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フェアリーテイルの終わり方

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一幕 檻に自ら帰ったウサギ
  1幕

 
前書き
 彼女は 妖精 を見つけた 

 
 ローエンはレイアと一緒にヘリオボーグ研究所の管制塔にいた。

 ガイアスとお忍び旅でエレンピオスのドヴォールを訪なったところ、また世界規模の騒動のニオイがしたので同行した。

 その先のヘリオボーグ研究所でアルクノアのテロが起きて、ローエンとレイアはセキュリティシステム復旧のために管制塔を奪還した。

 そしていざ。ローエンがシステム復旧のためにコンピュータをいじっていた時に、彼は妙なことに気づいてしまった。

「ねえローエン、この〈BLANK/KEEP OUT〉って部分、何かな」
「レイアさんも気づかれましたか。他のエリアにはドラッグすれば説明文が出るのに、このスペースだけデッドゾーン扱いで、何のデータもなし」
「怪しいっぽい?」
「ぽいですねえ」

 デッドゾーンとはいえ敷地内ならばセキュリティの範囲のはずなのに、いくら操作してもそのためのコマンドが出て来ない。用途、あるいは保管品の具体的な説明もない。不気味なほどタイトル通りの空白地帯。

「もしここにも人がいたとしてテロに巻き込まれてたりなんかしたら……」
「セキュリティがない以上、被害は必至でしょう」

 答えればレイアが不安になると分かっていて、ローエンは答えた。知った上で判断を委ねるのも、若者の成長を促すためには大切なことだ。

「――。とりあえず、ジュードたちと合流しよ。それからバランさんにココに行っていいかちゃんと聞いて、みんなで行ったほうがいいと思う」
「それがいいですね。では、我々もジュードさんを追いましょう」

 現時点ではほぼ100点の回答に内心嬉しがりながら、ローエンはレイアと管制塔を出た。





 果たして例の〈空白地帯〉で、ジュードらと合流したレイアが遭遇したのは、異様な光景だった。

 空白地帯は、植物園に似た内観の施設だった。エレンピオスなのに多種の観葉植物。床は白いタイルで、時おり古びたテーブルやイスがある。枯れた観葉植物と埃のニオイと血臭が混じり合った空気で、胸が悪くなる。

 何より異様なのは、人工的な庭園の中で、眠っている少女。
 少女を囲んで倒れるテロリストの死体。

 童話から抜け出たような子だ、とレイアは月並みな感想を抱いた。
 雪の色をしたベリーロングヘアが少女の顔までも覆い尽くし、マネキンじみた手足がその上に横たわっている。服装も白いブレザーだからか、今にもタイルの白に沈み落ちそうだ。

 ジュードが真っ先に少女の傍らにしゃがみ、障りない範囲で触診してから、外に運ぼうと言った。
 少女を運ぶ役を買って出たのはルドガーだ。ルドガーは少女を横抱きにした。それでも色のない髪が地面を擦るのだから、まるで花嫁衣裳のベールだ。

「彼女は何故このような場所にいたのでしょう」
「ローエンもやっぱり変だと思う?」

 ヘリオボーグ研究所に入れるのは職員(ジュードやバラン)と、入場許可証を持った人間(エリーゼ含む親善使節など)だけだ。職員の家族でさえおいそれとは踏み込めない。
 そんなヘリオボーグ研究所に、一介の女学生が、しかも最深部にいたなど、変事でなくて何だと言うのか。

「レイアさんもお気づきになりましたか」
「……ココって、最初は植物園みたいだって感じたけど、今はでっかい鳥籠みたいだなって。エレンピオスで産業植物を育てる場所。わたしもこっちに住んで初めて見たけど。何ていうか、人工的で効率的で」
「功利的、ですか」

 レイアは肯き、ローエンと共に施設を見上げた。
 
 

 
後書き
 ちょいと遅れてC4/5から参加のオリ主です。発見者はレイアさん。彼女、こういうことに目が利く人だと思うんです。
 そしてそんなレイアの才覚が先生みたいな感じで嬉しいローエン爺ちゃん。なんだかんだいいコンビだと思います。 
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