ヘタリア大帝国
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TURN96 ランス=ハーンその六
「ダメージが大き過ぎました」
「管制システムも破壊されたからな」
「そのせいです、何とかしたいですが」
「どうしたものか」
東郷も打つ手が考えられなかった、だが夕霧は心配で。
その日本と共に夕霧のところに赴いた、そしてその彼女を見ると。
その姿は明らかに違っていた、これまでは一流のイラストレーターの絵だったものが今では落書きである。その落書きの顔で困った感じで言ってきたのだ。
「あの、私は」
「このままだとだな」
「はい、機能を停止してしまいます」
自分でもわかっていた、このことが。
「どうしたらいいでしょうか」
「そうだな、ここは平賀博士に頼むか」
東郷はまずは彼女のことを思い出した。
「あの人なら修理出来るか」
「お願い出来ますか?」
「ああ、少しだけ頑張ってくれ」
機能を停止させないでくれというのだ。
「呼んで来るからな」
「お願いします」
いつもの明るさがない、そうしてだった。
東郷は日本と共に平賀の下を訪れた、そのうえで夕霧のことを話すと。
その平賀も久重の口からこう言うだけだった。
「私も全力を尽くしているが」
「難しいか」
「ダメージが深刻過ぎる」
それでだというのだ。
「あれでは無理だ」
「そうなのか」
「何とかしたいがな」
設計、開発、建造を担った者としてはだというのだ。
「しかし」
「では夕霧さんはあのまま」
「機能を停止するしかない」
平賀は日本にも告げた。
「あの艦隊は動けなくなる」
「そうですか」
「残念だがな」
「いや、待ってくれ」
しかしここでだった、もう一人出て来た。見ればレーティアである。
レーティアは東郷達のところに来てこう言った。
「私に協力させてくれるか」
「何とかしてくれるのか?」
「してみせよう」
東郷に対しても答える。
「絶対にな」
「それではお願いします」
日本が真剣な面持ちでレーティアに頼む。
「夕霧さんを助けて下さい」
「彼女も我々の大切な仲間だ」
人間、それであるというのだ。
「必ず何とかする」
「私も手伝うわ」
今度はドロシーが出て来て言う。
「そのうえで」
「私だけでは無理だが」
平賀も再び言う。
「やらせてくれ」
「本当に頼む」
東郷は三人の科学者達に言った。
「あの娘を助けてくれ」
「三人いれば文殊の智慧だったわね」
ドロシーは日本の諺を出した。
「必ず何とか出来るわ」
「その言葉信じさせてもらう」
東郷は実際にそうした、そうしてだった。
三人は夕霧のところに向かう、レーティアがすぐに発見した。
「ここをこうすればいい」
「そうすればか」
「そうだ、これでこの娘は助かる」
平賀にも話す。
「大丈夫だ」
「そこをそうすればいいのか」
「そうだ、しかもだ」
レーティアはさらに言う。
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