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ドラゴンクエスト5~天空の花嫁……とか、

作者:あちゃ
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第11話:お前が責任とれ!

(妖精の村)

「この方が妖精の村の長……ポワン様よ! ほら、ちゃんと立って挨拶して!」
ここまで俺の事を引き摺ってきたベラが、無理矢理俺を引き立たせると、後頭部を押さえつけ頭を下げさえる。
俺は体中を打ち身と埃で纏ってると言うのに……

「ふざけるな馬鹿! お前何なんだ!? 何の説明もなく俺に大迷惑を掛けておきながら、これまた説明せずにこんなとこへ拉致って……尚且つお偉いさんの前だから頭下げろって! 会話という物が出来んのかキサマ!」

俺の事を押さえつけてたベラを取り払うと、今までの怒りをぶつける様に彼女へ怒鳴り散らす俺。
突然の事でビックリ仰天のベラが心底腹立つ。
“何でそんなに怒ってるの?”って顔してるんだよ……

「ど、どうしたの……急に怒っちゃって……私、何か悪い事した?」
やっぱり何も解ってない……
「お、お前……自分が今まで何してきたのか、全然解ってねーな!」
呆れた……更なる怒りが込み上げてきたが、それ以上に呆れるしかなかった。

「せ、説明してやる……テメーがしてきた事を、俺がキッチリ説明してやる! 先ず、やってもいないスカートめくりの冤罪を俺に与え、キサマは横で爆笑していた! 更にその事の説明を求めると、勝手に他人の家へ俺を(いざな)い一方的な用件だけを告げてきた! この間、先程の事への謝罪は一切ない! そして自己紹介すら互いにする時間を与えず、ほぼ強制連行状態で俺をこの村に連れてきた! そして先程の“市中引回し”だ! 体中に埃は付くし、体中を階段で強打するし……お前何考えてんだ!? あげくに、お偉いさんの前だから頭を下げろだと!? 先にお前が俺に頭を下げ、これまでの行為を謝罪し頭を下げるべきだろう!」

一気に捲し立てベラを批判する。
だが全く理解してない様子のベラは、キョトンとしてるだけで謝る気配も頭を下げる素振りの見せない。
あーダメだ……怒りが収まらない。

「人間の少年よ……真に申し訳ございません。私の指導が足りないばかりに、貴方様にはご迷惑をおかけした様で……本当に申し訳ございません」
代わりに上座で玉座に座ってたポワンが、立ち上がり俺に近付いて深々と頭を下げる。
違う違う……あんたに非はないんだ!

「ポ、ポワン様!? ポワン様が頭を下げる必要はありません! 全部私がしでかした事みたいですから……私が謝れば良いんです。ですから……」
カチンときた。この馬鹿(ベラ)の言い方にカチンときまくった!

「『しでかした事みたい』? 『謝れば良い』!? お前全然反省してないだろ! いや、反省どころか何でこんな事態になったのかすら理解してないだろ! こっちのお姉さん(ポワン)が頭を下げるのは当然だ! お前みたいな馬鹿を俺の下に派遣したのだから、全ての責任はお姉さん(ポワン)にある!」
もう怒りの収まらない俺はポワンに向き直り大声を上げる。

「本当にごめんなさい……お怪我の方は私が直ちにベホマで治しますので……」
そう言うとポワンはベホマを唱え、俺を暖かい光で包み込む。
自宅地下で空樽群に突っ込んで出来た怪我も、この村でベラに引き摺られて出来た怪我も、一瞬で治り身体の調子は万全になった。

「ポワン様……「ベラ! 貴方は先ず、何をしでかしたのかを理解しなさい!」
そこからポワンの説教が始まった。
かなり厳しい説教が始まった。
延々3時間……俺、今回の被害者だし……この場から暇潰しに出かける訳にもいかず……何だか俺まで拷問を受けた気がする。



そして拷問……ゲフンゲフン、説教が終わり……ベラが泣きながら謝ってきた。
何か俺も一緒に叱られた様な気がする連帯感と、よく見ると結構可愛い女の子(ベラ)のガチ泣きで、罪悪感が積もっている……
おかしいな……俺、被害者だよね?

「申し訳ございませんでした。私の名はポワン……そしてこの()はベラ。我々は「知ってます、エルフ族……いえ妖精の皆さんでしょ! 俺の名はアルス……俺は以前から、他の人達には見えない不思議な方々を見てきたので、大方の予想は付きます。何かお困りの事があるみたいですので、俺に出来る事があれば手伝いますよ」

はい。勿論ハッタリです。
半透明な奴等なんて、これまでにベラ以外見た事ないし、原作知識がなければ、この状況を理解する事なんて到底ムリ!
でも、もう飽きてきたんだよね……サッサと話を進めたいんだよね。

「これは驚きました……何か特別な能力をお持ちだと感じましたが、既に我らの事を理解しているとは!」
この部屋にはポワンとベラ以外にも、幾人かのエルフが立ち会っている。
その全てが俺の発言に驚き、俺を特別な存在として見詰めている。
う~ん……気分が良い。

「では話が早いです……是非ともアルスにお願いしたい出来事が在りまして……お力を貸して頂きたいのです」
そして今回の事件の経緯を説明するポワン。
まぁ内容は分かってたが、案の定『春風のフルート』奪還が俺への頼み事だ。

「ポワン様……勿論俺はご協力します。ですが問題が一つ……」
俺はポワンの依頼を快諾し、好印象を与えてから問題点を説明する。
あぁ……問題点ってのは俺ちゃんの事ね。

「あの……俺、戦えないんですよ。戦闘は苦手で……友達のチロルとスドー君に、戦闘は任せる事になっちゃうんです。ですから……」
言葉を濁しているが、俺は“戦闘要員を多数派遣しろ”的な事を訴える。
ベラは随行決定なのは当然として、戦士系のエルフを2.3人貸してくれても、罰は当たらないよね。
屈強な女戦士さんを2.3人派遣して“うふふ坊や……可愛いわね”的なシチュエーションになっても、ご褒美として見てくれるよね。

「解っております。私どもも子供一人に全てを託すつもりはありません! 共に戦う仲間を用意してあります。ご安心下さい」
ちょっと引っかかる言い方だったけど、俺を守る人数が大幅に増えるのは助かるね。

「さあベラ。出会いでご迷惑をお掛けした分、それを払拭させる様お手伝いしなさい!」
「はいポワン様。私、頑張ってきます!」
そう言うと、俺の側に歩み寄りポワンに向けてガッツポーズするベラが一人……

え……一人だけ!?
子供一人に全てを押してけないけど、子供とベビパンと動く石像とエルフの小娘には押しつけるのが貴女達の遣り口ですか?

「ベラ……アルスの言う事には従い、決して勝手な行動をするんじゃありませんよ!」
「はい、解ってます。もうこれ以上アルスに迷惑はかけません!」
ん、イヤ違う……根本が違う! もう迷惑を掛けまくってるんだから、それを軽減させる措置をとらねばならないのではないだろうか!?

俺がクレームを付けようとすると、ベラが俺の腕に抱き付き強引にポワンの前から移動させる。
俺もベラの胸の感触に、思わず言葉を失ってしまい何も言えないまま部屋から出てしまう。
ずるいよ……オッパイ押しつけて言葉を封じるなんて。全神経がその部分に集中しちゃうんだから、何も言えなくなっちゃうよ!



 
 

 
後書き
小心者は、他人が叱られてるのを見てるだけで、自分が叱られてる気になり萎縮してしまうのです。
私がそうですから! 
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