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ヘタリア大帝国

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TURN102 革命その六

「いや、あれは帝ではない」
「えっ、柴神様」
「どうしてここに」
「彼女から話は聞いた」
 柴神はその美女に顔を向けて言う。
「女官長にな」
「えっ、女官長!?」
「女官長っていうと」
「そうだ、女官長のハル殿だ」
 柴神はこのことにも驚く一同に話す。
「彼女がな」
「あのとんがり眼鏡でおばさんカットのあの人が」
「素顔はこんな綺麗なんですか」
「あの、髪の毛も波立っていて色っぽいんですが」
「この人がですか」
「私の容姿のことはいいでしょう」
 ハルは恥ずかしそうに返す。
「とにかく今はです」
「そう、それですぞ」
 宇垣が真っ先に強張った顔で言う。
「帝のことですが」
「ソビエトの工作員が皇居に侵入してきました」
「何と、皇居に」
「いや、それは有り得ます」
 驚く宇垣に山下が言う。
「それも」
「そうか、マスコミ関係者か」
「以前より我が国には知識人に共有主義のシンパが多くいました」
「その彼等が手引きしましたか」
「夕日新聞等は警戒していましたが」
「おそらくその新聞です」
 ハルも山下に応えて言う。
「あの新聞社の記者と共に皇居に入り」
「くっ、取材で宮廷に入りそこからか」
「迂闊だった、警備が手薄だったか」
「祖国殿に変装していました」
 ハルはさらに話す。
「それで帝の御前に来まして」
「私にですか」
「完璧な変装でした」
 それこそハルですら見抜けないまでにだったのだ。
「恐ろしいまでに完璧でした」
「えっ、日本さんに完璧に変装したって?」
 ハニートラップはそれを聞いて目を顰めさせて言った。
「それあいつよね」
「御存知ですか」
「ビッグ=ゾルゲよね。ソビエトの工作員の」
「銀髪で背の高い男でした」
「間違いないわ、それゾルゲよ」
 こうハルに話す。
「ソビエトのスーパーエージェント、天才スパイよ」
「そこまでの者だったのですか」
「あいつはね、やばいわよ」
「確かにかなりの手練でしたが」
「実は私も彼に接触しまして」
 ここでもリンファが話す。
「それで共有主義になりました」
「そうだったのですか」
「はい、常に神出鬼没で私の前に現れてきました」
「あいつは何時か消そうと思ってたんだよ」
 今度はがメリカ軍諜報部出身のキャヌホークが話す。
「ガメリカとしてもね」
「ソビエトの工作部隊の中でも最も危険な人物だったからね」
「あいつだけはってなってたのよ」
 ハンナとキャロルも言う、ガメリカの外交と軍事を担う二人もだ。
「それでソビエトと開戦の折にはね」
「そう考えていたけれど」
「成り行きが混乱していて話せないでいたのよ」
「それがこんなことになるなんてね」
「いえ、ガメリカのせいではないです」
 宇垣は申し訳なさそうに言う二人にこう返した。 
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