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天使に愛に

作者:蛙男爵
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7



日が落ちてきた


もう夕方だ
なのに弟は帰ってこない


苛立ちのあまり
乱暴に頭を掻く


目を閉じても赤が広がる
それがまぶたの色なのか
それとも日差しなのかは分からない




だが それは黒に変わった



顔を上げると
母親が立っていた


その手には
めったに乗らない車の鍵を握りしめている


何を言いたいのかは
痛いほどわかった


だけど、、、


動かそうとすると
足元からは重い鎖の音がする

ジャラジャラと鈍い音を立てて
俺の体を縛っている






俺は首を振った

あの場所には


行きたくない






頭を下ろすと同時に


目の前に火花が散った
そして ジクジクと頬が熱を持つ


打たれたのだ


母親から打たれるなんて初めてで
俺は驚き 顔を上げる





泣いていた

静かに母親は涙を流していた



いつも大きく見えていた母親が
なんだか とても小さく見えて

俺は立ち上がり抱きしめていた




そして 鎖の切れる音が聞こえたような気がした





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