インフィニット・ストラトス 復讐を誓った血継限界の転生者
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
楯無と簪
「本当にひさしぶりですね刀奈さん」
俺がそう返すと刀奈さんは扇子を開き、そこには『残念』と書いていた。
「今は家を継いで名前は楯無になってるの。だから、私のことは楯無って呼んでね」
刀奈さんもとい、楯無さんはそう言いながらウィンクをしてきた。
「で、俺をつけてた目的はなんです?まさか用もないにつけてた分けじゃないでしょ?」
「そうね。あなたにはお願いしたいことがあるの。私の大切な妹の簪ちゃんの同室のあなたに!」
楯無さんは真剣な目でこちらを見ながら言ってきた。そしてやけに簪のところを強くいってきたなこの人。
「お願いですか?出来る範囲内だったら聞きますよ」
「ありがとう燐君。実はあなたには簪ちゃんの機体作りの手伝いをお願いしたいの」
「簪の?確か専用機は企業が作る筈ですよね」
「そうなんだけど、実は簪ちゃんのISを作る筈の『倉持技研』が織斑君の専用機に人員をまわしてね。まだ完成してないの」
また、一夏か。あいつどんだけ人に迷惑かけるんだよ。
「別に俺はいいですよ。けど、二年生には整備科があるって聞いたんですけど。楯無さんの知り合いに頼んだほうがいいんじゃないんですか?」
「実は簪ちゃん。一人で作る気なの。私がそうしたように」
「なるほど、大好きな姉みたいにやりたいってわけですね。てか、1人で作ったんですか自分の専用機?」
「70%位のところからだし、知り合いにアドバイスを貰ったりしたけどね……それに簪ちゃんは、私のこと大好きじゃないわ多分…」
あ~、これはなんかあったな。昔はあんなに仲のいい姉妹だったのに。
「分かりました。できる限り頑張りますよ」
「そうありがとう。簪ちゃんのことよろしくお願いね」
楯無さんは俺の答えに安心した顔をして帰っていった。俺の後ろに隠れてるもう一つの気配に気づかないくらい不安になってたのかよ、あの人。
「さて、そろそろ出てきたらどうだ。簪」
俺がそう言うとさっきの楯無さんみたいに物陰から簪が出てきた。
「どこから聞いてたんだ?」
「最初から…燐と別れてすぐ…山田先生に会って…追いかけてきたの」
「そっか…ごめんな。嘘ついて」
「大丈夫…けど、もう嘘はつかないで」
「分かった」
俺達はそれから無言で部屋まで戻ることになり、しばらくしてから俺が簪にしゃべりかけた。
「それでどうする。簪の専用機作りに楯無さんの指示で手伝うように言われた俺を使うか?」
「………燐自身は…どうなの?…本当は…嫌じゃないの?」
「嫌なわけがない。むしろ俺にできることがあるなら手伝いたいしな」
「ありがとう、燐。けど…私は…少しでも……姉さんに近づきたいの」
「…お前達何かあったのか?」
俺はココアを入れ、簪に渡しながら聞いてみた。あんまりこうゆうのには首を突っ込みたくないが、あんなに仲が良かった姉妹がこんなになるくらいだ。何かあったに違いない。
「…私…姉さん…お姉ちゃんといっしょにいると自分が惨めに思えてくるの…」
「なんで…」
「お姉ちゃんは……なんでもできるし…やさしくって…誰とも仲良くなれるのにそれに比べて私は…」
「だからISを自分一人の力で作って楯無さんを超えようと思たんだな」
「うん…でも本当は自己満足…なの。私が自分の専用機を自分で作ればお姉ちゃんを追い越せる…近づける気がして…ずるいよね…こんなの」
「それをわざわざ人に言うのが一番ずるいと思うぞ、俺は」
俺は自分のココアを飲みながらそう答えた。熱いなこのココア。
「なんだかそれで誰かに許して貰おうとしてるみたいだ。楯無さんより上を目指そうっていうのは正しい選択だ。だからもっと胸を張って堂々としてればいいと思うぞ」
「…そうだね。ありがとう…燐…なんだか少し楽になった…みたい」
「そうか。それは良かった」
「燐…手伝いの話…だけど…手伝いってもらってもいい…?」
「ああ、いいよ」
「ありがとう燐」
簪は微笑みながら、俺に感謝の言葉を述べた。その簪の顔に俺は自分の顔が赤くなっていることに気づいていたかった。
ページ上へ戻る