嘘のようで本当の自衛隊体験
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第1空挺団について
前書き
アンケートの結果を発表します
第1空挺団について
が3票
台風上陸について
が1票
物品捜索について
が1票でした
その日は教場で精神教育
すなわち座学がありました。
自衛隊の座学は学校とは違い寝てはいけません
もし寝ている人がいたら心を鬼にして安眠妨害をしてあげましょう(笑)
ちなみに
もし寝ているのを班長が発見した場合
聞くも恐ろしい指導が行われます(-o-;)
私の同期の中には班長に肩を思いっきり殴られた人もいます(本当)
話を戻します
その日の精神教育の内容は
『第1空挺団について』
でした。
ここで第1空挺団をよく知らない読者に説明します
第1空挺団というのは陸上自衛隊唯一の落下傘部隊で
有事の際は落下傘で最前線に降り立ち様々な危険や障害を排除しつつ作戦を遂行します。
その為、第1空挺団に所属する隊員は全国の陸上自衛隊の中でも選ばれた隊員しかなれない
最精鋭部隊なのです。
教場に入って自分の椅子に座って前を見ると
プロジェクターで空挺隊員が落下傘降下をしている写真が写されていました
(うおっスゲーー!)
そんな事を思っていたのは私だけではなかったようで
「ヤベー!何あれ!?」
「第1くうちょうだん?
何それ?」
等の声がちらほら
しかし
教官が教場に入ってくると黙って全員が立ち上がり教官に敬礼
実は精神教育を担当するのは教育を担当している区隊長や班長だけでなく
他部隊の方が担当する場合があります
なので
そういった方に不快な思いをさせない為にも寝てはいけないのです
「集合終わり!!」
教官に報告をして着席
「え~それでは教育を始めます
まずは自己紹介から」
おそらく手作りであろうプロジェクターを操作しつつ話す教官
「僕はノラといいます
階級は曹長で君達と同じく、ここN駐屯地で前期教育を受けました
今は君達の訓練の計画や調整をする仕事をしています」
(何か、おっとりというか
のんびり?
な人だな~)
ノラ曹長を初めて見た時、私はそう思いました。
ノラ曹長が、とんでもない人とも知らずに…
「僕は最近まで第1空挺団に所属してました」
(・_・)エッ..?
第1空挺団?
それも最近まで?(^_^;)
「え~嘘だと思わせるのは嫌なので証拠をお見せします
これです」
映し出されたのはノラ曹長と同じ顔をした人が落下傘を撤収している写真でした
「これが僕です(笑)
落下傘降下を終えて戦闘行動に移る為に落下傘を撤収してます」
…………
………
……
…
本物だー!(」゜□゜)」
あの時は本当にビックリしました(笑)
だって空挺徽章を着けてなかったんですから(後で知ったのですが徽章は着けるも着けないのも本人の自由とか)
ノラ曹長の空挺団の話の内容については一般には公開出来ない内容が多い為に割愛させていただきますm(_ _)m
どうかご了承ください
「というのが第1空挺団です
…そうそう空挺団に入ると女性にモテます」
ノラ曹長の言葉に耳を傾ける彼女がいない同期達(作者はいたので興味なし
すみませんリア充で)
「第1空挺団っていうのは、やっぱり普通の隊員とは違うんですよね
鍛え上げられた肉体がありますし何よりヤル気に満ち溢れてるんですよね
それから、この中で空挺に行きたい人
行くなら前期教育が終わってすぐがいいですよ(笑)」
え~就職自衛隊希望かつ空挺団希望の読者の方必見の情報です
見逃さないように
「というのも空挺は厳しいんです
特に一般部隊から空挺に入った人は地獄を見ます
しかしね
新隊員の時に空挺に入ったら慣れちゃいます
僕は前期教育が終わってすぐに空挺に行ったので厳しい事を沢山経験しました
でもね、それが普通になってくる
僕は初めて空挺以外の駐屯地に来たけど改めて思いました」
次のノラ曹長の言葉を聞いた私は耳を疑いました
読者の皆様心の準備はよろしいですか?
「空挺は軍隊だったんだと
一般の自衛隊は軍隊じゃないんだと本当にね
そう思いました」
こりゃ日本は安泰だわ(^_^;)
心の底から私はそう思いました
精神教育が終わった後
私は空挺団に入る為の試験の受験を希望しました。
その際ノラ曹長と色々な話をしました
ノラ曹長は空挺レンジャー隊員でもあったので沢山の事を教えてくれました
ヒナから育てて可愛がった鶏を泣く泣く捌いて食べた事
空挺体操なる体操がある事
等々
教えてくださいました
私とノラ曹長は意気投合して、わずか3ヶ月の間に
トリちゃん
ノラちゃん
と呼び合う程
仲良くなり時には班長達の指導から守ってくれた事もありました(笑)
しかし
別れはやって来るもの
空挺の試験に落ちた私は(原因は高血圧)普通科への配属が決定
後期教育からはN駐屯地を離れる事になりました
その事をノラ曹長に話すと
「そうか…
トリちゃんは普通科か」
「はい…ノラちゃんと同じ野戦特科がよかったんですけど」
「やっぱり寂しい?
トリちゃん」
「はい
少しだけ」
嘘でした。
本当ならもっとノラ曹長といたい
この人の下で働きたい
本心を隠してノラ曹長を心配させまいと嘘をつきました。
そしてN駐屯地を離れる日
普通科行きのトラックに乗ろうとした時
「トリちゃん!」
私の事をトリちゃんと呼ぶのは一人しかいません
「ノラちゃん」
制服を着たノラ曹長が封筒を持って立っていました。
その左胸には空挺徽章とレンジャー徽章
「トリちゃんに渡したい物があって」
そう言って封筒を差し出すノラ曹長
封筒を受け取り中身を見てみると
「ノラちゃん
…これ」
中に入っていたのは迷彩服に縫い付ける三曹の階級章とレンジャー徽章でした
「トリちゃんなら絶対に三曹になってレンジャー隊員になれるって僕は信じてるから」
思わず涙が流れました。
「ノラちゃん…ありがとう(泣)」
「泣くなよトリちゃん」
そう言うノラ曹長も涙を流していました。
そして出発の時間
「トリちゃーん!
元気でなー!!」
「ノラちゃーん!
俺、絶対三曹になるから!!
レンジャーになるから!!」
ノラ曹長は私の姿が見えなくなるまで手を振っていました。
この時ノラ曹長から貰った階級章とレンジャー徽章は今は私の迷彩服に縫い付けてあります
後書き
長くなった上に後半から空挺団とは関係無い事を書いてしまい
すみません
次回は台風上陸の話になります
ご意見ご感想お待ちしておりますm(_ _)m
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