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ハイスクールD×D ~ もう一人の副会長は生徒会の切り札(ジョーカー)! ~

作者:ラドゥ
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第四話『報連相《ほうれんそう》は大事』

「そうですか。そのような事があったのですね」

ここは生徒会室。今俺は、昨日後輩である兵藤一誠のことを襲った堕天使について、目の前の上司である会長に報告していた。

昨夜、後輩である兵藤一誠を襲撃していた堕天使に遭遇したからだ。…まんまと逃げられてしまったが。





~回想

俺があの女堕天使を捕縛しようとしたその時、殺気を感じた俺はとっさにその場を飛び退くと、先ほどまで俺がいたところに、光の槍が刺さっていた。

そこに空から一人の男の堕天使が降りてきた。

「無事か、レイナーレ」
「ドーナシーク……」
どうやら男の堕天使の名前は『ドーナシーク』、女堕天使の名前は『レイナーレ』というらしい。

ドーナシークは、レイナーレに呆れたように話しかける。

「どうも帰りが遅いと様子を見にやってくれば、なにをこのような下級悪魔に手こずっているのだ?」

そのドーナシークの言葉にレイナーレは鼻を鳴らす。

「そんな油断はしないほうがいいわよ?少なくとも剣士のほうは、あなたより強いわ。……この私が動きを見切れなかったのだから。」
「なに…?」

レイナーレの言葉に、ドーナシークは訝しげな声を上げながら、俺のことをジロジロと見つめてきた。

「…貴様、誰の眷属悪魔だ?」
「…ソーナ・シトリー」

俺の主の名を聞き、ドーナシークは驚愕の声を上げる。忌々しげな表情を浮かべながら。

「貴様、『シトリー家の閃光』か!?」
「なんですって!?」

ドーナシークの言葉に、レイナーレも驚愕の声を浮かべる。

ちなみに『シトリー家の閃光』とは俺の異名。正しくは『閃光』だが。

あまりの速さの剣技で敵を打ち倒すという異名なのだが、こんな下級堕天使にも伝わっているとは思わなかった。いや、実戦に駆り出される比率の多い下級堕天使だからこそ知っているのというべきなのだろうか?

まあ、それは今は置いておくこととしよう。俺はドーナシークの問いに答える。

「そうだと言ったら?」
「取引だ。そこの小僧は見逃すから我らの邪魔をしないでもらいたい」
「ドーナシーク!?」

レイナーレがドーナシークの言葉に驚愕の声を浮かべる。

かくいう俺も今の言葉には驚いた。

堕天使は下級であっても総じてプライドが高く、そんな堕天使から、『自らを見逃せ』というような言葉を聞くとは思わなかったからだ。

事実、レイナーレのほうは、ドーナシークに文句をいっている。

「どういうつもりなのよ、ドーナシーク!」
「落ち着け、レイナーレ。相手が閃光ならば、たとえ勝てたとしてもこちらに多大な損害がでる。そしてその後には他のシトリー眷属を相手にせねばならない。そうなるとこちらの計画も台無しになる」
「だからって、私たちの元々の仕事を放棄するというの!?」
「別に構わんだろう。どうせ今回の計画は上を騙しておこなっているのだ。適当に報告すればいい」
「だけど!」
「いい加減にしろレイナーレ。あなたは至高の堕天使となるのだろう?ならば多少の屈辱は絶えてもここは無傷で生き延びるべきだ」

小声でなにを言っているのかわからなかったが、どうやら話はついたようだ。

俺はドーナシークに問いかける。

「で、一応聞いておくが、俺がここで貴様らを見逃して、なにかメリットがあるのか?」

そう、俺の目的はこいつらの目的を吐かせることだ。ここで見逃すどうりはない。

だが、ドーナシークはそんな俺の言葉を嘲笑う。


「いいのか?現魔王たちは戦争が起きるのを嫌っていたはずだが?」

確かに、現在の悪魔は、かつての大戦争によって人口を著しく減らしており、それが理由で現魔王様たちは戦争反対の立場をとっているが…、


「それがなんの関係がある」
「案外察しが悪いな閃光の。私はこういっているのだよ。…私たちに手を出せば再び戦争が起きるとね?」
「!?」

頭では、このような下級堕天使がやられたぐらいで戦争が起こるわけがないと頭では理解していたが、もしかしたらというひとさじの思いから、一瞬こいつらに手をだすのを躊躇してしまった。







ニタリ

「隙を見せたな?」

その隙をつかれてしまった。

ドーナシークの手から、一つの球体状の物体が落ちる。俺は、それがなにかを確認すると、大急ぎで、今までのやりとりを戸惑いながら見守っていた、兵藤へと駆け寄る。


「耳をふさいで伏せろ、兵藤!!」

兵藤は俺の突然の言葉に戸惑いながらも、耳をふさいだ。

俺はそれを確認すると、急いで兵藤を地面に追いやると、俺自身もその場に伏せる。









ドオォォオン!!

「うおっ!?」
「っ!?」

公園が、光と爆音に包まれた。

やつが爆発させたのは、普通はエクソシストが使う、対悪魔用のスタングレネード。主に逃走用に使われるものだが、これは悪魔に害のある力も放つので、俺もとっさに離れたのである。

俺は光がやむととっさにやつらがいた場所を見るが、すでにやつらの姿はどこにもなかった。逃げられたのだ。

「くそっ!」

俺が悔しさのあまり毒づいていると、俺の後ろから、知り合いの声が聞こえてきた。


「光の魔力を感知して来たのだけれど、どうゆう状況か説明してくれるかしら、羅来?」


そこいたのは、紅の髪を持つクラスメートにして、我が主ソーナ・シトリーの親友である悪魔、『リアス・グレモリー』だった。





~回想終了

それで俺はリアス嬢に先ほどあったことを説明し、公園を魔力で元に戻して、帰宅の途についたということである。

ちなみにスタングレネードによって、周囲にいる人間が近寄ってくるなんてことはなかった。堕天使がはった結界により、外に漏れなかったらしい。

会長は俺の話を聞いた後、口を開いた。


「それでは、兵藤君への事情説明は、リアスがおこなっているのですね?」
「ああ。自分の縄張りでおきたことだから、自分で説明したいといってたからな」

ただ、兵藤の中に眠る神器(セイクリッド・ギア)の反応は、かなり強いものを感じた。場合によっては、事情説明だけでは終わらず、悪魔(どうほう)になっているかもしれないな。

「それで、あなたはどう思いますか羅来?」
「どうとは?」
「ドーナシークとやらがいった、『戦争になる可能性』です。ただのハッタリの可能性のほうが高いと思うのですが…」

俺は会長の問いに言葉を返す。

「まあおそらくハッタリだろうが、一応は様子見すべきだろう」

もし仮にやつの言葉が逃げるだけのハッタリだけじゃなくて本当のことだとしたら、目も当てられないからな。

「しかしそれでは少し慎重すぎじゃないですか?」

そう俺にいうのは、会長の側で控えてた真羅。

俺も確かにそう思わないではないが、

「この事に関しては、慎重になるに越したことはない。それにこの街はリアス嬢の縄張りだ。もし俺たちに不利益になるようなことをやつらがすれば、彼女たちが処理するだろう」

彼女の性格ならば、俺たちの手を借りずに自分たちだけでしようとするだろうしな。

その言葉に納得したのか、二人はそれ以上なにもいわなかった。

そうして俺たちは堕天使たちの動向をしばらく様子見する方針で決めたのだった。
 
 

 
後書き
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