圧倒的究極神が世界を旅するそうです ハイスクールD×D編
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旧校舎のディアボロス
第三話
前書き
遅くなりました。
それと誤っておくことがあります。
ごめんね、レイナーレ。君はもう少し棺桶の中なんだ。
Pipipi……
携帯に設定しておいたアラームの音で目を覚め、一誠は携帯に手を伸ばそうとしたが体が動かなかった。
記憶を掘り返す。
昨日は堕天使の女性、レイナーレと悪魔の女性、リアスに接触し、帰宅した後シルマ達の尋問にあい、黒歌には別の女の匂いがすると問い詰められた。
特にやましいことはしていない。
襲われたから返り討ちにして、少し話し合っただけだ。
そして一誠は一度、自分の周りを見渡し、その惨状に頭を抱えたくなった。
左腕に紅音が抱きつき、その豊満な胸に腕を抱き込んでいる。
右腕を黒歌が紅音同様抱き込み、抱き枕替わりにしていた。
シルマと霞は太腿のあたりを、枕がわりにして寝ている。
昨晩、彼女達の知らない女性と接触したことにより、そのことに嫉妬した彼女達を抑えるために夜を共にしたのだ。
ここまではいい、今まで度々夜を共にしていたからだ。
一番の問題は。
「ん…、朝ですか? 兄様」
「そうだ、おはよう白音」
「おはようございます、兄様」
胸に抱きついている白音である。
癖なのか、一誠に挨拶をしたあと体を伸ばす。
今まで気休め程度にかけていたタオルケットがずり落ち、白音のシミ一つない純白の肌が朝日に照らされた。
(綺麗だ)
一誠が白音の体を眺めていると、白音がその視線に気づき恥ずかしげに体を捩らせた。
「私だって兄様を受け入れることができるんです。
その、次からは私も…」
顔を赤くしながら白音が言うが、最終的に尻すぼみになり最後の方は何を言っているかは分からなかったが、何を言いたいのかはだいたい解った。
「…ああ、次からは白音も呼ぶよ」
「…はい、ありがとうございます、兄様」
顔は赤いし目尻に涙が浮かんでいるが、可愛らしい最高の笑顔で白音が答えた。
「白音もついに女になったのにゃ、で夢にまで見た一誠の味はどうだったかにゃ?」
右側から声がして、目を向けると黒歌が起きていた。服を着ていない。
「ね、姉様!?」
「恥ずかしがる必要はないにゃ、さあおねえちゃんに話すのにゃ」
手をわしゃわしゃと動かしながら白音に近づいていく。
動く度に豊満な胸がたゆんと揺れ、一誠の視線は釘付けである。
「そうだな、同じ雄を愛する雌同士だ、情報交換といこうじゃないか」
「我、とても興味がある」
「もう、だめだよ紅音ちゃん、霞ちゃん。黒歌ちゃんも無理に聞くのは良くないよ」
紅音と霞、シルマも起きていた。当然裸である。
黒歌と紅音はからかい混じりに感想を聞き出そうとし、霞は真剣に聞き出そうとしていた。
シルマはそれをわかっているのか、少し注意した程度で止めている。
「そうです、これは大切な私だけの思い出なんです。誰にも言えません」
胸を張って宣言する白音を、紅音達は微笑ましそうに見ていた。
一誠は一糸纏わぬ彼女達を眺めたあと、自由になった腕で枕元に置いてある携帯に手を伸ばし時間の確認をした。
現在の時刻は6時19分。二度寝をするには少々遅い時間であり、登校の準備をするにも少し早い微妙な時間である。
浄化の魔法を発動させ、部屋と人を綺麗にしたあと、ベッドに寝たまま会話をする5人を眺めていた。
(胸の大きさだと紅音が一番か。ついで黒歌、シルマ。霞は姿を自由に変えられるとして、白音は…今後に期待か)
一誠も男だ。同じ部屋に5人もの裸の美女美少女がいれば目線が行くのは当然である。
「あっ、…」
