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第十九話「レックス vs マンティコア」
突如出現した怪物"マンティコア"と、殲滅特化部隊"クラウソラス"のレックスとの殺し合い。
勝敗は未だに決まらない。しかし……
「すげぇ………あんな化け物相手に、無傷で……」
オルテガは、ただただ圧倒された。レックスの方がマンティコアより優勢だった。
マンティコアは、暴走状態に陥っていた。
左腕を肘から切断されたことにより、一種のリミッターが外れたのだ。
今のマンティコアは、「命令遂行」より「生存本能」を優先させている状態にある。
故に、手加減も見境もない。
レックスの戦い方は、ブランクとはまるで違っていた。
ブランクが「受け流す」なら、レックスは「切り払う」。
ブランクは、敵の攻撃を受け流し、隙をついて攻撃に転じる。
レックスは、敵の攻撃を回避せず、攻撃部位を斬ることで直撃を避ける。
「オオオォォオオオォオォオオォオォ!!」
咆哮しながら、マンティコアは残された右腕で全力のフックを放つ。
「ッ!! 危ない!!」
オルテガが叫ぶ。
あんな攻撃食らったら、間違いなく首が吹っ飛ぶ。
首が捻れ、顔が潰れ、無惨にレックスの頭が飛んでいく。
オルテガの脳裏に最悪のビジョンが浮かぶ。
だが実際は、そんなビジョンは覆された。
…………………!?
バカな。今、何が起きた?
マンティコアの右フックは、確かにレックスに直撃した。したように見えた。
しかしレックスの首は無事だった。むしろ無事じゃなかったのは……
……マンティコアの右腕の方だった。
「オ…………………ア?」
右フックを放ったはずのマンティコアの右腕が、二の腕からずり落ちた。
少し遅れて血が吹き出た。
「遅すぎるっての」
レックスが日本刀を鞘に収めて、気だるそうに欠伸した。
「えっ?…………は!?」
ようやくオルテガは、何が起きたのかを把握した。
マンティコアがフックを放つ直前まで、レックスは日本刀を鞘に収めていた。
顔に到達するギリギリで、いわゆる「居合い切り」を放ったのだ。
その結果として、マンティコアの腕は切り離された。
「さて、そろそろ終わりにしよう」
「…………その首よこせ」
その言葉が最後だった。
レックスはマンティコアの右膝を足場にし、飛び上がる。
そして、頭上で居合い切りを放った。
次の瞬間、マンティコアの首は胴体から離れた。
ーーー【"エリア48" 時計台内部】
「あぁ~………スコーピオ」
「マンティコアの信号ロスト………死んだか……」
「良い線いってたと思ったのになぁ~」
「まぁ結果は結果だ。仕方ないと割り切ろう」
「じゃあ、俺サンプルの回収行ってくるわ~」
「マンティコアがブランクに遭遇しなかったのは残念だったが……まぁいい」
「ブランク………お前はいずれ、人から外れた完全な化け物になる」
「いつまで人間であることを維持できるか……楽しみだよ」
後書き
スコーピオは、少なくともブランクのことを知っているみたいですね。
ブランクとどんな関係があるのかは、未だに謎ですが……
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