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ヘタリア大帝国

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TURN97 ソープ帝国その三

「あの動きは」
「陽動を仕掛けてそうしてだな」
「奇襲を仕掛けて来ますね」
 中国の読み通りだというのだ。
「そうしてくるかと」
「では作戦通り行こう」
 東郷は前を動くその元軍を見ながら話す。
「ここはな」
「わかりました、それでは」
「奇襲を破るにはコツがある」
 東郷は前方の元軍の動きを見ながら述べた。
「敵に奇襲に気付いていると思わせないことだ」
「奇襲は相手が気付いていないからこそです」
「効果があるからな」
「だからこそですね」
「中国さんに言った通りだ、あれで行く」
「わかりました」
 秋山は東郷のその言葉に頷いた、そしてだった。
 前にそのまま進む、その彼等に。
 ランス率いる元軍の主力部隊は枢軸軍の後方に来ていた、これまで枢軸軍の動きに全く気付いた気配は見られない。
 ランスはその状況を見てモンゴルにモニターから言った。
「順調だな」
「うん、ここまで来たらね」
「後は隠れる必要がないな」
「一気に敵の後方を攻めよう」
 まさにその奇襲を仕掛けるというのだ。
「そうしよう」
「それではだ」
「突撃するよ」
 コアイが応える、こうして。
 モンゴル軍は枢軸軍後方に雪崩込んだ、そのまま鉄鋼弾で一気に粉砕するつもりだった。だがその鉄鋼弾を放とうとした矢先に。
 急に動きが止まった、これにはランスも驚いた。
「!?何だ一体」
「網!?まさか」
「電磁ネット!?」
 モンゴルとコアイもだ、この事態に目を丸くさせる。
「それで動けなくなったの!?」
「そんなの使って来たの!?」
「おい、これはまずいぞ」
 ランスも動けなくなった自軍を見て言う。
「動けない軍なんてな」
「どうしようもないよ」
 特に機動力を活かせない騎馬艦はだ。
「それにこのままだと」
「おい、早くネットを破れ!」
 ランスはこの苦境を脱する指示を出した。
「電磁カッターだ、それを持って外に出ろ!」
「それしかないね、ここは」
「くっ、今ここで敵が来たらな」
 どうなるか、ランスは自分も電磁カッターを受け取りながら言った。
「終わりだぞ」
「こうした時に来るんだよね」
 モンゴルも言う。
「敵もわかってるだろうし」
「あの、ハーン」
 コアイがここで言って来た。
「前から敵が来ているよ」
「くそっ、予想通りだな」
「電磁ネットを切る前にやられるよ」
 ネットはかなり複雑な構造でしかも何重にもなっていた、これを破るのはすぐには無理だった。
「どうしよう」
「こっちの世界での戦いは知らなかったな」
 今になって苦い顔を見せるランスだった。
「俺としたことがとんだ失敗だな」
「とにかく敵が来てるし」
「このままじゃ全滅するだけだからな」
 ランスはこのこともわかっていた、そして言うことは。
「おい、ここは仕方ない」
「どうするの?」
「降伏だ、やられるよりましだろ」
 これがランスの今の判断だ。 
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