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万華鏡

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第四十四話 高校の運動会その二

「あまり格好よくないわよね」
「だからウケ狙いで看板にするしね」
「最高に滑稽だから」
「自分達だけ贅沢して国民を餓えさせててね」
「人間として最低だしね」
「そんな漫画に出るみたいな独裁者だしね」
「ウケ狙いで出すには最適だからね」
 クラスの男子の一人が看板の候補に出して皆それにノリで賛成したのだ、確かにウケるという点では期待出来た。 
 それでだ、彼女達もこう話すのだった。
「ウケ狙いならこういうのでもいいわよね」
「あと前の将軍様もいいわよね」
「ああ、あっちもね」
 先代将軍の話にもなる、ここで重要なことは間違っても日本の幕府の将軍とは違うということだ。
「不細工だしね」
「あれでしょ、靴シークレットだったのよね」
「そうらしいわね」
 高い底の靴を履いて自分の背を高く見せていたのだ、当然自分が小柄であることを気にしてそうしていたのだ。
「おばさんパーマでね」
「あんなパーマ今してる人いないわよ」
「しかもサングラスでシルクの作業服」
「作業服の意味ないじゃない」
「止めに酒好きの女好きで贅沢三昧」
「絵はやけに美化しててね」
「ああ、どうせならあれよね」
 ここで女の子の一人がこんなことを言い出した。
「片方に本物、もう一方に美化したの描くのどう?」
「あっ、妄想と現実って感じでよね」
「実際にそれ位違うからね」
 このことでも言われていた、絵が実物と比べて美化され過ぎだったというのだ。
「ううん、あの国って傍から見ればネタよね」
「最高のネタよね」
「特撮の悪役そのものだし」
「命令に失敗すれば処刑とかね」
 実際にこうした国があることが恐ろしいと言うべきか滑稽と言うべきか。だが彼女達は今はネタとして話すのだった。
「あんなの彼氏だったら嫌よね」
「容姿もあれだけれどね」
 はっきり言うと醜男だ、人の顔や外見のことは本来は言うべきではないが自分を美化し過ぎであるからいいであろう。
「自分だけ贅沢してご馳走食べて美味しいお酒飲んでハーレム作ってね」
「それで宮殿に住んでよね」
「皆を餓えさせて自分の権力の為に軍隊持って核兵器開発して」
「もう最低よね」
「絶対に付き合いたくないタイプよ」
 つまり彼氏にしたくない男のトップだというのだ。
「あの将軍様はね」
「もうお断りよね」
「札束出されて付き合えって言われたらね」
「あっ、それアウト」
「お金でつろうって何なのよ」
 このことはこれまでで最も強い嫌悪の念が出された。555
「如何にもしそうだし」
「そうそう、権力で脅したりね」
「あと家族が幸せになるとか」
「そういうやり方で言い寄る奴って最低よ」
 人間として、異性として全く魅力を感じないというのだ。実際にこうした輩は日本にもいるのであろうがあまりいないと思いたい、人間の世界全体で。
「やっぱり相手にするのならすっきりとした性格でね」
「性格が男前っていうかね」
「そんな相手ならよね」
「そういう人じゃないとね」
 将軍様ではなく市井の人でそれでいいというのだ。
「普通の人でいいのよ」
「身分とか権力とかお金じゃなくてね」
「まあお金はあった方がいいけれど」
 このことはちらりとして出る、だがメインではなかった。 
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