Angel Beats! the after story
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記憶戻しの野球試合③
グラウンドのホームベース近くでお互い向き合う。
全員が闘気を燃やしピリピリした空気がひしひしと俺に伝わってくる。
審判が両チームを見てから大きな声で言う。
「これから大学サークルチーム対──中学校野球部の試合を始める、礼!」
「「「「「おねがいしゃーーす!!!!」」」」」
両チーム盛大な声で礼をする。
そしてお互いのベンチに駆け足で行く。
戻っている途中で日向が声をかけてくる。
「音無調子は大丈夫か?」
「大丈夫だ、お前は?」
「絶好調だぜ。」
お互いの調子を聞きながら俺らはベンチに着いた。
ベンチに座っているところに日向が俺に声を掛ける。
「音無、今日の試合は6回までの少しばかり短い試合だ、だから最初から全力で行け。」
「わかった。」
日向にそう言われながら肩を軽く回す。
中学生チームがポジションを呼びながらボールを投げ合っている。
それを見ながら『ふっと』思いだす。
「日向、そういえばかなでたちはどこに行ったんだ?」
日向も気付いたらしく
「ほんとだな、たく大事な試合ってのにどこぶらついてんだか」
日向は少し呆れながらベンチに座る。
そんな時
「ほら、ゆりちゃんユイちゃん照れてないで早く。」
「そんなのわかってるわよ。でも心の準備がまだ」
「私もまだ心の準備が」
後ろからかなでたちの声が聞こえてくる。
「もォ〜言い出したのはユイちゃんでしょ、言った本人が照れるのはダメですよ。」
「それはそうですけど、いざ着てみると恥ずかしくって...」
「なんで私も着る羽目になったのかしら...」
どうやら何か話し合っているらしい。
「こうなったら音無さん、日向さんこっち向いてください。」
「「やめて〜〜」」
先に日向が後ろを向いたらしい。
「お、お、お前らな、なんだそ、そ、それは」
日向が驚いているらしくものすごく噛んでいた。
何をそんなに驚くやらと後ろを向いた瞬間、あまりの驚きに声が出なかった。
俺の目に写った光景には信じられないものが写っていた。
恥ずかしがっていない白い肌に控えめの胸の少女
恥ずかしいのか腕で体を隠すが隠しきれない胸がちらっと見える少女
特定の人物を見て恥ずかしくって顔をそらす少女
今、俺の目に写っているのはチアガール姿をしたかなでたちだった。
日向はまだ信じられないのか頬をつねっていた。
「おい音無、俺は夢でも見ているのかな?」
「いや、これは現実だ」
「そうか...ってなんてかっこしてんだよ!」
日向のその質問に代表してかなでが答えた。
「これはですね、ユイちゃんが提案したんです『どうせ応援するならこのくらいやらなきゃ』って言ったから着ちゃいました。」
だいたい想像がつくがまさか、かなでたちも賛成するとは思わなかった。
「どうです音無さん似合いますか?」
恥ずかしがるそぶりを見せず聞いてくる。
「あぁものすごく似合ってる。」
白い肌に目が離せなくなってしまった。
それを聞いてかなでは喜んでいた。
「ほら、ゆりちゃんも観念して」
かなでの後ろに隠れていたゆりが、かなでによって前に立たされる。
前に出て来てますます恥ずかしくなりゆりの顔が赤くなり目が潤んでいた。
「じっと見ないでよ、バカ」
「わ、悪い」
あのゆりのチアガール姿に目が釘付けになってしまう。
「似合ってないのは分かってるんだから」
「いや、そんなことはないぞ、似合ってるしかわいい。」
俺が言ったセリフにゆりの顔ががますます赤くなってしまう。
「か、か、か、かわいいってへ、へ、変ななこと言うなバカ!」
「よかったねゆりちゃん」
「う、う、うるさい」
俺、変なこと言ったかなと考えていると日向たちの方から話し声が聞こえてくる。
「あの、その、えっ〜とに、に、似合ってますか先輩?」
目を潤ませ上目遣いで見てくるユイに日向が真っ赤になっていた。
「あ、あぁスゲェ〜似合ってる」
「ほ、ほんとにですか?」
「あぁ似合ってるしかわいいぞユイ」
