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ヘタリア大帝国

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TURN96 ランス=ハーンその三

「しかしじゃ」
「そうだ、首相は節度を以て遊んでいる」
「パワハラやセクハラはせぬ」
「そのことは私も保障する」
 彼をよく知っている柴神もだというのだ。
「真面目だとな」
「柴神様は何でもわかっていてくれるからのう」
 日本が建国されてから国民と共にいる、それ故にだ。
「有り難いわ」
「首相とも長い付き合いだな」
「かれこれ半世紀ものな」
「それだけに言える、首相はそうしたことはしない」
 パルプナの心配する様なことは決してないというのだ。
「断じてな」
「そうなの」
「君はかなり酷い目に逢ってきたな」
 柴神にもわかることだった、それもよく。
「しかしそれもだ」
「もう大丈夫なの」
「この国では誰も君にその様なことはしない」
「誰も・・・・・・」
「そうだ、誰もだ」
 こうパルプナに言うのである。
「だから安心してくれ」
「それなら」
「ははは、わしもまた何処かに案内しようか」
 山本は右目を楽しげに瞑らせながらパルプナに言って来た。
「首相が河豚ならわしは鮟鱇にするか」
「鮟鱇?」
「これも魚じゃよ、外見は悪いが味はよい」
「それも美味しいの」
「かなりな。では戦いの後でじゃ」
「まずはわしが河豚をご馳走しよう」
 伊藤がこう言う。
「楽しみにしておいてくれ」
「ええ」
 パルプナは伊藤の言葉に小さく頷いた、そのうえで彼等の出撃を見送った。港に一人で何時までもいた。
 出撃した枢軸軍はすぐに元軍を見た、彼等の状況はというと。
「騎馬艦ですな」
「うむ、そうじゃな」
 山本が宇垣の言葉に応える。
「元軍伝統のな」
「となりますと機動力はありますが」
「武器は鉄鋼弾しかないな」
 それが騎馬艦だ、足は速く索敵能力も高いがその装備は偏っているのだ。
 このことは山本達も知っている、それで山本はこう言った。
「ではまずは艦載機とミサイルでじゃな」
「それで攻めて、ですな」
「あらかた片付けるとしよう。見たところ新型じゃが装甲は脆い」
 しかも大きさも大したことはない、巡洋艦より少し小さい位だ。
「あれ位なら艦載機やビームで一撃じゃ」
「そして鉄鋼弾で攻めれば」
「勝てるわ」
「では」
 こう話してそして、であった。
 枢軸軍は元軍に照準を合わせた、その時に。
 ネクスンが己の乗艦の艦橋で陽気にこう言った。
「ははは、今日も運よくいこうか!」
「ですね、訳のわからない相手ですけれど」
「それでも」
 部下達もそのネクスンに応える。
「神のご加護を信じて」
「それでやりますか」
「うん、足取りも軽いぞ」
 ネクスンはこう言ってステップを踏もうとした、だがここで。
 その右の靴紐が切れた、しかし彼は笑ってこう言うだけだった。
「よくあることさ」
「あの、ですが今のは」
「やはり」
 だが部下達は違った、ネクスンの靴紐が切れたらどうなるのかを知っているからだ、それでこう言ったのである。 
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