とある星の力を使いし者
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第118話
麻生の部屋から出た上条達は、街をぶらぶら歩いていた。
上条は大きくため息を吐く。
(くそ、麻生を誘う事ができなかった。)
なぜ、上条が麻生を誘えなくて意気消沈しているのには、ちゃんと理由がある。
それが。
「ねぇねぇ、とうま。
あっちに美味しそうなお店があるよ!」
彼女、インデックスのお守りを一人でしないといけないという事だ。
麻生が居れば、上条がかかる苦労は半減とまではいかなくても、少しはましになる筈だ。
加えて、彼女は先程麻生の朝ごはんを食べたのに、もう別の料理に目を奪われている。
それを見た、上条はまた大きなため息を吐く。
「とうま、どうしたの?
何だか元気がないよ。」
「いや、これからの事を考えるとな・・・・」
「?」
上条の言葉の意味が分からないのか、インデックスは首を傾げる。
上条は当たり前だが、イタリア語なんて話せる訳がない。
なので、インデックスだけがイタリア語を話す事ができるので、彼女が居なければ上条はまさにどうする事もできない。
ちなみに、上条達が最初にこのキオッジアに来た時、ほんの少しインデックスから眼を離した瞬間、インデックスは何処に消えてしまった。
さっきも言ったが、上条はイタリア語など話す事も理解する事もできない。
近くの人にインデックスの事を聞く事もできない。
幸いにも、オルソラとたまたま出会ったので、何とか乗り切る事ができた。
しかし、そんな不幸中の幸いとも言える出来事が二度起きる訳がない。
(とりあえず、観光するにはインデックスの力が必要だ。
何としても手綱を握らないとな。)
よし、と意気込み、傍にいるであろうインデックスに視線を向ける。
だが、傍にいるであろうインデックスの姿どこにも見えなかった。
「またイタリア式迷子かよ!
というか、またこの状況かよ!!」
両手で頭を抱えながら、上条は叫ぶ。
通行人は上条の事を、凄く怪しい人物でも見るかのような視線を向ける。
だが、上条はそんな視線を気にする暇もない。
(どうする・・・インデックスが居なかったら観光もクソもないぞ!)
インデックスを放って行く訳にもいかない。
主に問題事を起こしてしまいそうで放っておけないという意味で。
(そう遠くに行ってないはずだろ。
手当たり次第に探していくしかねえな。)
そうと決まれば行動する。
飲食店などを片っ端から見て回れば、インデックスはいる筈だ。
その時だった。
上条の後ろから誰かがぶつかる。
「何だ?」
後ろを見るとそこには子供が立っていた。
歳は大体、十二歳程度だろう。
髪色は金髪で、整った顔立ちをした女の子だ。
服装は、白のTシャツに青の半ズボンのジーパンだ。
その子はイタリア語で何かを言っている。
何度も言うが、上条はイタリア語はさっぱりだ。
ぶつかった事を誤っているのだろうと、勝手に考えた上条は身振り手振りで気にするな、と伝える。
それが伝わったのか、最後に何か言って人混みの中を走って行く。
さぁ、気を取り直してインデックスの捜索をしようと考えた時だった。
ふと、後ろポケットに何か違和感を感じた。
上条は恐る恐る手を後ろに回し、ポケットを確認する。
そこにはなかった。
後ろに入れていた筈であろう、財布がどこにもなかった。
上条の顔は一気に真っ青になっていく。
キオッジアに来る前は、財布にはチェーンをかけ、ズボンの内側には予備の財布を用意していた。
しかし、オルソラにそれは自分の事を観光客である事を周囲に教えているようなもの、だと言っていた。
それを今朝思い出した上条は、普段通りの格好に変えたのだが、それが完全に裏目に出た。
チェーンをしていれば、盗まれることはなかった筈だ。
(盗られたとなると、一番の可能性はさっきの子供!
