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万華鏡

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第四十三話 クラスではその八

「得点の高い競技に運動部の精鋭どんどん強制的に投入させてるよ」
「強制的になの」
「殆どソ連軍みたいな乗りでさ」
 つまり逆らうことは許されないというのだ、かつてのソ連軍では少しでも逆らえばシベリア送りか懲罰大隊送りであった。
「強引に決めてるよ」
「凄いわね、そっちの体育委員は」
「ああ、滅茶苦茶張り切っててな」
 強引にそうしたことを決めているというのだ。
「あたしもそれでさ」
「体育委員に選ばれたのね」
「決められたんだよ」
 選ばれておらずそちらだというのだ。
「ハードル、答えは聞いてないってな」
「何処の特撮の助っ人キャラよ」
 彩夏は美優の口から彼女のクラスの体育委員の言葉を聞いて突っ込みを入れた。
「本当に強制的なのね」
「ちなみにうちの体育委員、女子だけれどな」
 女子のことは女子が決める、これは当然だ。
 そしてその女子の体育委員、彼女はどうかというと。
「空手部なんだよ、二段な」
「ってことは強いのね」
「空手十段割るんだよ」
 その手でだというのだ。
「中二で痴漢の急所を攻撃して倒したらしいんだよ」
「うわ、実戦もなの」
「その痴漢三人いたけれど全員今じゃニューハーフバーで働いているってな」
 つまり男としての機能を喪失したというのだ、これ以上はないという激痛が伴ったことは言うまでもない。
「そんな相手だぜ」
「逆らえないのね」
「普段は何も言わない奴だけれどな」
「いざという時は」
「ああ、今回のことでわかったよ」
 この運動会の選手決定でだというのだ。
「凄い仕切るんだよ」
「それで逆らったらよね」
「女だから潰されないけれどな」
 そこからニューハーフになることはない、だがだというのだ。
「それでもな」
「怖いわよね、二段じゃ」
「ああ、本物だからな」
 二段の実力は伊達ではないというのだ。
「誰もはいはい、だよ。悪い奴じゃないけれどな」
「そんなに怖いのに?」
「仕切るけれどな、こうした時は」
 しかも反論も許さない相手だがそれでもだというのだ。
「公平で正義感のある奴なんだよ、義侠心もあってな」
「何か帝国陸軍の人か警察官みたいね」
「親戚に消防署の人がいるらしいな」
 自衛官や警官ではないがそちらになるというのである。
「本人が言ってるよ」
「そうなの」
「ああ、嘘も言わない奴だからさ」
 事実だというのだ、こう里香に話すのだ。
「まあそういう奴でな」
「それで美優ちゃんもなのね」
「ハードルに出ることになったのね」
「まあ決められたからにはやるさ」
 全力を尽くすというのだ。
「あたしもな」
「頑張ってね、クラスが違うから敵同士だけれど」
「そうしてね」
「そういうことでな、まあ敵同士でもな」
 運動会の間はそうであってもだというのだ。 
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