「狂愛」
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「敦」
「昴!今日、飲みに行こか?」
あどけない少年のような口ぶりで呼びかけるのは、親友であり我が社の代表取締役である敦だ。
少し刈り上げた短髪にお洒落に揃えた髭。
ベージュのタイトなスーツを軽く着こなし、いつも微かなミントの香りをさせている。
敦と出会って、もう8年になる。
本当に衝撃的な出会いだった。
中学時代からどちらかというと不良と呼ばれる立場にいた僕は、高校も中退し、右も左も分からず世の中に唾を吐くような生活を送っていた。
そんなおり、たまたま母親から求人誌を渡された。
そこには、経験不問・月給40万の文字!僕は迷わず面接に行くことにした!
当日会場に行ってみると、当然のことながら凄い人数の応募者が集まっていた。
そろそろ僕の順番だと思っていたその時であった!
凄い勢いで扉が開き、一人の男が言い放った!
「ここにいる人間で、稼ぎたい奴いるか??」
「俺に付いて来れば、この会社なんかよりもっと稼げるで!」
当然、誰も相手にしていなかった。
というより呆気にとられていた。
しかし、なぜか僕にはヒーローに見えた。
こいつに付いていけば何かが変わるのでは・・・、そう感じた僕はいつの間にか通り過ぎようとする男の腕を掴んでいた。
これが敦との出会いであった。
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