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蘇生してチート手に入れたのに執事になりました

作者:風林火山
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SP・コロッセオ、開幕!


「さーて、お集まりの皆さん!SP・コロッセオいよいよ開幕で御座いまーす!」
『ウおぉぉぉぉぉぉぉぉおおおお!』
宏助が大アリーナに向けて高らかに叫ぶと、その何倍もの歓声が、アリーナの壁に反響し、響き渡る。
明が誘拐された事件から二週間後。SP・コロッセオ開幕である。
大会出場禁止令が出ている宏助は、麗も大会出場している以上、当日の準備は(前日までの準備は、麗の指揮のもと、SP総出で取り掛かっていた)全て宏助が行うことになっている。当然、司会進行係も宏助だ。
いつも見ている、スタジアムのようにグルリと囲んだスタンドがあり、その中心に大きく広い闘技場がある大アリーナも、今は、コーティングされて、どこかの国の一大イベントのような盛り上がりだ。
「ここで、この屋敷の当主にて神条総帥の一人娘、神条明さんから一言頂きます!」
「み、みなさん。とにかくがんばって下さい!」
宏助が明に振ると、既に横にスタンバイしていた明が少し緊張した面持ちで、そう言うと、
「ウオおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
先程とは比べ物にならない位の大きな歓声(主に男)がアリーナを包み込む。
軽くやきもちを妬きながら宏助は表面上は冷静に司会を続ける。
「では、ルール説明と第一次予選のバトルロワイヤルと組み分けをします。まず・・・・・」
ここで先日書いたものより詳しいルール説明と、バトルロワイヤル組み分け発表をする。宏助も軽くカンニングペーパーに目を通す。
ー宏助のカンニングペーパー (途中から)
・現在設置されている闘技場にてA組→B組→C組の順にバトルロワイヤルは行われる
・闘技場から落ちたり、敗北申告をされた場合には、即刻試合から離脱すること。
失格の場合
・指定された武器以外を使う
・敗北申告及び闘技場からの落下をしても、試合から離脱しない。
・試合中の暴言や、SPとしてあるまじき卑怯な行動に出る
これらを破った場合は、アレを行う
バトルロワイヤル組み分けは以下の通りである
A組
・若菜 麗 ・渋井 保志 ・佐藤 弘樹・ 広尾 京、吉野 かずさ チーム『NB(なにごともバランス良く)』・萩谷 亮・吉岡 翼・水島 正弘 
・江橋 さき 、荒巻 由紀 チーム『WK(私達変わってる)』
B組
・小倉 雄大・倉澤 健太・堀江 信之助 、前田 真崎 チーム『NHK(何事も二つが好ましい)』 ・朝日 はるわ 、石井 裕太 チーム『STK(それぞれの特技で勝つ)』・杉沢 有利 、羽田 桜 チーム『AUK(脚を美しく計画)』・前田 葵
C組
・高原 賢 ・熊崎 隆平・高野 凌駕、 増田 一樹 チーム『FGS(フェンシングゲーム最高)』・樋口 良太 、本田 光 チーム『MOT(未来は己で掴め)』・金 希 ・広浜 春奈 、中野 夏樹 チーム『SYW(視力はいいよ!わるいよ!)』
・チームが決勝戦に勝ち残った場合、チームで決勝戦に出場する。
・これから十分後に、試合開始!

ー大アリーナ 試合開始五分前 放送室
「ふぅ~。」
「お疲れ様です、宏助さん。」
「意外と疲れるなぁ~。司会って。」
「私もゲストで、着いてますから。」
宏助達は今、これから実況・解説を行う放送室で、一服している。また五分後に試合開始だからだ。
「最初は、A組からかぁ~。麗さんがいるからスグ終わるかな。」
「いや、あそこには男性陣副長の渋井さんもいますよ。油断なりません。」
「それもそうだな~。」
確かに麗がいるといっても油断はならない。麗にはなるべく勝って欲しいが・・・・どうだろうか。
「お、そろそろ試合開始だな・・・。」
ー闘技場 試合開始直前
「さぁ~皆さん。試合開始まで、残り十秒です!スタンバイは済みましたかぁ~。」
宏助のアナウンスが会場に響く。宏助も存外、上手いじゃないか、と麗は内心、笑いを漏らしていた。
十、九、とカウントダウンが進む中、合計十名のSPが、闘技場の定められた場所にスタンバイし、お互いを牽制し合う。
互いの距離はたかだか数メートル。ゴム弾装填の拳銃は、射程距離五メートルなので、すぐに届いてしまう。
とりあえず、と麗は標的を定める。
仕方ないが、チームから崩すか・・・・。
麗がそう決めると同時にカウントダウンが終わった。

