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ヘタリア大帝国

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TURN103 赤い海賊その十一

「そうですね」
「開発は後にしようと思っていた」
 考えてはいたがそれでもだというのだ。
「ソビエト戦の後で空母を実用化させるつもりだった」
「艦載機もですか」
「防空体制もな」
 それもだというのだ。
「そうしたものも不備だ」
「そういえば独ソ戦は完全に砲撃の殴り合いだったみたいだね」
 南雲がレーティアに問うてきた。
「そうだったね」
「そうだ、艦載機の開発をより急ぐべきだったかもな」
「まあその辺りはどうかはっきり言えないけれどね」
「しかし何はともあれだ」
「ああ、ここはだね
「ドクツ軍には艦載機だ」
 彼等が持っていないそれで攻めるべきだというのだ。
「即座にそれを出そう」
「よし、じゃあね」
「今から発進させます」
 南雲にマカオ妹が応える、そして機動部隊の幾つかから艦載機が放たれて。
 ドクツ軍に襲い掛かり防空体制がない彼等をまさに一方的に叩く。これはにはポーランドも血相を変えて叫ぶ。
「こんなのマジ有り得んし!」
「ポーランド、大丈夫!?」
 リトアニアが血相を変えてモニターに出て来るが逆にこう言い返された。
「御前の方が大丈夫じゃないし!」
「えっ、俺平気だけれど」
「そっちの戦艦の状況どうなん!」
「まあちょっとやられてるけれどね」
「ちょっとじゃないし!」
 モニターに映っている艦橋はあちこちが破損し煙を噴きショートが起こっている、それを見ればとてもであった。
「ソビエト軍どうなん!」
「何かこっちの攻撃は当たらなくて向こうの攻撃は当たってね」
 戦術思想の違いが出た結果だ。
「ソビエト軍って動く目標を狙わないからね」
「そういえば範囲で撃ってない?」
「どうもそれを見破られてね」
「それでそうなん」
「いや、けれどポーランドが無事そうで何よりだよ」
「俺より御前の方がやばいしーー」
 ポーランドは真剣に心配している顔でリトアニアに言う。
「まあ生きてるんならええよ」
「そこまで酷いことにはなってないよ、確かにかなりやられてるけれどね」
「こっちもちょっと向こうの艦載機強過ぎだしーーー」
 とか話をしながら生きている二人である、少なくとも生命力はかなりのものだ。
「とりあえずこの戦いやばくね?」
「後は海賊の人達が頼りかな」
 ソビエト軍もドクツ軍も駄目だ、それではそうなるのも当然だ。
 それでリトアニアはレッドファランクスを観る、今彼等は枢軸軍の足止め部隊と対峙しようとしていた。それを見て言うことは。
「枢軸軍の方が数は少ないけれどね」
「四対十ってとこ?」
「そんなところだね」
 こうポーランドに話す。
「けれど枢軸軍の戦力だと足止めをするには充分だね」
「じゃあ海賊の人等も期待出来ん?」
「そうかもね」
 こう話す彼等だった、彼等も枢軸軍の強さはわかっていたのでレッドファランクスには期待出来なかった、だが。
 そのレッドファランクスの旗艦、ドクツから提供された戦艦の艦橋においてだった。赤とはいってもソビエト軍のそれとはまた違う軍服、ガメリカ軍の軍服をそのまま赤にした様な服を着てそのうえでサングラスで顔をはっきり見せない金髪の女にアフリカ系のメイドが声をかけていた。
「ではお嬢様、今から」
「うふふ、今お嬢様もないと思うけれど」
「私にとってはお嬢様は何時までもお嬢様なので」
 見ればメイドの顔は整っている、アフリカ系だがコーカロイドの血も入っている感じだ。目は細くにこりとしている。
 そのメイドがこう女に言うのだ。
「そうお呼びさせて頂きます」
「ならいいわ。それではね」
「はい、今からですね」
「枢軸軍のあの部隊を破ってね」
 それでだとだ、余裕を以て言うのだった。
「すぐに敵の後方を衝くわよ」
「それでは」
「どうやら敵の指揮官はあの戦艦にいるわね」
 女はモニターに映る大和を見て楽しげに笑った。
「さて、それではね」
「あの戦艦を倒してですね」
「報酬分は働かせてもらうわ」
 こう余裕の笑みで話すのだった、今東郷と枢軸軍はあらたな驚異を知ろうとしていた。


TURN103   完


                  2013・4・13 
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