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魔法少女リリカルなのは~その者の行く末は…………~

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  volume-2 Hayate Yagami

 
前書き



八神はやて。


 

 



あれ? どうしたの? 私に用でもあるのかな?
えっ…………も、もう一回言ってくれる? 今、なんて言ったの?


絶対にいやっ! 恥ずかしくて言えないもん。燐夜君が好きって分かったときの話なんて聞いて何が楽しいの? 恥ずかしいから絶対に嫌。なのはは、言ったの?
えっ、教えてくれた? 本当にっ!? 嘘……
ううっ……絶対に言えないよう……でも、君たちは、教えてくれないと引き下がらないよね? うーん、どうしよう。


じゃあさ、こうしよう。
はやてにもその話を聞いてこれたらいいよ。でも、簡単に教えてくれるとは思わないかな。だって、はやてって、私たちの中でも一番、思い出を大切にする人だからね。
……やっぱり、子供の頃の影響なのかな。えっ? その話を聞きたい? それは厳しいかな。だって、はやての心の一番深い所にあるものだし。


……しょうがないなあ。仕方がないから、私が聞いてみるよ。それで、はやてがいいよっていったら教えてあげる。でも、ダメって言ったら、はやて自身から聞き出してね。


――――うん、分かった。ありがとう。
やっぱり駄目だって。しょうがないかな。……どうしても、知りたいの? うーん……じゃあ、ちょっとだけだよ。


君は、闇の書事件って知ってる? そうそう、何回も転生を繰り返して、大きな被害を与えたロストロギアによっておこされた事件。はやてはね、闇の書――――本当の名前は、夜天の書っていうの。
夜天の書にはね、騎士プログラムっていうのがあって、その騎士が、シグナム、ヴィータ、シャマル、ザフィーラの四人。ウォルケンリッターって言ってたかな。
そうだよ。私とシグナムは、最初は敵だったよ。今じゃあ信じられないって? そうかな。
昔は昔だし、今は今。昔は敵同士だったけど、今はそんなことはないからいいんじゃないかな?


後は……あ、あと一つだけ。あのウォルケンリッターを束ねる存在がいたことって知ってるかな? やっぱり、知らなかった。特別に教えてあげるよ。
その存在はね、消えたわけでもないからね。ただ、君が会うことがないだけだよ。今もどこかで、過去の罪を償うために働いてるんじゃないかな? うん、君たちと同じ管理局員だよ。確か、昔だったけど一等空士だったかな? 今はもうずっと会ってないから分かんないや。


あれ? そういえば、君は燐夜君にもあったことがないよね? どこで知ったの? 燐夜君のこと。
……はぁ。やっぱり、なのはから。まあ、別にいいけどね。
ん? 燐夜君とのこと?


ふふっ、その手には引っかからないよ。別なことを話させて、油断したところで本題を切り出してっていうのには引っかからないからね。もう、はやてに何回もやられたんだから。
私がその話をしてあげるのは、君がはやてから同じ話を聞いてこれたら。それが条件だよ。
――――うん、頑張ってね。じゃあ、またね。


      ◯


おー? どうしたんや? 何、私と燐夜君とのエピソードが聞きたい?
えー、どうしようかなー。聞かれる内容次第やな。どんな話が聞きたいん? えっ……?
ごめんごめん、もう一回言ってくれるか? 


燐夜君が好きになったと分かったときの話っ!? うーん、どないしよ。別に話してもいいんやけど……改めて誰かに話すとなると、恥ずかしいなあ……
なのはちゃんやフェイトちゃんには聞いたの? ふーん、なのはちゃんは話してくれたけど、フェイトちゃんは話してくれなかったと。
ん? フェイトちゃんは、私が君に話したらフェイトちゃんが話すって? どうして、そんな楽しいことを先に言わないんや。ええで、話してあげる。


でも、絶対笑わないって約束してや。絶対やで、絶対。……怪しいなあ。絶対笑われそうで怖なってきた。言うで。
実は、私が燐夜君を好きになった理由はな……ひ、一目惚れやったんや。
むうっ……やっぱり笑った。ええよ、もう言わないから。……ほんまに聞きたいん? おおっ……そこまで迫力持って迫られると流石の私でもひくわー……まあ、燐夜君やったら別なんやけどな。


ああ、懐かしいなあ。もう昔のことなんやよなあ。つい昨日のことのように思い出せるわ。あ、もう一つあったで、伝えなきゃいけへんこと。
もう今更みたいだから言うけどな? 私と燐夜君ってお見合いで知り合ったんや。――――って、そんなに大声を出して驚くことか―!? こんなに近いのに大声出されたら耳が痛くなるやろっ。キーンってするわ。


落ち着いたか? 全く、ようやく本題に切り出せる。
そんなに言うんだから特別に教えてあげるんやからな? 勘違いしないでよ? まあ、あんたみたいな人より、燐夜君の方が数倍もカッコいいからな。
――――話を逸らすとこやった。燐夜君が好きになったときやったか? 確かあれは、夏も終わりを迎えようとしてた頃やったなあ――――。


      ◯


あるホテルの広い部屋に通されたんや。あの時は、まさか自分がお見合いをするなんて思いもしなかったしな、いつの間にか相手、燐夜君の親と自分の親がそんなことを話し合っていたんや。
そのころは、まだ私も車いすでな、シグナムに押してもらってきたんよ。流石に血縁者でもないシグナムを同席させるのはどうなんやろうって思って、退席してもらったんや。お見合いなんてってまだ思ってなあ。まだ9歳で少し前まで一人やったのに、いきなりお見合いして結婚なんてなぁてな、曖昧やったし。