ー放送席 試合開始
『若菜 麗の攻撃による江橋 さき 、荒巻 由紀 チーム『WK(私達変わってる)』、敗北申告!』
敗北と断定したシステムが申告を発表。半ば慌てるようにして、二人は出て行った。
「は、はやい!はやいです!たった試合開始三十秒で、一気に二人を倒した~!」
「麗ってやっぱりスゴイですね~。」
明と二人で感嘆のため息を落とす。
試合開始と同時にゴム弾を全弾、あらゆる方向に発射。弾は一人四十五発で一度に装填できるのは九発だ。
相手もさすがSPで、麗にも負けず劣らす既に己の武器を構えていたり、麗と同じくゴム弾を発射していた。
しかし、麗が狙ったのはその銃弾の防御や回避、迎撃を身構えていた瞬間に生まれる隙。まず狙ったのは数メートル右にいた、女性陣のチーム。
そして容赦なく、麗は指定した短い二本の棒で致命傷となりうる箇所に的確に攻撃を当て二人とも瞬殺。その時間わずか三十秒。
だが・・・・・・
「渋井 保志による広尾 京、吉野 かずさ チーム『NB(なにごともバランス良く)』敗北申告!」
「おっーと、男性陣副長、渋井保志もチームを崩したッツ~!」
「・・・・・・・・」
渋井保志も拳銃による連射で、直にチーム二組目を崩す。実力者の考えることは同じということか。
『もらったぁ~!』
『・・・・・・・ッツ!』
しかし、勝利の余韻に浸る間もなく残った四人の男性陣が襲い来る。二人はここで必死にその攻撃を食い止める。

ー二十分後 闘技場
「はぁはぁはぁ・・・・・。」
「ふぅふぅふぅ。」
「若菜麗VS渋井保志の激闘!十分間、激しいぶつかり合いが行われている~!」
あの後十分間の戦いの後、四人の男性陣を倒し、麗と保志の一騎打ちとなった。
長期戦を終えた後、既に二人で十分以上闘っている。ゴム弾の残数も互いにもう一桁だ。
「ふう。ふう。なかなかやりますね、保志。」
「いえいえ、貴方こそ。女性で、その腕前、敬意を表します。」
クソ丁寧な保志の言い方に麗は少しだけカチンと来るが、冷静を保つ。
これも策略家にして、戦闘も得意な万能な保志の技。戦いに情は禁物だ。
相手は、拳銃もそうそう使って来れない弾数。棒は短いものが二本。条件は同じ。あとはどうするか・・・?
「うおおおおおおッツ!」
「・・・・・・来たッツ!」
相手が先に動き出す。一直線に接近戦を挑んでくる・・・・・
「訳ないわよね。」
それはフェイントで、実は既に残り全弾装填してあったゴム拳銃で連射を行う保志。
「でもッツ!そんな手にはひっかからないッツ!」
麗はすでに全弾装填していた拳銃を連射。全ての相手の弾丸をその弾丸ではじき落とす。
「な・・・・・!」
「弾丸を全部素手で摘み取るような人が傍にいると、これ位は出来るものです。」
「てやぁぁぁぁ!」
「う・・・うわあああああ!」
麗は素早く棒二本による連打攻撃を繰り出す。
「若菜麗による渋井保志の敗北申告!よってA組の優勝者、若菜麗!」
『うおおおおおおおおお!』
「麗さん、スゴイです!」
「そうですね~。良かったですね~。」
「・・・・・宏助さん適当ですよ。」
「・・・・・・・・・・・・・。」
歓声と共に漫才のようなアナウンスを聞きながら麗はようやく勝利の余韻に浸る。

ー闘技場 B組
「ウォォォォオオおお!」
「・・・・・・ち、力技で圧倒!たったひとりで、他九人を撃破ッツ~!」
「十五分くらいでしたね。優勝は堀江信之助ですか・・・。」

ー闘技場C組
「はぁ、はぁ、はぁ・・・フン!麗と戦うために、こんなところで負けはしないッツ!」
「す、スゴイ執念!麗さんと戦うために異常な力を発揮~!男性陣とも引けをとらない強さ~!」
「第一次予選通過は、若菜麗、堀江信之助、金希ですね・・・・。」

SP・コロッセオは・・・・この後、更に波乱を極める・・・。 
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