久遠の神話
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第五十五話 刃の使い方その十四
「戦わない怪物とはな」
「それぞれよ。オリジナルのスフィンクスにしてもね」
「そういえば戦うことはなかったな」
「オリジナルの私がしたことは謎々だったわね」
「そうだった」
あまりにも有名な朝は四本足、昼は二本足、そして夜は三本足の生き物は何かという謎掛けだ、答えはよく知られていおる。
「人間だったな」
「そう、それだけれど」
「確かに戦ってはいないな」
「戦いは趣味ではないのよ」
「使うのは頭か」
「その通り、それよ」
「その頭で今は何を考えている」
「この戦いのことを」
それ自体をだというのだ。
「考えているわ」
「ふん、戦いそして勝つだけだ」
加藤にとってはこの戦いもそういうものに過ぎない、だからスフィンクスの今の言葉には否定で返したのである。
「それ以外はどうでもいいことだ」
「貴方らしい言葉ね」
「こいつにしても同じだ」
そのゲーリュオンを見ても表情を変えない。
「倒す」
「そうするのね。貴方は剣士で泣くとも同じね」
「戦うだけだ」
本当にそれだというのだ。
「では今から戦おう」
「一人でかな」
「別に一人でもいい」
王にも平気な顔で返す。
「俺は相手を倒せる」
「そうか。それならね」
「とはいっても俺は俺で戦う」
王もスペンサーも見ていなかった、しかも全く。
「あんた達と一緒に戦うつもりはない」
「ここは一時でも共闘した方が合理的ですが」
「合理的だろうが何だろうが俺は群れることはない」
だからだというのだ。
「あんた達とも共闘しない」
「ただ戦うだけですね」
「そういうことだ。ではだ」
スペンサーに返してそしてだった。
加藤は実際に彼だけでゲーリュオンに向かう、その彼とは対象的に。
スペンサーは王に顔を向けてこう言った。
「私達はここは」
「ああ。共闘した方がいいね」
王もこう返す。
「あのヘラクレスともかなり渡り合ったし」
「だからです」
「手強いのは間違いないし」
「では私達は共闘しましょう」
例えそれが一時のものであってのものであってもだというのだ。
「この戦いでは」
「うん、じゃあね」
二人は頷き合いそのうえで怪物に向かう、怪物は加藤とは既に戦っていた。
三本の槍がそれぞれ広瀬を襲う、だが。
彼はその槍を的確に防ぐ、そうして。
己の剣を繰り出す。そのうえで言うのだった。
「この程度か」
「貴様、やるな」
「我等と正面から渡り合うとは」
「強いな」
「そうだ、俺は強い」
実際にそうだというのだ。
「この通りだ。だが」
「しかしか」
「俺の力はこれで終わりではない」
そうだというのだ。
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