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気まぐれな吹雪

作者:パッセロ
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第一章 平凡な日常
  13、原作? 何それ食えんの?

場所は並盛山。

あいつはそう言ってた。

もし原作が変わるのなら、しかとこの目で見届ける。

だって見逃したら勿体ないしつまんねぇじゃん?

ていうか、

「寝坊したぁぁぁあああ!!!」



†‡†‡†‡†‡†‡



遅かった。

既に戦闘は始まっているらしく、上の方からドンパチ聞こえる。

畜生ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!

走りながらブレスを操作して、オレの気配を完全に消しきる。

ダッシュ開始から約5分。

ようやく爆発が見え始め、沢田の姿も見つけた。

気配は消えているはずだから、よく見える場所(何故か沢田のすぐそば)の木にもたれ掛かって戦闘を見ることに。

オレが見ることは3つ。

1つは戦闘力。

獄寺に戦いを挑まれてそれを受けるほど、と言うよりオレが身に感じて、並大抵ではないことは分かっている。

けれど、実際それがどのくらいなのか、見極める必要がある。

1つは武器。

今オレは、銀に頼んでオレ専用の武器を作ってもらおうと思っている。

あくまでも護身用のつもりだけどな。

そんで、あいつとかぶったら嫌だから、この機会にでも確認しておく。

1つは戦闘スタイル。

これも何割かはさっきと同じ理由。

他に言っておくと、この間のようなことが起こった場合(何がなんでも回避するが)、その攻撃を見切るためだ。

で、わかったこと。

やつの武器は、槍。

片手で扱い高めに構えるその姿は、まるで舞いを思わせる。

その槍術によって生み出された風は、獄寺のボムを的確に防ぐ。

無駄な動きは一切ない。

が、どっかで見たことのある戦闘スタイルなんだよなぁ……。

「獄寺ぁ、頑張れよー」

持ってきていたイチゴ牛乳を啜りながら、思わずぼやく。

正直言って、獄寺に勝ってほしい。

長谷川負けろ。

その時、一瞬だが長谷川の集中が逸れた。

そんなチャンスを見逃す獄寺じゃない。

たった一瞬だが、勝利を手にするのには申し分ない一瞬。

獄寺のボムが、長谷川の武器を吹き飛ばした。

「やったぜ!」

獄寺が勝鬨をあげる。

沢田とリボーンもそこへ駆けていった。

オレは、あいつに近づきたくないのと、獄寺の右腕確定は見えていたから、並盛山をあとにした。



†‡†‡†‡†‡†‡



「10代目、やりました!」

「すごいよ獄寺君!」

「さすがですね獄寺さん、いえ、隼人。私では敵わないようです」

「そんなことありません! やちるさんは本当にお強い方です。あの一瞬がなければオレは……。一体どこを見ていらしたんですか?」

「いえ、別に。さて、約束ですね。私に勝ったのですから、隼人が右腕であると認めましょう」

「ありがとうございます!!」

やちるは微笑み、獄寺は深く頭を下げ、ツナはほっとした様子でそれを見ていた。

リボーンはと言うと、もちろん

(有力なファミリーゲット)

としか思っていない。

昼下がりの並盛山に、楽しそうな笑い声が響いていた。



†‡†‡†‡†‡†‡



日は傾き、並盛山は闇に包まれ始めていた。

そんな中、やちるは一人佇んでいた。

「霜月要、一体あそこで何を……」

彼女が見たのは、ツナのすぐそばにある木にもたれ掛かって自分達の戦闘を見ていた要の姿。

ツナたちについて来たのか。

いや、最初はいなかった。

そもそも、今日のことは言っていないはず……。

それなら何故……。

(原作にもいないイレギュラムな存在。私と同じトリップ者か、もしくは正式な転生者か……。それともバグ? 何にしてもあの日の力といい今回の情報網といい、彼女は警戒しておいた方が良さそうね。それとも、いっそのこと仲良くなってしまおうかしら)

そして、やちるは闇に紛れるようにして姿を消した。  
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