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MS Operative Theory

作者:ユリス
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第三世代MS②

——ムーバブル・フレームの改良とTMSの実用化——

 TMS開発において最も重要なシステムが、第二世代MSの根本的な技術であるム―バブル・フレームである。開発当初はこのムーバブル・フレームの可動範囲を広げるだけで可変機構を確立できると考えられた。

しかし、非変形型MS用のム―バブル・フレームは変形中やMA形態時の高Gに対応していなかった。更に、ムーバブル・フレームの強化による機体の大型化という問題と変形を可能にするだけの柔軟性も疑問視された。

また、ORX-005(ギャプラン)やMRX-009(サイコ・ガンダム)などのTMAにも、ム―バブル・フレームが部分的に採用されていたといわれているが、これらの機体に使われている技術をそのまま18~20m級のTMSの開発は変形機構を確立させることができず、暗礁に乗り上げたのである。

 この状況に変化をもたらしたのが、RX-178(ガンダムMk-Ⅱ)の開発である。ガンダムMk-Ⅱのムーバブル・フレームは、アナハイム・エレクトロニクス社(AE)などが試作していたモデルよりも柔軟性や強度の面で優れており、これを参考にTMSの代表的な機体であるMSZ-006(Zガンダム)が開発された。

 また、ガンダムMk-Ⅱのムーバブル・フレームはRX-110(ガブスレイ)などのティターンズ製TMSにも影響を与えたといわれている。



——TMSの機能特性——

 TMSはMSをはじめ、MAやTMAなどに比べはるかに高い機能性を持つ。その機能はAMBACシステムや兵装、スラスターなどに見られ、MA形態時もその運用性を損なうことなく、むしろ既存のMAやTMAよりも高い性能を獲得することとなった。

 TMAではMSとMAの性能をそれぞれの形態時に両立できなかったことからも、TMSがどれだけ画期的なマシンであるかが理解できる、


■両形態での使用を考慮した、即応性の高い兵装

 NRX-044(アッシマー)などのNRX系はマニピュレーターに対応したビーム・ライフルを装備していたが、TMAの火器は固定(もしくは内蔵)型が多く、MS形態時には視界が狭くなる傾向にあった。

 TMSはMSでの運用を基本としていることもあって、両形態で使用できるビーム・ライフルが主兵器となっていた。また、ビーム・サーベル共有型ライフルが多く、即応性に優れるのも特徴とされる。


■MAクラスの加速性を実現したスラスター

 MAの特徴の一つが高い機動性である。これはTMAも同じで、そのスピードは既存のあらゆる機動兵器を凌駕射ているといっても過言ではない

 。TMSはMAやTMAの持つこの特徴を設計段階から盛り込んでおり、変形時の機動性はMAのそれに匹敵するものであった。またAMBACシステムと併用することで高い運動性を獲得していた。


■MA携帯でも有効なAMBACシステム

 MA形態時のTMAは稼働肢を変更推進機として使用するが、ムーバブル・フレーム技術が不完全だったためか、AMBACシステムとして使用する例は少なかった。

 ムーバブル・フレーム技術が完成していたTMSでは、MS形態では勿論のことMA形態でもAMBACシステムを有効に活用できたため、従来のMAやTMA、SFSでは見られなかった高い運動性を発揮した。



——通常のMSと同クラスのサイズと運用性——

 NRX-044(アッシマー)などの例外を除けば、MS形態のTMAには大型の機体が多い。これに対し、MS形態時のTMSは18~20mサイズがほとんどで、同時期の非変形型MSとほぼ同じ大きさである。

 このため、通常のMSと同じ艦艇や施設でも運用が可能である。さかし、変形システムを有しているため、整備が煩雑になるという欠点があった。このため、運用性は低くならざるを得なかった。



——実戦でのTMS——

 TMSが戦線に投入され始めたのはグリプス戦役中のU.C.0087,07末から08初めにかけてのことであった。TMSはサイズこそ小型だが、TMAに匹敵するパワーと機動性を持つ機体が多く、運用性にも秀でていたため、MS部隊の中核として使用された。

 だが、アクシズのガザ・シリーズを除けば、コストの問題などから絶対数が少なく、エース級のパイロットに与えられている高級機とされた。だが、その性能の高さゆえにU.C.0080年代末期の戦乱では、必ずその姿が確認されている。


●MSZ-006(Zガンダム)

 エゥーゴの象徴として開発されたTMSで、「グリプス戦役における最高傑作機」とも呼び声も高い。大気圏突入も可能なウェイブ・ライダーへと変形するほか、多彩な武装を装備する。3号機までが確認されている。


●RX-110(ガブスレイ)

 パプテマス・シロッコ大尉が基本設計を担当したティターンズ用TMSで、開発と生産はルナツ―で行われた。ビーム・サーベル兼用のフェダーイン・ライフルや、脚部ムーバブル・フレームを利用したクロー・アームを持つなど、可変機構を強く意識した設計が特徴。





補足事項

——TMS開発におけるAEの苦悩——

 U.C.0086頃にスタートしたAEのTMS開発プロジェクトである「Z計画」では、可変機に対応したムーバブル・フレームの開発が難航していた。

 特に本格的なTMSを目指して開発されたMSN-100(百式)のムーバブル・フレームには問題が多く、変形や高G運動時における強度が大幅に不足していた。これは素材ではなくフレームの構造に問題があったためだが、これに対しAEは根本的な解決策を見いだせなかった。

 百式はMS形態での性能に優れていたため、非変形型MSとして完成したが、ガンダムMk-Ⅱのフレーム技術を入手するまで「Z計画」は事実上ストップすることとなった。

 
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