万華鏡
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第四十六話 ゆるキャラリレーその九
その場にいて部員達の健闘を称える拍手を受ける、そして顧問の先生も来て皆に言った。
「皆よくやったわね」
「いえ、私は」
「だから、あんたはそこで謙遜しないよ」
先生も部長にこう言うのだった。
「全く、普段は態度が大きいのに変なところで恥ずかしがりなんだから」
「ですから褒められたりとかは」
「尊敬されたりとかも?」
「そういうの苦手なんです」
部長は先生にも気恥かしそうな態度で言う。
「パフォーマンスとかは得意でも」
「やれやれね、けれどね」
先生はそんな部長にまずは呆れた声を告げた、しかしそれだけではなく。
その小さな背中に横から手を回してぽんと押してだ、こう告げた。
「ちゃんとしたことにはね」
「拍手があってもですか」
「いいのよ、こうした時は恥ずかしがる必要はないのよ」
「そうなんですか」
「それよりもよ」
先生は部長にさらに言う、今度言うことはというと。
「あんたの場合は悪目立ちを狙うことがね」
「駄目っていうんですね」
「駄目とは言わないけれどそっちの方が恥ずかしいでしょ」
先生が今部長に言うのはこのことだった。
「演奏の時壮絶な格好する方が」
「そうでしょうか」
「そうよ、去年の文化祭の時だって」
その文化系の部の最重要イベントにおいてもだというのだ。
「あんたスクール水着で演奏しようとか言ったじゃない」
「奇をてらってと思いまして」
「そっちの方が恥ずかしいでしょ」
「そうまでしないと目立てないですよ」
バンドも何でもまずは注目されてからだ、部長はこのことに主眼を置いてそのうえで先生に答えたのである。
「徹底的にしないと」
「そこまですることはないから」
「じゃあヘビメタですか」
「そうしなさい。とにかくあんた達今回はよくやったわ」
先生はあらためて部員達に言った。
「ゆるキャラになってね、じゃあ後はね」
「はい、これ脱いでですね」
「それぞれのクラスに戻るんですね」
「そうしなさい、お疲れさん」
優しい笑顔での言葉だった、その言葉を受けて。
琴乃達はゆるキャラから本来の姿になってそれぞれのクラスに戻った、そしてそれぞれの運動会を楽しむのだった。
第四十六話 完
2013・8・12
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