白音が急にもじもじと体を捩らせ始め、顔を朱く染めている。
先程ずり落ちたタオルケットを羽織っているが、恐らく体も朱く染めているだろう。
「白音、どうしたのにゃ?」
黒歌が白音の異変に気づき、声をかけた。
考え事をしていて、ぼうっとしていた一誠も白音の異変に気づいた。
「顔が赤いがどうした?」
「その、兄様のが…大きくなってます」
白音が顔を真っ赤にして、俯きながら蚊の鳴くような声で言った。
一誠もそれに釣られて視線を落としていき、ある地点まで到達したことで顔を手で覆っていた。
夜を共に過ごし、白音が力尽きてそのままの体勢で寝てしまったことを思い出した。
腰が抜けて動けなかったのだろう、タオルケットを羽織り直したのもそれが理由か、と一誠は納得した。
黒歌もそれを見て一瞬顔を赤くしたが、顔には別の表情が浮かんでいる。
「ねぇイッセーぇ、朝から激しい運動をしようにゃん?」
黒歌は寝転がったままの一誠に再び抱きつき、自らの肢体をこすり合わせていく。
啄むようなキスをし、耳に舌を這わせていた。
一誠に断る理由はない。
即座にこの部屋を自分で創りだした特別な結界で覆う。
その結界は、ムゲンフィールドを元に作り上げた為、結界内の時間が経たない、とても頑丈、探知されにくいといった特徴がある。
結界が正常に作動したことを確認した一誠は、白音と体の位置を入れ替え二人をベッドに押し倒した。
体の位置を入れ替えた際に、白音から少し嬌声が漏れた。
「俺は欲望には忠実でな、少しの間付き合ってもらうぞ」
一誠は二人を抱き寄せ、耳元で宣言した。
「兄様…はい、可愛がってくださいね」
「少しと言わずに心行くまで堪能してほしいにゃ」
二人の言葉に、更に一誠の情欲が燃え上がる。
結界に気づき、話をやめて此方を見ていた紅音達3人にも声を掛けた。
「そこの3人も混ざるなら此方に来い」
たっぷりと可愛がってやる、その言葉に反応してベッドから離れて会話をしていた3人は顔を見合わせる。
言葉の意味を理解したのか、互いに頷き合うと我先にとベッドに向かった。
そして、数分も経たないうちに一誠の部屋からは幾つもの嬌声が聞こえてきた。
朝の運動を終えた一誠達は朝食を済ませ、普段と変わらず登校した。
教室に入った途端に攻撃してくる松田と元浜を、一誠は普段通りに教室の床に叩きつける。
そして授業を受ける。ただ今日の放課後は少し違っていた。
「イッセー君、木場君が呼んでるわよ」
一誠を呼ぶ声があった。呼ばれた方に向くと一人の女子生徒がいた。
呼んだのは、桐生と呼ばれる女子生徒だ。
彼女は決して悪い人間ではない。
だが、耳年増というのか、その手の事に知識が深い。
一誠の兄妹である白音や霞とも親交があり、その際に色んな知識を教えたりと余計なことをしてくれる。
しかし、本人は知識はあっても経験はないらしく、かつて一誠が問い詰めた際に、
「ね、年齢=彼氏いない歴なんてそんなことあるわけないじゃない。処女賭けてもいいわよ!?」
と非常に返答に困る返答をしてくれた。
だが、顔を真っ赤にし、視線を泳がしたりと、結果を聞かなくてもわかる反応をしていた。
白音や霞に要らん知識を吹き込むが、決して悪い人間ではない、それが一誠の桐生藍華に対する評価だ。
一誠は手早く荷物をまとめ、席を立った。
「わかった、ありがとう桐生。シルマ、準備はできているな、行くぞ」
「はーい、それじゃあ皆、また明日ねぇ」
「お礼なら駅前に新しくできたケーキ屋の新商品をお願いするわ」
「俺を呼んだだけでか」
一誠はシルマを呼んだあと、桐生と軽口を叩き合いながら、木場の元に向かった。
「やあイッセー君、僕が件の使いなんだけど話は聞いているかな?」
「ああ、聞いている。それと連れて行きたいやつがいるんだがいいか?