ユイもゆり以上に顔を赤く染めながらも笑う。
それにつられて日向も笑っていた。そんなことよりも
「ところでずっとそのまんまなのか?」
と俺がかなでに聞いた。
「そのつもりですけど。」
「だけどさ〜」
「大丈夫です音無さん心配しないでください。」
なにか作戦があるんだなと思いつつ続きを聞く。
「ちゃんと日焼け止めつけてますから。」
いやいやそっちじゃなくて〜と思いながら周りを見る。
チームの連中はともかく健全なる男子中学生には刺激が強すぎたらしく
こっちをガン見していている。
それからようやく全体が落ち着き試合が始まった。
☆
試合が始まり俺らが守備をする1回の裏ウグイスコールがバッターを呼ぶ。
威勢のいい声とともにバッターボックスに入っていく。
俺はキャッチャーの言う通りに内角低めのカーブを投げる。
バッターはバットを振ってきたが見事空を切った。
ストライクを一つ取り油断せずサイン通りに投げる。
(次は高めのストレート)
投げたボールをバッターは見逃す。
「ボール」
(さすがに振らないか)
改めてサインを見る
(次は外角高めにストレート)
投げたがバッターのバットに当たりボールの飛んだ方向をみる。
「ファール」
内心焦りながらも平常心を保つ。
(カウントは1ボール2ストライクか次で勝負!)
サインを見ると内角低めのストレートだったが俺は首を横に振る。
次に出たサインは外角低めのスローボールそれに俺は首を縦に振り構える。
俺が投げたボールにバッターはタイミングを崩し空振った。
「よし!」
「3アウトチェンジ」
点を取らせず1回を終わらせる。
ベンチに戻る途中仲間が次々と褒めてくる。
野球も悪くないと思いながらベンチに戻る。
「お疲れ」
「サンキュー」
俺は日向からもらった飲み物を飲んでると日向が話しかけてきた。
「音無、お前選んでやっぱ正解だったわ」
「そりゃどうも」
場の緊張のせいで疲れた俺は癒しのチアガールたちを見る。
(はぁ〜癒される)
他の連中も同じ事を考えたのだろうチラッと見てる奴がいる。
そんな視線に気づいたのか、かなでが俺に話しかけてくる。
「お疲れ様です、音無さんカッコよかったですよ。」
かなでの満面の笑みで俺の疲れは一気に吹き飛び全開にもどった。
遅れてゆりも話しかけてくる。
「あんた意外と運動とかできるのね、もっとこうモヤシみたいな感じだと思ったわ。」
ゆりにそう言われ少しばかり落ち込んだがゆりの次の言葉にまた疲れが吹き飛ぶ。
「で、でも少しだけだけどか、かっこよかったわよ、少しだけよ。」
同じ事を2回言われたがそんなのがどうでもいいぐらい嬉しかった。
幸せな気分を保ちながら日向とユイの方を見るとユイが褒めただろう日向の顔がデレデレしている。
そして気持ちを切り替えて打席に立っている仲間の方を見ると
『カキーン』と綺麗な音をたててボールはセンターとライトの間に落ちバッターは2塁に進み止まった。初めてのヒットでベンチが盛り上がる。
そのまま日向がいつの間にか打席に立っていた。
俺らは日向を全力で応援する、日向はそれに答えるかのようにバットを大きく振りボールを芯に当てる。
飛んで行ったボールはあと少しでホームランだったがそれでも2塁ランナーがホームに帰り俺らのチームに1点入りさっきよりベンチが盛り上がる。
次のバッターは凡打で終わりその次のバッターも外野フライでこの回の俺らの攻撃は終わった。
俺はベンチに戻って来た日向を褒める。
「流石だな、かっこよかったぞ」
「俺にかかればこんなもんよ。」
どうだと言わんばかりのドヤ顔だったが今になってはそれは頼もしく見えるのは俺だけだろうか。
2回の裏は進塁を許したものの無得点で抑える。
そこから何もなく回が進んだ。
そして俺は今の状況にいたる。
後書き
色々と削ったんですけど量が多くなっちゃいました。
遡るだけでこんなに時間がかかるとは甘く見てました。
ようやく進めます。では改めて続きお願いします。
(感想もお待ちしています)
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