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MS Operative Theory

作者:ユリス
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マグネット・コーティングとサイコミュ・システム④

——MCとサイコミュの比較——

 MCとサイコミュには、実用化された時期やミノフスキー物理学を利用している点、機体の追従性の向上を狙った機構などの共通項が見られるが、いくつかの相違点も存在している。

最大の違いは、MCの効果が視覚的に分かりにくいことに対し、サイコミュはファンネルなどの誰にでも理解できるデバイスが存在していることである。このため、サイコミュの方が「優れた」システムと考えられがちであるが、実際にはそれぞれに長所と短所が存在する。ここでは、そうした双方の技術の相違点を開設する。


■コスト

 関節部分に施す「塗膜」に過ぎないMCと、高度な感応波返還機や送受信機、場合によってはファンネルなどの攻撃端末まで必要なサイコミュでは、MCの方がはるかに低コストである。

 また、サイコミュは既存の機体に搭載することができないため、専用の機体が必要となるが、MCは従来機に処理するだけで効果を発揮する点も重要である。


■拡張性

「考えるだけ」で操縦可能なサイコミュは、医療分野などへの応用が考えられるが、民間用として使用するには軍事機密などのハードルが存在する。

 また、操縦機構に過ぎないサイコミュを他分野へと転用するのは困難であると思われる。MCは「機械的な干渉を打ち消す」という単純な発想のため、多くのメカニックに転用可能で、TMAやTMSの変形機構補助用としても使用された。


■実用性

「10年遅れていた」連邦軍が揮発したMCと、「10先を行く」公国軍のサイコミュでは、どちらが高度な技術かは一目瞭然である。

 しかし、前線での使いやすさでみた場合、簡素なシステムで稼働するMCに軍配が上がる。サイコミュが稼働不能に陥れば機体はハングアップしてしまうが、MCが機能しなくても機体は稼働する点も重要である。


■レスポンスの向上

 この場合のレスポンス(追従性)とは、パイロットが入力を行ってから、それに対して機体が反応するまでのタイム・ラグのことを指す。この面では(補助的なものだが) 「考えるだけ」で操縦できるサイコミュがMCを上回る。

MCもレスポンスを向上させるが、パイロットとマシンの間に操縦桿(入力インターフェイス)が存在しているため、理論上サイコミュを超えることはできない。


■運動性の向上

 MSやMAにおける運動性とは、回避性能や旋回速度などの「身軽さ」をあらわす。運動性の向上を主眼としたMCに対して、サイコミュは運動性を直接向上させる装備ではない。だが、サイコミュを介した認識力の拡大によって敵を素早く察知することが可能である。

このため、「レスポンスの向上」による回避性能の向上と併せると、総合的にはサイコミュが優勢になると考えられる。


■攻撃力の向上

 MCに攻撃力を向上させる機能はないが、サイコミュは有線ビーム砲やビットなどの操縦デバイスも兼ねているため、攻撃力に関してはサイコミュが圧倒的に優勢である。

 サイコミュを介して制御されるファンネル等の「機動砲台」は、包囲・飽和攻撃(オールレンジ攻撃)が可能な点が高く評価されている。また、空間把握能力の拡大により通常火器の命中速度も向上するといわれる。





補足事項

——地球連邦軍のサイコミュ兵器——

 「公国軍に10年遅れている」と言われた連邦群の技術だが、戦後、公国軍の兵器の接収や技術者の受け入れによって急速な発展を遂げた。

その中にはサイコミュ関連技術も含まれており、これを入手した連邦軍は各地にニュータイプ研究所を設立し、サイコミュの研究を行った。数ある研究所の中でも、ムラサメ研究所は、強化人間と強化人間用サイコミュの開発に特化しており、MSN-02(ジオング)の設計思想を盛り込んだNRX-009(サイコ・ガンダム)を完成させている。

サイコ・ガンダム系のサイコミュは、後にアクシズが入手し、自軍のMSにその技術を反映させている。



——ジオン公国軍のマグネット・コーティング技術——

 公国軍でもMCの研究は行われていたが、サイコミュが実用化されつつあったことと、公国系MSに用いられていた駆動方式(流体パルス・システム)では効果を発揮しないことなどから、MCが行われた公国軍系MSは少ない。

数少ない例外が、小惑星基地ペズンで開発されていたMS-11(アクト・ザク)である。アクト・ザクは従来の公国系MSと異なり、フィールド・モーターかそれに近い駆動システムを搭載していたとされ、MCの効果があったといわれる。

一年戦争末期、月近海での戦闘に投入されたとする説もあるが目立った戦果をあげることはなかったといわれる。
 
 

 
後書き
次回 ガンダム開発計画 
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