それに9歳って日本の……私たちが住んどった星の日本て言う国はな、女の子は16歳まで結婚できないんや。あと7年って結構長いんやで。
まあいろいろなことを考えながら待っとったんだけどな、なかなか相手が来ないんよ。約束の時間はもう過ぎて私もすっぽかさられたとかちょこっと傷つきながら席から立って少し歩いたところでようやく相手側の扉が開いたんや。


こっちは待たされた方やから文句の一つでも言おうとしたんやけど、その遅れてきた相手を見てそんな言葉はな、喉のすぐそこまで来とった言葉が一気に引っ込んだんや。その相手が燐夜君なんやけど。
ザフィーラの銀髪で特に珍しく感じなかったんやけど、その子から感じさせる雰囲気がな、うーん、よく説明できないんやけど、とにかく私はその雰囲気に惹かれていった。


私より3歳年上で敬語使わなあかんかなとか思ったけど、全然そんなことなかったし。知ってるか? 燐夜君ってとっても聞き上手なんやで。私が何か話し続けているうちに色々なこと話してしもうたわ。流石に夜天の書、その当時は闇の書やね。そのことに関連することは言わなかったけど、4歳くらいの時に死んでしもうた両親のこととか話してしまったんよ。


さすがに私も話してて何言ってるんだろうとか思ったね。どうして初対面の人にこんなことを言ってんやろってな。不思議に思ったさ。思ってるのに、やめられなかった。それでな、話してるうちに涙が止まらなくなってきたんや。


やっぱり、私は無理してたんだって、その時にようやく認識した。認識した途端に涙が止まらなくなったんや。何とかしようと拭ってみたりするけど無駄で、溢れ出た涙が頬を伝ってポタポタ下に落ちていくんよ。
そんな時やった。対面に座っていた燐夜君がいきなり立ち上がって私の方に来たんや。あまりにも突然のことやったから私は、ただそれを涙が止まらない顔を上げてみていたな。そして、私に抱きついてきてこう言ったんや。


「泣きたいのなら、泣けばいい。こんな俺の胸でもよければ貸してやる。今まで我慢してきたんだろ? だったら、もう泣いてるんだから我慢する必要なんてない」


燐夜君のその言葉は、私にとってとっても心の温かくなる言葉で。両親を失ってからようやく実感できた人のぬくもりってものを私は感じた。
自然とそばにいる燐夜君の方に向いてた。抱きしめられていると認識した瞬間、私は燐夜君を抱きしめてわんわん泣いたんやで。
そして私は思うんや。


――――この人となら、一緒にいてもいいかもしれない――――


理性なんてなく、合理的でもなく、ただ本能的にそう思った……。


      ◯


こんなところやね。全然面白味もないちょこっと特殊だけど、普通の話や。えっ? うーん、そうなんやろうね。私って意外に純粋なのかもしれへんな。まあ、さすがに9歳で燐夜君と一緒にいたいっていうのはませすぎやね。でもなあ、周りが周りだったからそれもしょーがないのかもしれへんよ。えっ? なんでって……幼いころに両親を亡くして一人で一軒家に住んどったら、精神年齢的に高くなるもんやろ。


やっぱり、こういう思い出っていいモノやね。思い出すたびに心が温かくなってくるよ。……そういえば、こうして燐夜君を思い続けて何年も過ぎるけど、燐夜君は誰かと結婚する気があるんやろか。――――いや、ないな。だって燐夜君やし。
あ、でも誰が一番近いっていったら、やっぱりなのはちゃんやね。幼馴染やし。幼いころからずっと一緒にいるって羨ましいなあ。あーあ、私が燐夜君の隣にいられたらいいのになぁー。


――パァン!


よし、私の話はおしまいっ。こんなもんでいいやろ? もっと聞きたいって言ったら金取るからな。だからもう言わんでおいてや。周りの人に言いふらしたりしたら、なのはちゃんに頼んで君たちの訓練を一段階厳しくしてあげるからな? ええか?
それはさておき、いよいよフェイトちゃんや。心の準備はいいか? フェイトちゃんはああいう性格をしてるけどな、かなりヘビーな人生を歩んできてるんや。きっと燐夜君を好きだと知ったときは最も暗いときに違いないでっ。


うー……そんなこと言っちゃうと気が重くなるわー。誰が他の人の惚気話とか聞きたいと思う? 正直、なのはちゃんでお腹いっぱいやわ。あれ? 知らんかったの? いいで、教えてあげる。


実はなのはちゃん、ああ見えてかなり燐夜君のことが好きなんよ。大好きって言っても過言ではないね。一日、燐夜君に会えないとすっかり落ち込んでしまうし、少しでも会えたら、何でもないよって言ってるけど、顔がニヤニヤしてるから隠しきれてないんだよねぇ……
だからか、もう何年も会ってないから表向きは何にも変わらないと思うように見えるんやけど、内心もう燐夜君のことでいっぱいやないかなあ。


まあ、こんなところで話してても変わらへんね。さて、フェイトちゃんのところにいこか!


 
 

 
後書き


関西弁、難しい。いや、はやてだから似非関西弁か? どちらにせよ難しい。
関西圏の方、たとえ間違っていても、使い方が可笑しくても、温かく見守っていただければありがたいです。

それと本編の方は忙しくて時間がなく間に合わなかったので致し方がなくこちらの閑話的なものを投下。本編を楽しみにされている方には申し訳ないです…… 
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