の先に本当のショタイッセーがいたなら誘拐しているだろう。
「部長さんの気持ち、わかります!」
「アーシア!あなたにもわかるのね!」
 危ないのがもう一人、部長と手を取り合って共感していた。
「イッセーが高校生でよかった。でないとあの二人に攫われてる」
「アハハ」
 祐斗は苦笑しながらアルバムに目を落とす。見なかったことにしたか。
「木場ぁぁ!お前は見るなぁぁ!!」
 イッセーが祐斗からアルバムを奪おうと飛びかかった。
「いいじゃないか。もう少しイッセー君のアルバムで楽しませてよ。朔夜君も見つけたいし」
 お前もゲームに興じていたのか。
 だがアイツが見ているのはイッセーの幼稚園時代のアルバムだ。俺がいる写真は見つからないだろう。
 必死に取り返そうとしているが素のスペックでも技術でも劣っているイッセーが祐斗から奪うことが出来ず、ライバル心を燃やしている。
 いつもの笑みを浮かべ見ていた祐斗だが、あるページで表情が変わった。
 想定外の、有りえないものを見る目だ。
「どうした、祐斗?」
 俺とイッセーは祐斗が食い入るように見ている写真を見る。
 幼少期のイッセーともう一人、同い年くらいの子供が一緒に移っており、二人の後ろには剣が飾られていた。
「イッセー君、これに見覚えは?」
 そうして指さすのは飾られている剣だ。
「いや子供のころだし、男の子の事は憶えてるが飾りの事までは」
「まさかこんなところで見ることになるなんて・・・」
 そう呟く祐斗の目は憎悪に染まっている。
「これは聖剣だよ」
 これが今回の出来事の始まりだった。


 ◇◆◇


 カキィーン!
 もうすぐ夕焼けに染まるであろう晴天の空に金属音と共に白いボールが打ち上がる。
「オーライオーライ」
 パシッ!
 その白いボールを掛け声と上げグローブで受け止めるイッセーの姿が見える。
「ナイスキャッチよ、イッセー」
 金属バットを握る部長が笑顔で声をかけている。
 現在俺たちオカルト研究部の面々は旧校舎裏の少し開けた場所にて野球をしている。
 別にオカルト研究部から野球部に変わったわけじゃない。突如スポ魂に目覚めた部長が言い出しても違和感がないが。
 理由は近々行われる駒王学園の行事の一つ『球技大会』の為だ。
 名前の通り様々な球技を行うイベントであり、クラス対抗や学年別、男女別などがある。
 その中に部活対抗戦があり、そのための練習だ。
 ライザー戦以降、負けず嫌いに拍車が懸かった部長がこの手のイベントを見逃すはずがない。
 ただ部活対抗で行われる競技が野球と決まっているわけじゃない。
 競技は当日発表されることになっている。
 そのため俺たちはめぼしい球技を片っ端から練習しているのだ。
 おかげで最近は夜になるまで運動部の如くこの場所で練習をしている。
「さすがね、小猫。野球なら四番はあなたよ」
「・・・了解です」
 見た目からは想像できないが、部一番の怪力の持ち主だ。当然と言える。
 現にこのバッティング練習で森に消えたボールは数知れず。
 ちなみに俺はピッチャーに抜擢されており壁相手に投球練習中だ。
「ナイスバッティング」
「・・・ありがとうございます」
「まぁ野球になるかは正直微妙だが」
「・・・どうしてですか?」
「両チームの人数がほぼ均等であるクラス対抗とかならあり得るが、バラバラな部活対抗じゃ選ばれにくいと思ってる」
「・・・そのための生徒会からのリサーバーなのでは?」
「そうだが。基本人数があまりにも多いと両チームの半分がリザーバーなんてことになる」
 部員の少ないカルタ研究部と情報処理部が野球をしたら半分以上がリザーバーになる。
 それにリザーバーの人数にも限りがあるし、下手をするとリザーバーがフル回転しかねない。
「そうならないようにするために基本人数が少ない競技か、ある程度人数の上限を変えれる競技が選ばれると思う。
 前者だとバスケやバレー、後者だとサッカーやドッチボールが有力だ。」
「・・・テニスや卓球は?」
「そっちは人数が少なすぎる。やるなら一ゲームごとにメンバーチェンジって事になると思う」
 やるのは部活対抗だけじゃないから、練習するのもいいだろう。
 俺を除き悪魔であるオカルト研究部が身体能力で劣るわけが無いので負ける確率は低いのだが
「いくわよ、アーシア」
 カキィーン!
「あぅあぅ・・・あっ!」
 コロコロ。
 アーシアに向かったゴロはアーシアの股下を抜け、すなわちトンネルして後方へ転がっていった。
 運動神経の低いアーシアみたいに身体能力を活かせなければ負けてしまう。
 その点も大丈夫だとは思うが戦闘とスポーツじゃ技術的に違ってくる。
 小猫のスペックでテニスを力いっぱいやればアウトの連続だろう。
 その辺を調整する意味でもこの練習は活きると思う。
 まぁゴチャゴチャ考えているが部長の指示に従うだけか。
 むしろ問題は
 カキィーン!
 コン!
 「・・・」
 祐斗だろう。
 部長が打ったボールは棒立ち状態で俯いていた祐斗の頭に直撃した。
 普段の祐斗なら問題なく取れるボール。取れないにしてもただ頭に当たるなんてことは有りえない。
「おい木場。シャキッとしろ!」
 イッセーの声で気が付いたようだ。
「・・・あ、すみません」
 謝罪を入れてボールを拾い投げるが、機械的だ。
「どうしたの、祐斗?ぼけっとして、あなたらしくないわよ」
「すみません」
 最近の祐斗はずっとあんな感じだ。
 より正確に言うのなら、イッセーの家でアルバムを見た後から何かを考え込んでいる状態である。
 家でも、学校でも、悪魔の活動でも普段の祐斗の面影が無い。
 一時的なモノですぐにいつも通りになると思っていたが何かしら考えた方がいいかもしれない。
 友人であり仲間だ。心配になる。
 祐斗はあのアルバムに移っていた剣が『聖剣』だと言って、憎悪を浮かべていたから聖剣が関係ありそうだ。
 直接聞くのがいいんだろうが、話してくれるか分からないし、今度誰かに聞いてみるかしてみよう。 
 

 
後書き
全話の修正も済んだので次からはこれまで通り、一週間以内の更新をします。
正直字下げについては多機能フォームを使えば一瞬で終わったのでこの機能に早く気付けばよかったと悔やんでます。

修正した設定の説明を少し。

『法力』
人間の持つ魔法の動力。
魔力のようにイメージで変換と言ったことはできない。
悪魔に転生するときは法力は魔力に変わる。
人間の魔法に対する動力だが必ず持っているわけではない。
(裏設定として人間時のイッセーは法力を持っていないというのがある。使う予定は全くないですが)

大体こんな感じです。
質問があれば感想などで聞いてくだされば答えれる範囲で答えます。

本分の感想もお待ちしております。

ここまで読んでいただきありがとうございました。 
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