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ドラクエⅤ・ドーラちゃんの外伝

作者:あさつき
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キラーパンサーに転生
  4ドーラちゃんとお揃い

 初めて宿のベッドでドーラちゃんと眠った翌朝。
 いよいよ、ビアンカちゃんとお別れのときです。

 ドーラちゃんは結構落ち着いてるように見えるけど、ドーラちゃんよりも二歳お姉さんなはずのビアンカちゃんは目をうるうるさせて、もう泣きそうです。

 と、思ってたらドーラちゃんがちょっとつっかかるような言い方をして、二人で言い合いが始まってしまいました。

 あ、あれ?
 二人とも、優しいいい子なのに。
 ケンカは、よくないよ!
 ケンカは、やめて!

 あたしがおろおろしてるうちに、ビアンカちゃんがちょっと黙ってから笑って言います。

「……もう!初めは、すごく可愛くて、守ってあげたいって思ったのに!生意気なんだから!」

 あ、ケンカはおしまいなんだね、よかった!

 ……でも、ドーラちゃんが、生意気?

 すごく可愛くて守ってあげたいっていうのは、すごくイメージと合うんだけど。
 実際はあたしのためにお化け退治をしてきてくれたわけだし、すごく優しく甘えさせてくれるし、弱々しく守られてるだけの子じゃないんだろうなっていうのは、なんとなくわかるけど。
 今の言い合いを見たら、確かに生意気って言えなくもないだろうけど。

 最初からちょいちょいひっかかってるとこあるけど、ドーラちゃんってほんとはどういう子なんだろう?
 最初のイメージと実際のドーラちゃんが違ってても、あたしがドーラちゃんを嫌いになるなんてあり得ないから、別にいいけどね!

 あたしがいろいろ考えてるうちにドーラちゃんとビアンカちゃんは笑いあっていて、ビアンカちゃんがドーラちゃんの髪にリボンを結んであげています。

 あ、可愛い!
 そんなのなくてもドーラちゃんは可愛いけど、旅をしてるせいかあんまり女の子らしいおしゃれはしてないというか。
 動きやすさ重視みたいなところあるんだよね。
 可愛いから男の子には見えないけど、その格好を男の子がしててもおかしくはないみたいな。
 ちょっとリボンを結んだだけで、すごく女の子らしくなって、すごくまた可愛くなった!
 ビアンカちゃん、いい仕事したね!

 あたしがまた可愛くなったドーラちゃんを眺めて満足していると、ビアンカちゃんがあたしにもリボンを結んでくれます。

 え、ドーラちゃんとお揃い?
 嬉しい!
 ありがとう、ビアンカちゃん!
 自分でほどいたり結んだりはできないけど、できるだけ汚さないように、大事にするからね!

「モモちゃんとお別れするのも、さみしいけど。モモちゃんはドーラのほうが好きみたいだし、村には他の子供がいないのよね?ドーラと、一緒にいてあげてね!」
「ニャア!」

 うん、まかせて!
 あたしもビアンカちゃんとお別れするのは寂しいけど、でもやっぱりドーラちゃんと一緒にいたいから!
 村で遊ぶときも外に出て戦うときも、ずっとドーラちゃんと一緒にいるから、ドーラちゃんのことはあたしにまかせて、ビアンカちゃん!
 ビアンカちゃんもドーラちゃんを大好きなのはわかってるし、いたくても一緒にいられないビアンカちゃんの分も、あたしがしっかりドーラちゃんを助けるからね!

 目で訴えるあたしの気持ちが伝わったみたいに、ビアンカちゃんが笑顔を向けてくれます。

 うん、さっき泣きそうになってたのは、すっかりもう収まったみたいだね!
 このまま笑顔でお別れできそうで、よかった!

 ……あれ、ドーラちゃんのさっきの、あれ。
 もしかして、わざと……?

 ……まさかね。
 いくら賢くても、まだ六歳なのに、そんな計算したみたいなことするなんて。
 あたしがしゃべれたって、そんなのうまくできるかわかんないのに。

 ドーラちゃんのパパがドーラちゃんに声をかけて歩き始めて、見送るビアンカちゃんはまたちょっと泣きそうになってたけど。

「ビアンカおねえさん!ないたら、キレイなのが、だいなしですよ!わらってください!」
「泣いてないわよ!ホントに、生意気ね!」
「ごめんなさい!ビアンカおねえさん、それじゃ、また!」
「うん、またね!」

 ……やっぱり、ドーラちゃんって……。

 ……ううん、天然とかそういうのかもしれないし、そんなわけ、そんなのわざとできるわけないよね。
 六歳の子供が。

 とにかく、ビアンカちゃん!
 あたしも、ドーラちゃんと一緒に、また会いに行くからね!
 また、会おうね!



 ビアンカちゃんの住むアルカパの町を出て。
 人を襲う魔物の出る外の道を歩いて、ドーラちゃんたちの村を目指してますが。

 ドーラちゃんのパパって、やっぱりすごく強いんだね!
 あたしもまだ弱いけどちょっとは戦えるし、賢いところを見てもらうためにも頑張ろうと思ってたけど、全然手出しする間がないの!

 でもドーラちゃんを戦わせてみるっていう話だったのに、そのドーラちゃんも全く手を出せてなくて。
 わざとじゃないみたいで、ドーラちゃんのパパもちょっときまずそうです。

 なんでだろう?
 体が勝手に動いちゃうのかな?
 そんなこと、あるものなの?

 よくわかんないけど、あたしにできることはなさそうだし。
 せっかくだからドーラちゃんのパパの動きとか、相手の魔物の動きとか。
 よく見て、勉強させてもらおう。
 キラーパンサーのお母さんの狩りを見て勉強したみたいにね!



 そうこうしてるうちに、ドーラちゃんの村について。

 うん、すごく勉強になった!
 相手の魔物はほとんど動く前に仕留められてたから、そっちはあんまり見られなかったけど!
 ドーラちゃんのパパは強いから、なにも考えないで攻撃しても簡単に倒せそうなのに、ちゃんと相手の急所を狙って攻撃してるみたいなんだよね!
 どの魔物の急所がどこなのかを見てるうちに、初めて見る魔物の急所も考えてわかるようになってきたし!
 経験値が入ってるのかな、見てただけのあたしもちょっと強くなったような気がするし!

 あたしはすごく充実した時間を過ごして満足してるんだけど、ドーラちゃんのパパとドーラちゃんは、なんだかぐったりしてるみたいです。

 あたしで力になれることがあるなら、手伝いたいんだけど。
 どうしたらいいかわかんないから、これは仕方ないよね。

 ドーラちゃん、難しいことはわかんないけど、あたしにできることなら頑張るから!
 なにかあったら、あたしに言ってね! 
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