こっちのことは知ってるから問題ないはずだが」
「わかったよ、すぐに集まれそうかな?」
「元々連れて行くつもりだったしな、そろそろ来るだ。…ほら来たぞ」
一誠の元へ紅音と霞、黒歌、白音が歩いてきていた。
「じゃあ行くか。木場、案内を頼む」
「わかったよ。それじゃあ着いて来て」
木場が案内を引き受け、先頭を歩いていく。
紅音達の視線が外れた瞬間、一誠は桐生の耳元に口を寄せ、
「今度、駅前のケーキ屋にでも行こうか、藍華」
「な!?」
言外にデートをしよう、と、特大の爆弾を桐生の下に落としてから、先に行った木場を追う。
残された桐生は顔を真っ赤にして立ち尽くしていた。
木場の案内のもと、旧校舎に移動した。
とある教室の前で立ち止まる。《オカルト研究部》と書かれている。
「部長、祐斗です、イッセー君を連れてきました」
「いいわ、入ってちょうだい」
部屋の主から許可が出たので木場がドアを開ける。
部屋に入って一誠達の目に付いたのは壁や床に書かれた魔法陣である。
そしてソファに赤髪の少女、リアスと黒髪でメガネを掛けた少女、蒼那が腰掛け、その横に黒髪の少女、朱乃を携えている。
一誠達が用意された席に各々腰掛けたことを確認したリアスが話し始めた。
「私達、オカルト研究部はあなたたちを歓迎するわ」
木場が一誠達から離れ、リアスの横に立つ。
「悪魔としてね」
その背に蝙蝠を思わせる羽を広げ宣言した。
「あはは、僕の苦労はいったい…」
「祐奈、その、落ち込まないで、ね?」
「そうですわ、落ち込んではダメですよ、祐奈さん」
「祐奈さん、気を確かに」
木場が床に手をついて落ち込んでいるのを、リアスと朱乃、蒼那が慰めていた。
これが初対面ではない。が互いに隠していることもありそれを含めての自己紹介が原因だった。
一誠側は自らの出生とこれまでの経緯を、リアス側は自らの出生を話せる範囲で話した。
一誠からしたら特に隠すことでないのでシルマ達のことも話した。話してしまった。
その話を聞いていたリアス達の顔が徐々に引きつっていく。最終的には頭を抱えてしまった。
「まさか、まさか《D×D(ドラゴンオブドラゴン)》と呼ばれるグレートレッドに《無限の龍神》の
オーフィスがこんなに近くにいたなんて。いえ今は紅音さんと霞さんね」
「それにこの世界を創った創造神までいるなんて」
そうなのだ。紅音の正体は《不動の一番》《真龍》《D×D(ドラゴンオブドラゴン)》など色々な呼び名がある
世界最強をうたわれるグレートレッドである。
そして、霞も《無限の龍神》とよばれグレートレッドに勝るとも劣らないオーフィスが人になった姿だった。
さらに、シルマの存在である。彼女がこの世界を創ったなどといっても普通は信じないだろう。
だが、結界を貼り、その中で力を解放させる。その力を見たリアス達はその言葉が強ち嘘ではないことを知った。
黒歌と白音に関しては前の3人の印象が強すぎたり、元々この世界には龍や悪魔、天使までいる世界ということもあり
妖怪程度では驚かなかった。
リアス達は自らが悪魔であると語った。
そして支取蒼那は仮名であり、ソーナ・シトリーが本名である。
リアスと蒼那は上級悪魔、それも名家であり、朱乃と祐奈はリアスの眷属悪魔であった。
だというのに黒歌と白音同様、先程の3人に全て持ってかれた。
ここで先程の木場に戻る。
木場は自らに認識阻害を朱乃にかけてもらっていた。
要は木場は、”祐斗”君ではなく、”祐奈”ちゃんだったということだ。
だが、悲しいかな。一誠や紅音、霞とシルマには全くといって言い程効果がなかった。
黒歌と白音も仙術により、祐奈が女であることを見抜いていた。
「ふふ、いくら認識は男だと思えても、仕草や服装までは誤魔化すことができないから、
ボロが出ないように頑張ってたのに、まさか初めから効果がなかったなんて思わなかったよ」