まだ、近くにいる筈だ。)
眼を皿にして、周囲を見渡す。
その時、視界の端でさっきの子供の影らしきものが見えた。
上条は人混みをかき分けながらそこへ向かう。
ちょうど、その影は路地裏に入ろうとしている所だった。
「てめぇ、待ちやがれ!!」
此処の地理は全く分からない上条にとって、路地裏などに逃げられ、見失えばその時点で追い駆ける事は不可能に近くなる。
だからこそ、上条は見失う前に取り押さえようと、全力疾走して追いかける。
「ッ!?」
上条の言葉が聞こえたのか、驚きながらも路地裏に入って行く。
その後を上条は追いかける。
「俺の財布を返しやがれ!」
言葉は通じないだろうが、そう叫ばずにはいられなかった。
子供にしては中々足は速い方であったが、常日頃追いかけっこしている上条の方が速い。
それは子供の方も分かっているのか、すぐ側の横道に入る。
足が駄目なら、入り組んだ道で撒くつもりなのだろう。
しかし、上条はその入り組んだ道で逃げるのにも慣れている。
何より、体力的な差もあり徐々に追い詰めていく。
その時だった。
突然、子供は後ろに振り返ると追いかけてくる上条に向かって走り出す。
「なっ!?」
慌てて足を止めようとする。
子供は勢いを止めようとせず、上条の腹に向かってタックルを入れる。
「ぐふぇ!!」
そのまま後ろに倒れる上条。
子供は慌てて立ち上がり、来た道を逆走する。
咳き込みながらも上条も立ち上がり、追いかけっこが再開される。
強烈な日差しの下、麻生はキオッジアの街を散歩していた。
綺麗な街並みなどを堪能しながら、街を歩いている時だった。
「とうま~~どこに行ったの~~~」
物凄く聞き覚えのある声が聞こえた。
麻生は周りを確認するまでもなく、その場を離れようとしようとした。
だが。
「あっ、きょうすけだ。」
インデックスの魔の手から逃れる事ができなかった。
観念したのか、散歩を始めて一〇分で疲れたため息を吐く。
「それで今度はどうしたんだ?」
振り返り、傍にいたインデックスに話しかける。
「えっとね、私がちょっと美味しそうなご飯が見えたから、それを見に行ったらとうまが迷子になったの。」
「うん、それはお前が迷子になったんだよ。」
その話を聞いて、麻生はすぐにツッコミを入れた。
「えっ!?
そうなの!?」
「今頃気がついたのかよ。
誰が聞いても、お前が迷子になったんだって思うぞ。」
そこで麻生は上条が自分を連れて行こうとしたわけに気がつく。
(あいつ、インデックスのお守りを俺にさせるつもりだったみたいだな。
結局、面倒を見るはめになったが。)
もうこのパターンには慣れたのか、もう一度ため息を吐いて、インデックスに話をする。
「それで、どこではぐれたんだ?」
「一緒に探してくれるの?」
「探さないとお前、うるさいだろ。
当麻を見つけたら、あいつにお前を押し付けて俺はどこかへ行くが、それまでは一緒に探してやるよ。」
「む、私をお荷物みたいな言い方は止めてほしいかも。」
(この状況を見た限りそうだろ。)
「何か言った?」
「何も。
それじゃあ、適当に街を見て回るか。」
何か言いたそうなインデックスを無視して、麻生は街を歩いていく。
納得のいかない表情をしながら、インデックスも後ろについてくる。
適当に歩きながら、上条を探すが影すら見つからない。
「もしかして、とうま。
何か不幸な出来事に巻き込まれているんじゃあ。」
「あながちそうかもしれないな。
そうだとすると、余計に見つけるのが嫌になってきたんだが。」
そんな事を話し合っている時だった。
突然、路地裏から影が飛び出してきた。
その影と麻生はぶつかり合う。
ぶつかった影の方は麻生にぶつかって転んでしまう。
それは十二歳くらいの女の子だった。
手には財布を持っている。
「す、すみません!」
それだけ言って、女の子は走り去っていく。
麻生は気にせず、歩き始めようとした時、さっきの路地裏から大きな影が飛び出してくる。
その影は上条当麻だった。
「あっ、とうまだ。」
インデックスの声に上条が反応する。
二人を見た上条は驚きの表情をしながら言う。
「どうしてお前達が此処にいるんだ!?」
(あ~、何か嫌な予感がするぞ。)
そんな事を感じてしまう麻生だった。
後書き
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