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万華鏡

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第四十二話 運動会前にその十三

「身体にもいいし美味しいから」
「味もいいのね」
「そうなの、だから文化祭までとかじゃなくて」
「スープやお味噌汁はお野菜とかたっぷりと入れて食べるのね」
「それがいいの。うちのお母さんもね」
 里香は自分の母の話もした。
「お医者さんで忙しいけれど」
「お味噌汁とかスープはなの」
「ちゃんとじっくりと作ってくれてるの」
「健康にいいからよね」
「そうなの、お母さんお料理には厳しいの」
 つまり栄養に、というのだ。この辺りはやはり医者だった。
「いつも医食同源とも言ってるわ」
「漢方医学の言葉よね、それって」
 景子はラーメンの中のもやしを箸に取りながら言った。
「そうよね」
「うん、そうなの」
「里香ちゃんのお母さん漢方医学の知識もあるの?」
「ある程度はそうみたいなの」
 それで言っているというのだ、漢方医学の言葉も。
「とにかく身体にいいものをバランスよくたっぷりね」
「食べてこそなのね」
「健康にいいってね」
「じゃあインスタントとか駄目なんだな」
 美優は麺をすすりながらこう言った。
「冷凍食品とかも」
「食べてもいいけれど」
 だが、というのだ。
「それでもちゃんとね」
「一緒にお野菜とか入れてな」
「そうして食べないとね」
 栄養が偏るというのだ、里香はこのことを真面目に話す。
「よくないわよ」
「そうなるんだな、やっぱり」
「そのインスタントラーメンでもお野菜をたっぷり入れて」
 そうして食べるべきだというのだ。
「食べるといいから」
「わかったよ、じゃあな」
 美優はラーメンの麺をすすりながら里香の言葉に頷いた、そしてだった。
 文化祭まで、そしてこれからも怪我や病気のことは気をつけようと思った、それで他の四人にも話すのだった。
「皆このままいこうな」
「ええ、文化祭まで怪我も病気もなく」
「それからもな」
 実際に言葉にも出してこう言った。
「やっていこうな」
「そうよね、怪我はしないに限るしね」
 琴乃が最初に美優のその言葉に頷いた。
「それじゃあね」
「病気もな」
「そうそう、そっちもね」
 琴乃は美優の今の言葉にも笑顔で応えた。
「忘れたらいけないわよね」
「具体的には風邪ね」
 今言ったのは景子だった、彼女が最初に出した病気はこれだった。
「風邪は万病の元っていうから」
「それ本当のことなの?」
 彩夏は景子にその言葉が本当かどうか問うた。
「風邪って本当に万病の元なの?」
「実際にそうみたいよ」
 景子は彩夏の問いにこう返した。
「風邪で体力が落ちてね」
「そこから他の病気になるのね」
「そう、だからね」 
 それでだというのだ。
「他の病気になるからね」
「そうなのね、それでなの」
「そう、だからね」
 こう話すのだった。
「気をつけていこうね」
「そうね、じゃあね」
「これからも」
 こう話してそしてだった、五人は今はカルシウムの多いラーメンのトリガラスープも飲むのだった。これもまた食欲の秋、秋だった。


第四十二話   完


                     2013・7・15 
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