祐奈が床に手をついたまま話し出す。
目尻にはほんのりと光る粒がある。
「せっかく出来た友人を騙していると思いながら過ごしてたのに、まさか初めから効いていないなんて、
そして、何度君の前で裸を晒したんだろうか。ふふ、僕が思うだけでも10回以上はあるな」
部屋にいる全員の一誠に対する視線が鋭くなる。
しかたないだろう、出かけた言葉を一誠はそのまま飲み込む。
わざわざ自らに認識阻害を掛けている奴に、何故男装をしてるのか、なんて聞けるわけがない。
だが、裸を見ていたことは事実だ。
「まあその、すまなかったな」
「…うぅん、いいよ僕も隠し事をしていたから」
一誠は素直に謝ることにした。
祐斗、もとい、祐奈の手を引き立ち上がらせる。
リアスが場の雰囲気を変えるかのように一度咳払いをした。
「本題に入るけどいいかしら?」
「構わない」
「まどろっこしいのは嫌いだから、単刀直入に言うわ。
イッセー、あなた悪魔にならない?」
「悪魔になったことで、俺にメリットは?」
「寿命が人間と比べて格段に伸びるわ。
それに悪魔には階級があって、転生悪魔は下級悪魔扱いだけど、中級、上級になることだってできるし、各々に領地も与えられるわ。
親族についてはグレモリーの名の下に、確りと保護する。
ああ、あとハーレムを作ることだって可能よ。と、ところでイッセー?」
とても解り易い説明だ。だがリアスの最後に言ったハーレムという言葉に目を光らせる者が数人いた。
「なんだ」
「私のことをどう思う?」
「可愛らしい、それに好ましく思う」
「そ、そう、わかったわ。ありがとう…うふふ」
リアスの質問に対し、一誠は躊躇いなく答えた。
リアスはその言葉に顔を朱く染め、壊れたようにうふふと笑っている。
「イッセーが私の事を可愛いって…好ましく思うって…」
「リアス? ちょっとリアス? ダメね壊れてるわ。リアス抜きで話を進めましょう」
壊れたリアスを放置して、ソーナが話の指揮をとり始めた。
「それでイッセー君、悪魔になりますか?」
「イッセー、悪魔になろうにゃ!」
「そうです、悪魔になりましょう」
一誠が答える前に、脇から賛成の声が上がった。
黒歌と白音である。
後ろにいる紅音達にも確認を取るが、全員首を縦に振った。
「俺は悪魔になろう」
一誠は”ある理由”によって元より人間よりも長生きだが、魔法やらでずっとごまかすわけにもいかない。
そうなるとどこかの勢力に属すか、どこにも属さず隠れて暮らすかしかない。
天使とは気が合わない、欲のままに生きると決めているからだ。
となると堕天使か悪魔に属すことになるのだが、どちらにもコネや伝手がない。
だからこそ、今回のリアスとソーナによる悪魔としての勧誘は、渡りに船というやつだ。
「それで、どっちが俺の主になる?」
「リアス、戻ってきて。ソーナにいっくんが盗られてしまいますわ」
朱乃が慌てて、先程から壊れたままのリアスを起こそうと奮闘している。
肩を強めに揺するが戻ってこない。
中々戻ってこないことに痺れを切らしたのか、リアスの耳元に口を寄せ何かを囁くと慌てだした。
「駄目よソーナ! 一誠は渡さないんだから!」
突然、叫び立ち上がったリアスに呆然とする一誠達。
自らのしでかした事に気づいたのか、周りを見たあと何事もなかったかのように腰を下ろす。
顔は髪に負けないくらい真っ赤に染まっていたが。
苦笑しながらその様子を見届けた一誠は、再度問い掛けた。
「で? どっちが俺の主になるんだ?」
「もちろん、私よね、イッセー?」
「当然、私ですよね、一誠君?」
二人からは私を選びなさい、という思いが伝わってくる。
どちらもいい主になるだろう、とても贅沢な悩みに一誠は思考を巡らせるのだった。
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